斑目委員長が反省 原子力安全委員会が18日廃止(09/18 11:55)
原子力規制委員会の発足で役目を終える原子力安全委員会の最後の会議が開かれ、班目春樹委員長は「規制のあり方が形骸化していた」と反省を口にしました。
原子力安全委員会・班目春樹委員長:「(在任中に事故が起き)運命だと思って重く受け止めている。今までの原子力規制のあり方が、あまりにも形骸化していたのではないか」
原子力安全委員会は18日で廃止となり、34年の歴史を閉じます。福島第一原発の事故では、当時の菅総理大臣に対して適切な助言ができず、委員会の存在自体にも批判が集中しました。夕方には原子力安全・保安院も最後の会見を行い、組織が解体され、規制委員会に機能が一元化されることになります。
「事故防げず反省」=原子力安全委が最終会合
原子力の新たな規制機関として原子力規制委員会が19日に発足することに伴い、廃止される原子力安全委員会の最後の会合が18日午前、東京都千代田区で開かれた。活動の総括と新組織への要望の取りまとめが行われ、東京電力福島第1原発事故を未然に防止できなかったことについて、「真摯(しんし)に反省しなければならない」と明言。新組織の人間には「安全確保に対する強い使命感」が求められるとした。
福島事故の前、原発の安全設計審査指針で「長時間の全交流電源喪失は考慮する必要はない」としたまま見直さなかったことについては、「安全審査や安全対策に影響を与えたことを認めなければならない」とし、問題だったとの認識を示した。
電力会社に対しては「安全確保のため最大限の努力を払わなければならない」と要望した。安全委は同日付で廃止される。(2012/09/18-12:43)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012091800261
原子力安全委:最後の会合 班目委員長「反省点は多々」
毎日新聞 2012年09月18日 11時05分(最終更新 09月18日 13時00分)
原発の安全規制を担う「原子力規制委員会」の発足に伴って廃止される「内閣府原子力安全委員会」は18日午前、最後の会合を開き、34年の歴史に幕を下ろした。班目(まだらめ)春樹委員長は、会合の最後に、東京電力福島第1原発事故を防げなかったことについて「反省すべき点は多々ある。備えの大切さを痛感した」と発言した。だが「一般の人はゼロリスクを求め、リスクを前提に議論するのがはばかられる風潮があった」とも述べ、自らの責任には言及しなかった。
安全委は3月、重点的な防災対策を求める区域を原発の8〜10キロ圏から30キロ圏に拡大した防災指針の改定案を提示。原発の耐震設計審査指針(耐震指針)と安全設計審査指針の改定案も示し、福島第1原発で起きた長時間の全電源喪失への対策と、原発ごとの津波の高さの想定方法を規定した。ただ三つの指針の改定作業は終わっておらず、19日に発足する規制委が、各改定案を基に新たな安全基準を10カ月以内に作らなくてはならない。
安全委は、原子力船「むつ」の放射線漏れ事故(74年)で原子力行政への不信が高まったのを受けて78年、原子力委員会から安全確保の機能を分離して発足した。経済産業省原子力安全・保安院とで原発の安全性をダブルチェックする体制だったが、班目委員長は会合後の記者会見で「形骸化しており、必ずしも実効的でなかった」と振り返った。
規制委は、保安院や安全委などに分散していた安全規制の機能を一元化。4月発足の予定だったが、人事案が国会で同意を得られず遅れた。【岡田英】