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2013/08/22

福島第一原発汚染水 過去にほかの2つのタンクでも水漏れがあった?

ほかの2タンクも過去に水漏れのおそれ

8月22日 18時55分





福島第一原子力発電所で山側にあるタンクから汚染水が漏れ出した問題で、東京電力が同じ構造のほかのタンクを点検したところ、2つのタンクの表面の一部で、高い放射線量が観測され、過去に水漏れがあったおそれがあるとして調べています。

福島第一原発では今月19日、4号機の山側にあるタンクから、高濃度の放射性物質を含む汚染水300トン余りが漏れていたのが分かり、海につながる側溝を通じて、原発の専用港の外の海に流出したおそれも出ています。

東京電力は同じように鋼鉄製の板をボルトでつなぎ合わせたタンクのうち、高濃度の汚染水を入れたおよそ300基について、異常がないか目視の点検や放射線量の測定を行っています。

その結果、3号機の山側にある2つのタンクの表面で、それぞれ、1時間あたり、100ミリシーベルトと70ミリシーベルトの放射線量が高い部分が見つかったということです。

いずれも鋼鉄製の板の継ぎ目の部分で表面は乾いていて、水漏れは確認されず、タンク内の水位にも異常はないということですが、過去に水漏れがあったおそれがあるとして、東京電力は周辺の放射線量や原因を調べています。

一方、300トン余りの水漏れが見つかったタンクについては、21日までに、残るおよそ700トンの汚染水を別のタンクに移し終え、東京電力は、除染をしたうえで、鋼鉄製の板の継ぎ目やタンクの底の状態などを詳しく調べ、原因の特定を急ぐことにしています。            







追及解説・原発汚染水漏れ問題

8月22日 11時30分

福島第一原子力発電所の山側のタンクにためられた汚染水が周辺の敷地に漏れ出した問題。東京電力は、海につながる側溝の側面から1時間当たり6ミリシーベルトという高い放射線量が検出されたことから、今回の汚染水の漏えいにともなって放射性物質が海に流出している可能性が否定できないという見方を示しました。なぜここまでの事態に至るまで、防ぐことができなかったのか。水野倫之解説委員の解説を掲載します。


【解説のポイント】

・今回は東電がきちんと対応していれば防ぐことができた事故

・設置されていなかった漏えいの検知装置など体制の見直しを

・政府は担当者を派遣するなどより踏み込んだ対応が必要

・もっと深刻なのは地下の汚染水漏れ問題。地上は早期の対応を。




今の福島第一原発は、地下からも地上からも汚染水が際限なく漏れ出しかねない、きわめて危険な状態にあるといえます。特にタンクは汚染水対策の当面の切り札ですので、今回の漏えいを東電も政府も深刻に受け止めなければならないと思います。

そのタンクをスタジオに再現してみましたが、10分の1の堆積で鋼鉄製、実際は高さ11メートル、直径12メートル、容量は1000トンと巨大です。これでも2日余りでいっぱいになってしまいます。

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タンクは4つの円筒状の鋼鉄の板を積み上げて、ボルトでつなぎ合わせて作られていまして、継ぎ目はゴム製のパッキンで埋められています。

実は過去にも4回漏えいが起きていますが、いずれも継ぎ目のパッキンが放射線で劣化するなどして隙間ができて漏れたことが分かっています。今回の漏えいの原因はまだ分かっていませんが、東電はこの継ぎ目を中心に調べることにしています。

対策として東電は継ぎ目を溶接して漏れにくくしたタンクの設置も進めていますが、設置に時間がかかり、日々増える汚染水に対応するためにはこのパッキン型のタンクにも頼らざるを得ないのが実情です。

それにしてもなぜ300トンも漏れることになったのか。私は、今回は東電がきちんと対応していれば防ぐことができた事故だと思います。なぜなら、地下の見えない汚染水とは違って、地上の汚染水はその量や濃度など全体像が分かりますので、厳重に管理されてしかるべきものです。しかし東電の管理体制が甘くて、もう対応しきれないところまで来ているため大量漏えいが起きてしまったと思います。

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例えばこのタンク、これは大小合わせて1000基以上設置されていますが、漏えいを自動で検知する装置は付いていません。そこで東電は一日2回、作業員がタンクの見回りをしています。しかしひとつひとつ見るのではないんですね。20基ほどを堰で囲っていて、堰に汚染水がたまっていないかどうかを確認するだけなんです。

ただこの方法でも過去4回は数リットル漏れた程度で検知できていました。しかし現場では2日に1基の割合でタンクが増え続けていて、今の人員、やり方ではもう追いつかなくなって、大量漏えいしてしまった可能性があると思います。

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管理体制をどう見直すか。まずは東電が、タンクに水位計を付けたりして漏えいをより早く検知できるよう設備を改善していく必要があると思います。また21日に東電が会見で明らかにしたように、見回りの作業員を増やしたりそのやり方を改善していくのは当然なんですが、ここで重要なのは、政府がもっと踏み込んだ対応をしていくことです。

菅官房長官も21日、「政府全体で全力を尽くす」と話していますが、今の東電だけではもう対応できないわけですから、政府が担当者を派遣して、現場で人員が足りているのか、資材はあるのか、お金は足りているのか、ヒトモノカネですね、東電の管理体制をしっかりチェックしていく必要があります。

そして東電も、自分たちがどんな問題を抱えて何に困っているのかを明らかにして、政府と問題を共有して対応していく必要があります。

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今回の事故で規制委はレベル1からレベル3に引き上げを検討しています。確かに漏れ出した量が数千兆ベクレルとみられていますので、レベル3ということで注目されていますが、忘れてはならないのは汚染水問題ではもっと深刻な地下からの汚染水の海への漏えい問題があります。毎日300トンの汚染水が海に流出しています。

タンクの問題は海への流出はまだはっきりしていませんが、地下の汚染水は今まさにこの瞬間も海へ、流れ出しているわけで、こちらの方がレベルも緊急度はより高いといえます。なるべく早くタンクの問題は解決して、東電も政府も地下汚染水の海への流出を防ぐ対策に資源を投入していってほしいと思います。


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http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2013_0822.html