竹島問題の平和的解決を=野田首相「提訴に堂々と応じよ」
野田佳彦首相は17日、韓国の李明博大統領に親書を送り、大統領の竹島上陸や天皇陛下に謝罪要求した発言に遺憾の意を示すとともに、竹島の領有権問題について「近日中に韓国政府に対し、国際法にのっとり、冷静、公正かつ平和的に紛争を解決するための提案を行う」として、国際司法裁判所(ICJ)に提訴する方針を伝えた。
その上で首相は「大局に立って、日韓関係の未来のため、韓国側が慎重な対応をするよう求める」と強調。大統領の竹島再上陸など、日韓対立をさらに先鋭化させかねない行動や発言を自制するよう促したものだ。
また、首相は韓国政府が竹島問題のICJ共同提訴を拒否する立場を示したことについて、首相官邸で記者団に「堂々と応じてほしい」と述べた。韓国側は拒否の理由について「領土紛争自体が存在しない」と主張。日本は単独でも提訴する方針だが、韓国の同意がなければICJでの紛争解決手続きは行われない。 (2012/08/17-21:19)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012081700733
'12/8/17
韓国は「竹島」共同提訴を拒否 「紛争存在せず」
【ソウル共同】韓国外交通商省は17日、竹島(韓国名・独島)の領有権をめぐり、日本が韓国に提案した国際司法裁判所への共同提訴について「領土紛争自体が存在せず、一顧の価値もない」とする報道官論評を発表し、国際司法裁での審理を拒否する姿勢を明らかにした。
論評は竹島を「歴史的、地理的、国際法的に明白に韓国固有の領土だ」とした上で、「日本のいかなる挑発にも断固対処する」と強調した。
論評の原案には、日本の挑発が引き起こす「事態の責任は全て日本が負わなければならない」との警告メッセージが含まれていたが、発表された論評からは削除された。
同省当局者は、その理由を明らかにしていないが、日本を過度に刺激することを避けるため削除した可能性がある。
<竹島領有権>政府が「共同提訴」伝達、韓国は拒否
毎日新聞 8月17日(金)22時20分配信政府は17日、竹島(韓国名・独島(ドクト))の領有権問題を解決するため、国際司法裁判所(ICJ)に韓国と共同で提訴する方針を決め、玄葉光一郎外相が申?秀(シン・ガクス)駐日韓国大使に伝達した。韓国外交通商省の趙泰永(チョ・テヨン)報道官は「領土紛争自体が存在しない」と共同提訴の申し入れを拒否する論評を発表した。これを受け、政府は近く正式に提案し、拒否された場合には単独提訴する方向で検討に入った。
韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領による竹島上陸に対する対抗措置の一つ。日本政府が竹島の領有権問題についてICJ提訴を韓国に提案するのは62年以来。野田佳彦首相は17日、竹島の領有権問題について「国際法にのっとり、冷静、公正かつ平和的に紛争を解決するための提案を行う」とする李大統領あての親書を出した。親書は、李大統領竹島上陸や日韓関係をめぐる発言について遺憾の意を伝えるとともにICJ提訴について「国際法に則り、冷静、公正かつ平和的に紛争を解決するための提案を行う」と説明。「日韓関係の大局に立って、韓国側が慎重な対応をするよう求める」としている。野田首相は同日、首相官邸で記者団に、「(韓国は)堂々と応じてほしい」と述べた。
藤村修官房長官は同日午前の記者会見で、共同提訴の手続き入りに加え、65年に日韓両国で交わした紛争解決に関する交換公文に基づく調停を提案することも明らかにした。
ICJで裁判を開くには(1)当事国双方が同意して共同提訴する(2)当事国の一方が単独提訴し、他方が同意する--の2通り。日本政府はまず共同提訴の可能性を探り、韓国側が拒否すれば単独提訴に切り替える。この場合も同意がなければ裁判は開かれないが、拒否する理由を説明する必要があり、日韓の領土問題の存在と日本の正当性を国際社会に訴えられるとみている。
日本は、秋に改選される国連安全保障理事会非常任理事国に立候補を予定している韓国を支持しないことも視野に入れている。
一方、韓国側は趙報道官の論評で「独島は歴史的、地理的、国際法的にも明々白々たる大韓民国の領土であり、領土紛争自体が存在しない」と主張し、「日本のいかなる挑発にも断固たる対処を取る」と強調した。
また、65年の紛争解決に関する交換公文に基づく調停についても、外交通商省高官は「紛争自体が存在しない」と述べ、拒否する考えを明白にした。【西田進一郎、横田愛、ソウル澤田克己】
引くに引けない韓国政府 竹島問題で国際司法裁への共同付託拒否
2012.8.17 20:39【ソウル=加藤達也】竹島(韓国名・独島)の領有問題をめぐり日本政府が求めた国際司法裁判所(ICJ)への共同付託案を韓国政府は拒否した。
歴代大統領としては初の李(イ)明博(ミョンバク)大統領の竹島上陸は当初、「歴史的業績」として支持する声も多かった。しかし、李大統領はその後も「日本の影響力も以前とは違う」と発言したり、天皇陛下の訪韓に関し独立運動の死者への「心からの謝罪」を要求したりと外交非礼を重ねた。
日本側がICJへの提訴も辞さない構えを取ると、韓国側はようやく事態の沈静化に動いた。青瓦台(大統領府)は大統領発言に対する日本側の理解には「誤解がある」「説明する用意がある」などとしてきたが日本側は提訴方針を変えなかった。
日韓関係の悪化は、経済や文化交流などを含め泥沼化する恐れがある。韓国政府も経済や安保協力などで日本との友好関係が外交的に重要だという認識はあるが、“反日”に火が付くと制御が難しい国民感情の高まりから、引くに引けない状況だ。
韓国メディアも「対立の原因は日本」との基本線は変えていないものの「李大統領の洗練されていない言葉には問題がある」(中央日報)、「行き過ぎではないか」(東亜日報)などと、関係悪化の回避を模索すべきだとする雰囲気が出始めている。
李大統領の言動をめぐり、16日には大統領選への出馬を表明している与党セヌリ党の朴(パク)槿恵(クネ)氏の側近、崔(チェ)●(=日の下に火)煥(ギョンファン)国会議員が「李大統領はポピュリズムに走っている」と発言。崔氏は「(朴氏に)直接見解を聞いていないが、常識的にはそう(自らと同じ見解)だろう」と述べており、日韓間に大きな亀裂を起こした李大統領の言動は韓国政界でも問題視されている。