菊地容疑者逮捕 江川紹子さんがコメント
2012年6月5日 4:00 >地下鉄サリン事件で殺人などの疑いでオウム真理教の菊地直子容疑者が逮捕されたことを受け、オウム事件を取材してきたジャーナリスト・江川紹子さんは、「(教団元幹部の)平田信被告(=逮捕監禁の罪などで起訴)がようやく捕まり、そして2人目(菊地容疑者)が捕まった。過去の事件をきちんと片づける上では意味があった」と話した。
その上で、「特に彼女が捕まったからといって何か新しいことがわかるということではないと思いますが、(オウム特別手配犯の)高橋克也容疑者がどこに逃げているかということを追いかけるヒントが見つかるとすれば、それは意味があることだと思います」と語った。
江川紹子さん「生きていてよかった」 菊地容疑者逮捕
2012年6月3日22時48分オウム真理教元信徒の菊地直子容疑者(40)を3日、警視庁が殺人の疑いなどで逮捕した。
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〈オウム真理教の事件に詳しいジャーナリストの江川紹子さんの話〉 生きていてよかった。逃走して捕まらなかったために有名人になってしまったが、事件全体を見ると、たいした存在の人ではないと思う。教団と離れていて、信仰への考え方も変わっているだろう。まだ若いのだから、知っていることを話し、過去のことをきちんと清算してほしい。
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〈教団からの脱会者を支援してきた「オウム真理教家族の会」の会長、永岡弘行さんの話〉 昨年末に平田信被告が出頭し、かくまっていた女性も出てきた。元幹部を死刑とした昨年の裁判も含めて様々な報道を見て、自分がとんでもないことをしたと心は揺れていたと思う。だから、「菊地か」と尋ねられ、素直に「はい」と答えたのだろう。本人もほっとしているのではないか。あとは自分がやったことを包み隠さず話してほしい。
【菊地容疑者逮捕】江川紹子さんの見方
'12/6/5元オウム真理教信者の菊地直子きくち・なおこ容疑者(40)は必死に逃走していた感じがしない。地域の結び付きが強くて、よそ者の存在は目立ちそうな土地に住んだり、介護という人と接する仕事をしたり、同居していた高橋寛人たかはし・ひろと容疑者(41)=犯人蔵匿の疑いで逮捕=に素性を明かしたりしたことで、いずれ通報されるリスクがあった。
出頭する決意はないが、逃げるのをあきらめたか潜伏生活にくたびれたのかもしれない。
長い間捕まらなかったのは、警察にも問題がある。昨秋、菊地容疑者の潜伏先近くの住民が「似た人がいる」と情報提供したとの報道があるが、これ以前にも同じようなことが起きていたかもしれない。昨年末に平田信ひらた・まこと被告(47)が警視庁に出頭した際も、機動隊員がいたずらと判断し、門前払いした。何とか捕まえようという士気が感じられない。全体的に緩んでいたのではないか。
今回の逮捕で、教団の活動について菊地容疑者しか知り得ないような秘密が明らかになることはないと思う。ただ、特別手配中の元信者高橋克也たかはし・かつや容疑者(54)と菊地容疑者が最近まで接点があるとすれば、足跡をたどるヒントにはなるだろう。
菊地容疑者の裁判は、平田信被告に続き裁判員裁判で審理されるかもしれない。事件から17年がたち、実感を伴った記憶のない人も多い中で、菊地容疑者のような普通の人間が教団に引き寄せられてのめり込み、事件に関わったということを伝える意味では大きな役割を果たすと思う。事件の背景を丁寧に解明することで、一般の人が考える機会にしてほしい。