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2012/06/15

オウム高橋克也容疑者を逮捕

高橋克也容疑者を逮捕

6月15日 12時21分
オウム真理教の一連の事件で特別手配されていた最後の1人、高橋克也容疑者(54)が15日朝、東京・大田区の漫画喫茶で確保され、警視庁は本人と確認したうえで殺人などの疑いで逮捕しました。

逮捕されたのは、オウム真理教の信者だった高橋克也容疑者(54)です。

高橋容疑者は平成7年3月に起きた地下鉄サリン事件でサリンを発生させた豊田亨死刑囚の逃走を支援したなどとして特別手配されていました。


警視庁によりますと、15日午前8時半ごろ、高橋容疑者に似ている男が東京・大田区西蒲田の漫画喫茶にいるという通報が警視庁にありました。

そして捜査員が駆けつけ、高橋容疑者が午前9時20分ごろに会計を済ませて漫画喫茶を出た際に身柄を確保したということです。

確保されたとき、高橋容疑者は1人で、自分は高橋克也だと認めたということです。

警視庁は指紋などによって本人と確認し、午前11時7分に高橋容疑者を殺人などの疑いで逮捕しました。

高橋容疑者は菊地直子容疑者が逮捕された翌日の今月4日の午後、勤め先に近い信用金庫で238万円余りを引き出し、ショッピングセンターでキャリーバッグを購入したあと、逃走を続けていました。

警視庁によりますと、高橋容疑者は午前6時すぎに1人で入店したということで、調べに対して、「ショッピングセンターで買ったキャリーバッグは捨てた。現金数百万円を持っている。キャリーバッグは捨てた」などと供述しているということです。

警視庁は高橋容疑者がどのように逃走を続けたか詳しい足取りを調べています。

また、高橋容疑者は地下鉄サリン事件のほかに、いずれも平成7年に起きた東京の公証役場事務長の監禁致死事件や東京都庁で当時の青島知事宛の郵便物が爆発し、職員が大けがをした事件などにも関わった疑いがもたれています。

警視庁は一連の事件への関わりや、17年間におよぶ逃亡生活の実態の解明を進めることにしています。

身柄確保の現場は川崎から1駅

高橋克也容疑者が確保された東京・大田区の西蒲田地区は、高橋容疑者が最後に確認された川崎市の中心部からおよそ4キロの距離にあります。

神奈川県と東京都との境にある多摩川をはさみ、JR京浜東北線で1駅離れています。

西蒲田地区は、JR蒲田駅の西側にある商業ビルや飲食店などが立ち並ぶ繁華街です。

JR蒲田駅は一日の利用者がおよそ27万人に上る都内でも有数のターミナル駅で、私鉄も乗り入れています。

高橋容疑者がいた漫画喫茶

高橋克也容疑者が確保された漫画喫茶は、JR京浜東北線の蒲田駅の北、およそ100メートルの、繁華街の一角にある8階建てのビルの1階にあります。

この店のホームページによりますと、店は年中無休の24時間営業で、1時間の利用料金は300円となっています。

深夜は割引料金が設定され、1800円で14時間滞在できるなど、いくつかの料金パターンが用意されています。

店には、いくつかのタイプのスペースがあり、この中には1人で利用できる個室もあります。

この店の関係者は「朝、出勤したら、店には警察官が来ていて、報道関係者からの問い合わせの電話も相次ぎ、驚いた。何が起きたのか詳しいことは分からない」と話していました。

高橋克也容疑者の足取り

地下鉄サリン事件などに関わったとして殺人などの疑いで特別手配されていた高橋克也容疑者(54)のこれまでの足取りをまとめました。

高橋容疑者は、菊地直子容疑者らと共に平成8年の11月ごろ、埼玉県所沢市のマンションに潜伏していましたが、捜査員がマンションに踏み込む直前に逃亡し行方が分からなくなっていました。

それから15年余りが経過した今月3日、菊地容疑者が逮捕されたことをきっかけに、その後の足取りが分かってきました。

高橋容疑者は神奈川県の新横浜や川崎のホテルを菊地容疑者と転々として逃亡生活を続けたということです。

そして、平成9年の春ごろに川崎市内のマンションに住んだあと平成13年の夏に川崎市幸区のアパートに移り、菊地容疑者と偽名を名乗って一緒に住んでいたということです。

菊地容疑者は平成19年の春にこのアパートを離れましたが、高橋容疑者はそのまま生活を続け去年の10月に川崎市内の建設会社の社員寮に移り住んだということです。

そして、菊地容疑者が逮捕された翌日の今月4日の午後、「親族が危篤なので1週間休ませてほしい」と上司などに電話をかけていました。

同じ日の午後には会社近くの信用金庫で238万円余りを引き出したあとショッピングセンターでキャリーバッグを購入し会社の事務所などに立ち寄ったあと行方が分からなくなっていました。







高橋克也容疑者逮捕 なりふり構わぬ公開捜査が実を結んだ結果に

オウム最後の特別手配犯・高橋克也容疑者(54)は15日、東京・大田区の蒲田駅近くの漫画喫茶で身柄を確保され、逮捕された。
今回、警視庁は、防犯カメラ、似顔絵、さらに筆跡など、立て続きに捜査の情報を公開した。

今回の異例の公開捜査は、従来の捜査1課の捜査手法とは全く異なったものといえる。

ある意味、大きな賭けにも出たともいえる警視庁だが、高橋容疑者逮捕に向けた執念が実を結んだ結果となった。

警視庁は、高橋容疑者が逃走を図った6月4日以降、5種類もの防犯カメラのほかに、証明写真や似顔絵、さらに筆跡なども公開した。

また13日には、フジテレビのスーパーニュースに捜査1課の幹部、原 雄一理事官が生出演し、番組中に情報提供を直接呼びかけるなど、異例の公開捜査を展開した。

そのうえでの高橋容疑者逮捕に、吉田尚正刑事部長は、午後3時の記者会見で「高橋容疑者について全国から1,700件以上の情報が寄せられた。深く感謝申し上げる」と、情報を寄せた都民・国民に謝意を述べた。

一方、逮捕に至るまでには、悔いの残る捜査もあった。

3日に逮捕された菊地直子容疑者(40)をかくまっていた高橋寛人容疑者(41)の供述から、高橋容疑者の2011年までの潜伏先が判明した。

警視庁は4日午前中には、現在の勤務先に関する情報を割り出していた。

しかし、捜査員が勤務先に向かったのは、その日の夕方で、高橋容疑者が逃走を図った4時間後だった。

この悔しさを、警視庁がなりふりかまわぬ懸命の捜査で挽回したといえる。
まさに全国民を巻き込んだ今回の捜査だったが、最終的には、一般人からの通報の逮捕という形
で、公開捜査が実を結んだ。

捜査情報を公開して一般からの情報を呼びかけるという新しい捜査手法について、警視庁幹部は、今後も個別の事件ごとに検討したうえで、新しい捜査手法として活用していきたいと話している。 (06/15 18:03)