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2013/07/11

原子炉建屋から地中へ漏れた汚染水が地下水と混ざり、海側へ流れている可能性もある=原子力規制委員会

福島第1原発:汚染水、海洋流出疑い強く…対策部会設置へ

毎日新聞 2013年07月10日 21時10分(最終更新 07月11日 01時06分)









 東京電力福島第1原発の敷地内で高濃度の放射性汚染水が検出されている問題で、原子力規制委員会は10日、「汚染水が地中に漏れ、海に拡散している疑いが強い」との見解を表明し、汚染源の特定と対策を検討する作業部会を近く設置することを決めた。水産資源の風評被害などを招かないためにも早急な対応が求められる。【鳥井真平】

 高濃度の汚染水は、海から30メートル以内にある複数の井戸から検出。10日夕までの最高値はトリチウムが1リットル当たり60万ベクレル▽ストロンチウムなどベータ線を出す放射性物質90万ベクレル▽セシウム134が1万1000ベクレル▽セシウム137が2万2000ベクレル−−となっている。

 東電は原因として、「事故直後の2011年4月に2号機取水口付近で汚染水が漏れた際、一部が地中に残留していた」と説明。「環境への有意な影響は見られない」との見解を示している。

 しかし、10日の規制委の定例会では、港湾内の海水や、潮の干満に影響されにくい海側遮水壁の内側の海水では放射性物質の濃度が高い傾向があり「(東電の見解には)疑問がある」と指摘。原子炉建屋から地中へ漏れた汚染水が地下水と混ざり、海側へ流れている可能性もあると見ている。

 規制委の田中俊一委員長は10日の記者会見で「海洋汚染は大なり小なり続いていると思う」と述べ、更田豊志(ふけたとよし)委員も「どれだけ危険が迫っているのか詰める必要がある」と懸念を示した。作業部会では外部の有識者を加えるほか、東電の意見を聞き、原因と対策を考える。

 汚染水は破損した原子炉建屋に地下水が流入し、残された核燃料に水が触れて発生し、1日400トンずつ増えている。政府は、建屋周りの地中の土を凍らせて壁を造り水の流入を防ぐ「凍土遮水壁(地下ダム)」の設置方針を示しているが、効果は不透明。汚染水を保管するタンクも敷地内に増え続けている。【鳥井真平】


http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20130711k0000m040055000c.html





福島第1の汚染水、海洋拡散の疑い 規制委が見解 

2013/7/10 12:56
 東京電力福島第1原子力発電所の海側の井戸から放射性物質が検出されている問題で、原子力規制委員会は10日、「高濃度汚染水が地中に漏れ、海洋への拡散が強く疑われる」との見解を表明した。岸壁沿いの地中に薬液を注入して固める地盤改良や海側の遮水壁の工事を急ぐよう、東電に指示することを決めた。

 規制委はまた、放射性物質が検出されている井戸近くの溝に高濃度の汚染水がたまっていることを指摘。汚染源の可能性があるとし、早期に抜き取り作業に着手するよう東電に促す。田中俊一委員長は「汚染源を明らかにするとともに、適切な対策をとってほしい。海洋生物など環境影響への評価も必要」などと述べた。

 東電は10日、2号機タービン建屋と岸壁の間にある井戸で9日に採取した地下水から、セシウム134が1リットル当たり1万1千ベクレル(8日は9千ベクレル)、セシウム137が2万2千ベクレル(同1万8千ベクレル)検出されたと発表した。

 井戸の近くには2011年4月に高濃度の放射性物質の漏洩があった作業用の穴がある。東電は当時の流出物が残っていると説明しているが、放射性物質濃度の上昇傾向が続く理由は不明。





新たな流入か、2年前の滞留水か 東電・福島第1原発地下水問題

2013.7.10 21:38 (1/2ページ)
 東京電力福島第1原発の2号機タービン建屋海側の地下水から、これまで比較的低い濃度だった放射性セシウムが高い濃度で検出され始めた。なぜセシウムの濃度が跳ね上がったのか。

 トリチウムやストロンチウムはこれまでに検出されていたが、セシウムは8日採取分から急上昇。東電は誤測定の可能性も示唆したが、9日採取分でも検出され可能性は低くなった。

 検出地点の数メートル南には、平成23年4月に高濃度汚染水が海へ漏れ出た作業用トレンチがある。東電は当時漏れ出た汚染水がトレンチ内に残り地中に滞留。土に吸着しやすい特性を持つセシウムが土にこし取られたことで、トリチウムやストロンチウムに比べ濃度が低くなったと推定した。

 ではなぜ濃度が急上昇したのか。産業技術総合研究所の丸井敦(あつ)尚(なお)地下水研究グループ長は建屋内の汚染水が流入してきた可能性に言及。「セシウムは土への吸着性が高く水の中をゆっくりとしか進めない。今回初めてセシウムを含む地下水が観測用井戸に到達し、検出されたことも考えられる」との見方だ。

 丸井氏によると、トリチウムは水とほぼ同じ速度で進むのに比べ、ストロンチウムは水が10メートル進む間に約3メートル、セシウムは約1メートルとより遅くなるという。

 基準値を上回る高濃度のトリチウムとストロンチウムが採取されたのは5月下旬。トリチウムとストロンチウムがいつの時点で検出地点に達したかは不明だが、「セシウムが遅れて着いた可能性は十分考えられる」(丸井氏)。

 汚染水は新たな建屋からの流入なのか2年前の滞留水なのか。それには地下構造を詳細に分析するしかない。筑波大の山中勤准教授(水文科学)は「地下水の正確な動きを把握するには数十本から数百本規模の観測用井戸を掘って測定しなければ、十分に分からない」と指摘する。

 東電は新たな観測用井戸を7月中旬に完成させる予定だが、それでも計7カ所だけ。全容解明には時間がかかることも予想される。(原子力取材班)

http://sankei.jp.msn.com/science/news/130710/scn13071021400002-n1.htm