北朝鮮制裁決議「先頭を切って走る」20日の鳩山首相
2010年5月20日20時25分 朝日新聞
鳩山由紀夫首相が20日夕、首相官邸で記者団に語った内容は、以下のとおり。
(秘書官「すいません後日程がございますんで質問短くお願いします」)
【哨戒艦沈没】
――哨戒艦沈没事件で、韓国は北朝鮮の攻撃が原因だと断定し、安保理で制裁決議案を提起する方針だが、日本は協調するか。また6社協議の見通しは。
「はい、今日ご案内の通り、韓国の政府が調査の結果を報告しました。その結果によれば、北朝鮮の魚雷による沈没であるということでありました。大変これは、遺憾なことで、強く北朝鮮に対して非難をいたします。当然のことだと思います。そして、韓国の政府に対してあるいは韓国の国民に対して、哀悼の意を改めて申し上げるとともに、私どもとすれば、韓国の立場を支持をする、すなわち、もし韓国が安保理に、決議を求めるということであれば、ある意味で日本として、先頭切って走るべきだと、そのように考えておりまして、強くその方向で努力をしたいと思います」
――中国は冷静な対応を求めているが、中国政府になんらかの対応する考えは。
「こんにちまで私は、韓国の政府がきわめて冷静に行動されたということは、評価を申し上げたいと思います。え、中国においても、冷静という意味が、また別のところにあるかもしれません。私は事実は事実としてこれは認めるべきでありますので、その中で、やはりこういった信じられないような行為というものが二度と起きないようにしていくために、私は国際的な場裡(じょうり)の中で、しっかりと訴えていく必要があると。中国に対してもそのように臨みます」
【普天間・閣僚会議】
――先ほど普天間問題に関して関係閣僚会議があったが。どのような話を。
「うん、これは中身は、私がどのようなコメントを出すかと、いうことの議論、それからやはり日本として、しっかりこういった状況であるので、政府としても、覚悟を持って臨もうではないかという意思統一をいたしました」
【普天間・いつ発表?】
――普天間に関して、政府方針を5月28日か31日に国民に発信したいと民主党の石井選対委員長に伝えたとのことだが、日米共同声明か、日本政府の対処方針発表か、どのような方針か。
「これは5月の末に向けて、私は今、最終的な努力を政府の中で行っております。当然言うまでもありませんが、それは日本国民の皆さんに対して、申し上げるべきことでございます。従いまして、すべてをトータルしながら、私の考え方を国民の皆さんに申し上げるということであります」
――28か31日に発信するのは、その通りか。
「今それは、まだ最終的に日程を決めたわけではありません。ただ5月の間に決着をいたすと、合意をいたすということでありますので、私として、5月中に国民の皆さんにやはり申し上げるべきだと思っています」
(秘書官「時間ありません。時間ありませんよ」)
【普天間・連立内調整】
――社民党の福島党首が、連立の同意がないままでの日米共同声明発表に反対しているが、連立内での調整はどうするのか。
「当然政府の考え方をまとめた中で、連立与党のご協力もいただけるように、当然最終的に、これからも協議をして努力をして参りたいと、それにつきます」
(秘書官「最後に1問にしてくださーい」)
【発言の確認】
――先ほどどのようなコメントをという話を、先ほどしておられましたが…
「え?」
――これは普天間問題に関してコメントを出すのか5閣僚で議論されたということでよろしいんでしょうか。またこのような状況であるので覚悟とおっしゃいましたが、どのような状況だとお考えか。
「ああ、覚悟ですか?」
――ええ。その、コメントをという話でしたけれども。
「ああ、私は、あの恐縮です、今の話は、安全保障に関する、すなわち、韓国の今回の事案に対して、我々閣僚として、覚悟を持って臨むべきだという意味で申し上げました」
――5閣僚(の普天間問題の関係閣僚会合)についてではないと言うことですね。
「はい」
【哨戒艦沈没・普天間への影響】
――総理は4日に沖縄に行ったころから、東アジア情勢との関係で普天間を語ることが増えた。今日その情勢に大変化があった。5月末決着の時期が遅れたり、負担軽減が減るとか、そういう影響を及ぼすことは。
「東アジアですか」
――東アジア情勢という文脈の中で普天間を語る場面が増えているが。
「まあ東アジア情勢、北東アジアの情勢は大変緊迫の度を高めているということ。一方で当然、冷静に対処すべきであることは言うまでもありません。しかし、この問題が当然、国民の皆さんの平和と、かかわりのある話であります。それだけに、普天間の問題に関しても、しっかりとした結論を出す必要がある、今はそのように考えておりますから…」
(秘書官「はい終わります」)
「時期的にずらすとかいう発想はありません」
【鳩山カラー】
――中間段階だが、今までの決定とか対応とかごらんになり、ご自分で自己評価するとどの程度、鳩山カラー、鳩山政治が国民に浸透したと考えるか。
「あの私の考え方は、常に申し上げておりますように、政府主導の中で、たとえば新しい公共のあり方、また地域主権という国と地域のあり方を抜本的に変えるという方向で行動しています。ただ国民の皆さんには、なかなか直接的な変化がまだ見えてこないという中で、えー、なかなか変わってないなあという風に思われているのではないかと思います。だからそういう意味で、まだまだ自己評価ができるような段階ではありません」
http://www.asahi.com/special/hibi/TKY201005200457.html