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2012/09/07

船でえい航しながら海底の放射性セシウムを広範囲に測定できる装置を開発

放射性セシウム:海底濃度を連続計測 東大が開発

毎日新聞 2012年09月07日 10時53分(最終更新 09月07日 11時29分)

 海底の放射性セシウムの濃度を、船を運航しながら連続して測る装置を、東京大のチームが開発した。東京電力福島第1原発事故で拡散した海底汚染はこれまで数キロ〜数十キロおきに「点」でしか計測できなかったが、今回の技術は「線」で測ることを可能にする。局所的に濃度の高い「ホットスポット」の発見などきめ細かい汚染分布の把握につながる。

 装置は全長8メートル、重さ135キロの筒状で、一方の端に測定機が付いている。船上からワイヤで海底まで降ろし、時速4キロ程度で引きずりながら放射性セシウムの濃度を1秒おきに測ることができる。

 8月には、福島県いわき市と北茨城市の沖合で調査を実施。同原発から約75キロ離れた北茨城市沖では、放射性セシウム137の濃度は1キロ当たり225ベクレルだったが、さらに東に約13キロ進むと同70ベクレルになった。文部科学省が定点観測してきたデータの傾向とほぼ一致した。

 浦環(うら・たまき)東大教授(海中ロボット工学)は「水産関係者に基礎データを提供するため、国はこの技術で継続した調査を行ってほしい」と話す。年内に福島原発近くの沖や東京湾などで計測する予定という。【八田浩輔】




東大など、海底土のセシウム連続計測に成功

2012/9/6 13:09
 東京大学の浦環教授と海上技術安全研究所などは6日、東京電力福島第1原発の事故で流出した海底の放射性セシウムの濃度を連続して計測することに成功したと発表した。従来は沖合の特定の場所を単発的にしか計測できなかったが、測定器を船でえい航しながら計測した。局地的に濃度が高いホットスポットの発見や、台風などの影響による分布の変化の解明など、きめ細かい観測に役立つ。

 ガンマ線の測定器を海水の圧力や振動などに耐えられるように改良した。水深500メートルの海底でも使える。測定器の全長は8メートルで重さは135キログラム。ワイヤをつけて、船でえい航しながら計測する。

 研究グループは8月、茨城県北茨城市沖合と福島県いわき市の海底を測定した。北茨城市では、放射性セシウムの濃度が海岸近くから沖合に向かって4分の1程度に下がることを確かめた。文部科学省が実施してきた定点観測の値ともほぼ一致した。

 この測定器を使えば、広範囲の海底の放射性セシウムの濃度分布を把握できるようになるという。今後、国の観測などに活用できるように働きかける。





海底セシウムを広範囲調査=えい航式の測定器開発-東大など

 東京大生産技術研究所と独立行政法人海上技術安全研究所などは6日、船でえい航しながら海底の放射性セシウムを広範囲に測定できる装置を開発したと発表した。東京電力福島第1原発事故で放出され、海底に沈着したセシウムの測定は数キロごとに海底土を採取する方法しかなかったが、研究チームは「『点』の調査から、面的な広がりを持った調査ができるようになる」と話している。

 東大の浦環教授とソーントン・ブレア特任准教授らの研究チームは、放射線検出器や記録装置、電池などを水深約500メートルの圧力に耐える容器に入れ、重りなどと一緒に長さ約8メートルのゴム製チューブに収めた測定装置を開発。ワイヤにつないで海に沈め、船でえい航すれば、海底で直接測定した放射線からセシウム濃度を算出できる。装置は1秒に1回の割合で放射線を検出するため、船の経路に沿って連続的に調査できる。

 8月に福島県いわき市沖と茨城県北茨城市沖で行った実験では、同時に実施した海底土採取による濃度測定とほぼ同じ数値が出た。沿岸から沖合へ約12キロえい航した調査では、沖に向かうにつれセシウム濃度が低下する傾向が明らかになった。(2012/09/06-16:32)
 http://www.jiji.com/jc/zc?k=201209/2012090600675