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2012/08/27

福島県内の18歳以下の子供を対象に行っている検査で約36%の子供の甲状腺にしこり

福島県内の子供36%にしこり 福島以外でも甲状腺検査へ 

2012.8.27 11:24 [放射能漏れ]
 政府は27日までに、福島県以外の全国3カ所で、18歳以下の4500人を対象に甲状腺超音波検査の実施を決めた。東京電力福島第1原発事故を受け、福島県内の18歳以下の子供を対象に行っている検査では約36%の子供の甲状腺にしこりなどが見つかり、これらが事故による影響かどうかを見極めるためデータを集める。

 内閣府原子力被災者生活支援チーム医療班は「良性のしこりは健康な人にもよく見られるものだが、疫学的な調査がこれまでにない。福島県からできるだけ遠く、放射線の影響がない場所で調べる」と話している。

 同チームによると、福島県内で行っている検査と同様の方法で、来年3月まで実施。日本甲状腺学会などの専門医が担当し、疫学の専門家も加えて結果を検討する。





福島県外でも甲状腺調査へ…事故の影響見極め

 東電福島第一原発事故で飛散した放射性物質が子供の甲状腺に与える影響について、政府は福島県内の調査結果と比較するため、事故の影響のない地域でも調査を実施することを決めた。

 福島県の調査では受診者の約36%でしこりが見つかっているが、しこり自体は健康な人でも発見されるため、他の地域と比べることが必要と判断した。

 内閣府原子力被災者生活支援チームによると、調査は3地域に住む18歳以下の計4500人が対象で、地域は今後選定する。超音波検査に使う機器などを福島県の調査と統一し、データを比較できるようにする。調査結果は来年3月までにまとめるという。

(2012年8月27日19時32分  読売新聞)








クローズアップ2012:福島・子供の甲状腺検査 説明不足、不安招く

毎日新聞 2012年08月26日 東京朝刊
 「子供の健康を見守り、安心してもらうため」として福島県が無料で実施している18歳以下の甲状腺検査に、保護者の不安が募っている。セカンドオピニオンを求めて県外の病院を受診する人も続出。背景には結果に関する県の説明不足がある。【須田桃子、鈴木泰広、坂井友子】

 ◇独自受診、県内病院が拒否も

 福島県川俣町に住む60歳の女性は6月、4歳の孫を秋田市の中通(なかどおり)総合病院に連れて行った。車と新幹線で片道3時間、前日から宿泊し、甲状腺の触診と超音波、血液の検査を受けさせた。健康診断のため保険は適用されず、費用は約1万4000円。交通費なども約4万円かかった。

 福島県立医大から検査結果の通知が来たのは2月。「小さな結節(しこり)やのう胞(液体がたまった袋のようなもの)がありますが、2次検査の必要はありません」とあるだけで、約2年後の次回検査まで放置して大丈夫か不安が募った。秋田の病院で複数ののう胞を確認、気が動転した。医師は半年後の再受診を勧め「今度は病名がつき保険も使える」と言ったという。

 この病院には今年3月14日から約5カ月間で福島県の子供ら65人が訪れた。新潟や北海道、首都圏でも同様の受診が相次ぐ。福島医大が実施する県の検査は担当医を日本甲状腺学会など7学会に所属する専門医に限っているものの、検査は設備と経験のある医療機関ならどこでも可能だ。

 だが、遠くまで足を運ぶ人の中には、福島県内で検査を拒否された例が少なくない。会津若松市に避難する2児の母親(38)は市内の5病院に電話をかけ、断られた。「診てもらいたい時に診てもらえないなんておかしい」と憤る。

 医師らに理由を聞くと、「福島医大と異なる判断が出たら混乱を招く」(福島市の小児科医)▽「保護者の不安を解消するのは民間病院の役目ではない」(会津地方の病院)。県の検査に携わる医師の一人は「今回の福島医大の検査は放射線の健康影響を追跡する世界でも例のない疫学調査。他の病院で受けて県の検査を受けない人が出ると、邪魔することになる」と話した。

 福島医大の山下俊一副学長らが1月に日本甲状腺学会など7学会に出した文書の影響を指摘する声もある。県の検査結果に関する相談があった際、「次回の検査までに自覚症状等が出ない限り追加検査は必要ないことを、十分にご説明いただきたい」との内容だ。同学会に所属する医師の一人は「この文書に従うと、医師は診療を拒否してはいけないという医師法に反してしまう」という。

 この文書について山下氏は「県は精度の高い検査を行っているので保護者が混乱しないようにきちんと説明してほしいという意味で、セカンドオピニオンを与えることを否定するものではない」と説明する。

 保護者の不安が広がる中、浪江町は7月、県の検査がない年は町の診療所で検査する事業を独自に始めた。紺野則夫健康保険課長は「県は保護者や子供の気持ちが分かっていない。もっときめ細かく対応しデータを提供すべきだ」と話す。

 ◇詳細結果、開示請求が必要

 福島県の甲状腺検査は、しこりやのう胞の有無、大きさを基に「A1」「A2」「B」「C」の4段階で判定している。BとCは2次検査を受ける。

 保護者の不安が最も大きいのは「A2」だ。しこりなどが見つかったが基準より小さいため2次検査の対象外のうえ、通知にはしこりの数や部位、大きさが具体的に記されていないからだ。福島医大には電話の問い合わせが250件を超え、同大は改善を始めた。今後は結果に関する住民説明会も開くという。

 だが、他にも課題はある。検査前に保護者が署名する同意書には、結果について「(保護者や本人の)希望により、いつでも知ることができる」と明記されているが、医師の所見やエコー画像を見るには、県の条例に基づき情報公開請求しなければならない。

 開示請求はこれまでに6件あった。うち3件が約3週間後に開示されたが、静止画像は通常のコピー用紙に印刷されたもので、より鮮明な画像のデジタルデータは「改ざんされる恐れがある」(福島医大)と提供されなかった。同大広報担当の松井史郎特命教授は「身体に関する情報の取り扱いは特に慎重を期さなければならない。本人と確認するには開示請求してもらうのが確実だ」と説明する。

 これに対し、日弁連情報問題対策委員会委員長の清水勉弁護士は「子供を守るための検査なのに本末転倒だ。検査結果のように本人や保護者にとって切実な情報は、本人と確認できれば速やかに希望する形で開示すべきだ」と指摘。仮に提供した画像が改ざんされても「元データを管理していればよい話で、非開示の理由にはならない」という。