2010.08.13
約33億円の途方もない借金を背負っていたハマコーこと元自民党衆院議員、浜田幸一容疑者(81)は、大半を「モンゴルでの土地開発事業に投資した」などと周辺に話していた。だが、モンゴル金山への投資話はリスクだらけ。専門家は「100件投資して成功するのは1件あるか、ないか」と、まさに詐欺の温床だ。「モンゴル政界にも全然コネがなかった」(外交筋)といい、ウマい話にだまされただけだったようだ。
捜査関係者によると、当初「答える意志はない」と供述を拒んでいた浜田容疑者だが、12日になって背任行為についての容疑を認める供述を始めた。一方で供述を調書化されることは依然として拒否しているという。
逮捕のきっかけとなったのはモンゴルの金山開発。支援者によると、浜田容疑者はモンゴル人の仲介を受け、多額の資金を投資していたという。
モンゴルに詳しいジャーナリストの宮田修氏は「モンゴルの貧困層のなかには、他人の土地で土中の砂金を探す人たちもいる。現地では『ニンジャ』と呼ばれている」と言い、金が出るのは確かなようだ。
だが、「金山には採掘権と試掘権があり、試掘でも10億-20億円の投資話になる。そのうち成功するのは100件中1件あるかないか。しかも、今年4月からは当局が地下資源の採掘許可を出さなくなった」という。
そんな事情を知らない日本人は、いいカモのようで、「ここ10年、今回と似たような金山の投資話がブローカーによって数多く日本に持ち込まれている。日本国内でのもうけ話が少なくなったのも影響している。モンゴルの国会議員の写真が入ったパンフレットなど、もっともらしい資料も出回っている」と宮田氏。
浜田容疑者がどの程度、「金」に近づいていたかは不明だが、モンゴル方面に強い外交筋は「ハマコーさんの名前は聞いたことがない。政治的なコネなんて、とんでもない」と話している。
ところで、衆院議員時代には「政界の暴れん坊」と言われ、引退後もテレビ出演やミニブログ「ツイッター」での面白発言など露出が多かった浜田容疑者だが、12日午前に千葉地検へ送検された際には、ジャンパーのフードを目深にかぶり、表情をうかがうことはできなかった。
「浜田容疑者が着ていたジャンパーは英国人女性を殺害して整形・逃亡した市橋達也被告や、女子大生を殺害して放火した竪山辰美被告など、凶悪事件の容疑者が送検時に着ていたものと同じ。地元マスコミでは『公式ウエア』と呼ばれている」(地元テレビ局記者)。このジャンパーは護送用の特注品で、手錠をしていても羽織りやすいようになっている。
「護送では、本人に顔を隠すか否かを確認する。隠すのを希望すると、“延長フード”を付けて、顔をすっぽり覆ってしまう」(捜査幹部)。目立ちたがり屋の浜田容疑者も、今回だけは“頬被り”を望んだのだ。