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2008/05/15

米ロ、原子力協力協定に調印

2008-5.15  [原子力関連ニュース]

米露が原子力協力協定締結
 米国とロシアの両国政府は6日、原子力エネルギーの平和利用に関する協力協定に調印した。両国の原子力分野における民間協力に必要な法的基盤を整備するためのもので、ロシアの関連法規と米国の原子力法第123条の制限項目に配慮した内容。原子力平和利用の枠組みとなる主原則を盛り込んだアンブレラ協定の役割を担うことになり、同協定が発効すれば両国の企業間のジョイントベンチャーが可能になるほか、核燃料物質や原子炉、大型原子力機器の輸出入にも道が拓かれることになる。

 この日、モスクワで協定文書に調印したのは、ロシアの国営原子力総合企業であるロスアトムのS.キリエンコ総裁と米国のW.バーンズ駐ロシア大使。協定締結のための協議は2006年7月のG8サミットでV.プーチン露大統領とG.ブッシュ米大統領が発表した共同声明に基づいて開始され、昨年7月には協定の締結案を盛り込んだ原子力関係の共同声明を両大統領が発表していた。その後、先月6日に両国間の協力分野の概要が「戦略的枠組み宣言」として示され、原子力平和利用協力協定の締結は「大量破壊兵器の拡散防止」の中の一項目として、核不拡散体制の強化、ロシアの国際ウラン濃縮センター構想、米国の国際原子力パートナーシップ(GNEP)構想、IAEA主導の革新的原子炉・核燃料サイクルに関する国際プロジェクト(INPRO)などと共に明示されていた。




大量破壊兵器拡散防止構想【たいりょうはかいへいきかくさんぼうしこうそう】
 2003年に米政権が各国に協力を求めた武器拡散防止手段。賛同・参加する国が非合法の武器やミサイル技術を輸送中の船舶を捜索して、移転拡散を防止するもので、既存の拡散防止策よりも積極的な対応をする。また賛同・参加各国が武器とその技術の移転を阻止する広範囲な法的、外交的、経済的、軍事的、その他の手段を行使することも求めている。

03年9月に珊瑚海で米国、オーストラリア、日本などが参加して最初の船舶立ち入り検査演習が実施された。07年中期までに75カ国が賛同、中国、インドは参加していないが、インドは07年9月にベンガル湾で実施された日本を含む5カ国海軍のPSI演習に加わっている。

07年10月には相模湾で日本主催として第2回目の演習が17カ国の参加で実施された。公海上で船舶を検査するには船籍国の同意が必要で、米国は便宜置籍船が多いパナマと立ち入り検査に関する2カ国合意を締結した。これで外洋貨物船の17%に立ち入れるが、合意を結んでいない国の船に対しては、寄港地国の協力が必要となる。
( 江畑謙介 拓殖大学海外事情研究所客員教授 )



米ロ原子力協力動向
http://www.jaea.go.jp/04/np/archive/nptrend/2010-06-15/nptrend_03-02.pdf