福島第一原発、汚染水漏れ 約1週間で「レベル3」に引き上げ=規制委
福島原発汚染水漏れ「レベル3」に…規制委
東京電力福島第一原子力発電所の貯蔵タンクからの汚染水漏れについて、原子力規制委員会は28日、「国際原子力・放射線事象評価尺度(INES)」に基づく暫定評価を「レベル3」(重大な異常事象)に引き上げることを決めた。
19日に、8段階の深刻度で下から2番目の「レベル1」(規定の運転状態からの逸脱)と暫定評価したが、その後、漏水量が300トンと多いことなどが判明した。
レベル3は、1997年に茨城県で起きた東海再処理施設火災事故などが該当する。福島第一原発事故は最悪のレベル7。
同原発のタンクは事故収束に向けた応急施設のため、通常の原子力施設と同様にINESを適用すべきかどうかを、規制委が国際原子力機関(IAEA)に照会した。その結果、「適用は可能」との回答があった。
(2013年8月28日14時40分 読売新聞)
IAEA、汚染水漏れ情報開示に懸念 レベル3確定
2013/8/28 20:39 記事保存
東京電力福島第1原子力発電所で起きた汚染水漏れに絡み、国際原子力機関(IAEA)は日本側の情報開示に懸念を示した。汚染水問題そのものには事故評価の目安である国際原子力事象評価尺度(INES)に基づいてレベル3(重大な異常事象)との判断が固まったが、正確で迅速な情報発信に努めなければ、国際社会の不安を増幅させる恐れもある。
原子力規制委員会は最も深刻な評価を示すレベル7にあたる福島第1原発の事故で、汚染水問題を別のレベルに定める必要があるのかをIAEAに問い合わせた。IAEAは「事故と切り離した評価も可能」と答え、レベル3の評価が固まった。一方で日本代表部あての文書に異例の要請を書き込んだ。「混乱を避けるためにも、適切な情報発信の計画が必要だ」
苦言の背景にあるのは日本発の情報の混乱だ。東電が発表した放射性物質の流出量は二転三転。海洋汚染などのデータや表現もわかりにくく、不安を助長した。東電に対応を委ねる政府の動きが鈍かったこともあり、海外メディアは日本への不信を相次いで伝えた。
規制委は今回の漏洩をINESの8段階の下から2番目のレベル1と暫定評価したが、東電の追加発表に伴い約1週間でレベル3まで上げた。IAEAは「頻繁な変更は現状の正確な把握に役立たない」と批判した。
28日の記者会見で規制委の田中俊一委員長に海外メディアの質問が集中。田中氏は「海外の報道の一部には誤解もみられる」と述べた。元外交官の大島賢三委員は同日の規制委の会合で「対外発信する仕組みが国として必要」と訴えた。