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2012/03/15

重慶市トップの薄熙来・前党委員会書記が解任

重慶市トップを解任 中国 副市長事件で責任

 2012年3月15日 夕刊
【北京=安藤淳】十五日の新華社電によると、中国共産党中央委員会は、重慶市トップの薄熙来同市共産党委員会書記(62)=政治局員=の職を解き、後任に張徳江副首相(65)=政治局員=を充てる人事を決定した。

  薄氏をめぐっては、側近だった王立軍副市長が二月上旬、四川省成都の米総領事館に駆け込んだ事件を受け、その動向に注目が集まっていた。同日の新華社電によると、王副市長も解任された。



  薄氏の解任の理由や次のポストは明らかになっていないが、党指導部が王氏の事件をめぐり、薄氏にも責任があると判断したもようだ。薄氏は秋の党大会で最高指導部入りも取り沙汰されたが、今回の解任で絶望的になった。党指導部内での権力闘争が活発化するとの観測もある。

  薄氏は全国人民代表大会(全人代=国会)開会中の九日、記者会見し、同事件について自身にも監督責任があることを認めた。その一方で、事件を「個別の事件」と述べるとともに「上級部門から聴取を受けていない」と潔白を強調していた。

  これに対し温家宝首相は十四日、全人代閉幕後の記者会見で、同市党委員会や市政府に強く反省を求め、薄氏を暗に批判していた。

  薄氏の父親は副首相を務めた薄一波氏(故人)で、高級幹部の子弟を指す「太子党」に属する。大連市長や遼寧省長、商務相を経て、二〇〇七年に政治局員に昇格、重慶市党委書記を務めていた。就任後、王氏とともに暴力団一掃キャンペーンを推進した実績をアピールし、常務委入りを狙ったとされる。 

<米総領事館駆け込み事件> 中国重慶市トップの薄熙来共産党委員会書記の側近で、暴力団一掃に取り組んだ王立軍副市長について、市は2月初め、兼任していた公安局長を解任する人事を発表、同月8日に体調不良で休養しているとした。その後、中国外務省は王氏が同月6日に四川省成都の米総領事館を訪問していたと明らかにし、王氏の亡命申請説が出た。王氏は中国当局の取り調べを受けているとされ、最高指導部入りが有力視されていた薄氏への影響が注目されていた。 (共同)



習・次期国家主席の権力基盤に影響も 重慶市トップ薄氏解任

2012/3/15 12:23 (2012/3/15 13:38更新)


【北京=島田学】中国重慶市の薄熙来・前党委員会書記が解任された。元副首相を実父に持つ薄氏は党の老幹部の子弟ら「太子党」で、次期最高指導者に内定している習近平国家副主席の信頼も厚いとされるが、汚職撲滅などを巡る強引な手法への党内批判の強さが浮き彫りになった形だ。次期指導部人事を巡り太子党と党青年組織である共産主義青年団(共青団)の駆け引きが続く中、習氏の権力基盤にも影響が及ぶ可能性がある。

  現在、党内は習氏が権力基盤とする太子党と、胡錦濤国家主席や次期首相の有力候補である李克強副首相の出身母体である共青団が勢力を二分する。今後、次期指導部の上位9人に当たる常務委員のポスト争いが激しさを増すのは必至。常務委員の下に現在16人いる党中央政治局員ポストの争奪も注目される。

  共青団の一部にはこれまでも、習氏の勢力拡大を防ごうと薄氏の次期指導部入り阻止を図る動きがあった。薄氏失脚で習氏の権力基盤が打撃を受ければ、次期指導部の人選に共青団の意向が大きく反映される可能性もある。太子党と共青団のどちらが多数を占めるか。渾沌(こんとん)とする権力争いの行方は、さらに10年後の指導部の顔ぶれをも左右することになる。

  「これまでの重慶市は改革を進めて成果を上げてきた。(薄氏がトップを務める)現在の重慶市党委員会は反省が必要だ」。温家宝首相は14日の全国人民代表大会(全人代)閉幕後の記者会見で、党に混乱をもたらしたとして薄氏を厳しい口調で批判。会場に居た記者団も静まりかえった。

  最近の薄氏への逆風の直接の原因は、薄氏の元側近である重慶市の王立軍前公安局長が2月、四川省成都の米国総領事館に駆け込み、その後中国の公安当局に拘束された事件だ。

  薄氏は2007年の重慶市党委書記就任後、毛沢東時代の革命歌を歌おうという保守的な「唱紅歌」運動を展開。暴力団や腐敗の一掃を掲げた「打黒」運動でも重慶市民の支持を得た。ただ、ポピュリズム(大衆迎合主義)的な手法は、共青団を中心に共産党内でも不評で「打黒」運動の裏で政敵に汚職の罪を着せ、駆逐しているといううわさも絶えなかった。

  同運動の指揮をしたのが王氏。王氏が米国総領事館に駆け込んだ詳しい背景は依然不明だが、薄氏と王氏が過去に重慶市党委書記を務めた現指導部層の過去の汚職を暴こうとし、反発を受けて王氏が拘束されたとの情報も飛び交っている。

  薄氏解任劇で勢いづくのは共青団だ。王氏事件の直後には、王氏の後任に共青団出身者を送り込んだ。薄氏から重慶市党委書記を引き継ぐ張徳江副首相をつなぎ役として、今年秋に発足する次期指導部では、共青団出身の周強・湖南省党委書記が重慶市党委書記に就くという観測まで出ている。









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 重慶市党委員会が指導幹部会議を召集 

 中央が指導部の人事調整を決定


  重慶市共産党委員会は15日、全市指導幹部会議(議長:黄奇帆副書記)を召集し、同市指導部の人事調整に関する中共中央の決定を貫徹するよう伝達した。重慶日報が伝えた。


会議では李源潮中央組織部長(中央書記処書記、中央政治局委員)と張徳江副総理(中央政治局委員、重慶市党委員会書記)が重要談話を発表。


  張紀南・中共中央組織部副部長が▽張徳江同志が重慶市党委員会委員、常務委員、書記を兼任する。薄煕来同志は今後重慶市党委員会委員、常務委員、書記を兼任しない▽王立軍を重慶市副市長のポストから解任し、後任に何挺同志を指名する。この任免は法律の規定に従って行う--との中央の決定を伝達した。


  李源潮・中央組織部長は「王立軍が成都市の米総領事館を秘かに訪れ、留まった事件は重大で、悪質な影響がある。中央は王立軍事件の調査を強く重視している。今回の重慶市党委員会指導部の調整は、中央が王立軍事件の重大な政治的影響に鑑み、目下の情勢と大局に立ち、慎重な検討を経て決定したものだ」と指摘。


  さらに「中央は重慶の取り組み、発展、変化を是認している。ここ何年かの重慶市の改革開放と現代化の成果および無数の幹部・大衆の貢献は、王立軍事件と切り離して考えなければならない。近年、重慶市の党委員会と政府は全市の無数の幹部・大衆を団結させ、指導し、鋭意進取し、しっかりと努力し、各取り組みで新たな進展を遂げ、都市と農村の姿を大きく変化させた。こうした成果は党中央と国務院の正しい指導の結果であり、重慶市の歴代および現任の指導部、そして3200万人民の共同奮闘の結果であり、重慶駐留部隊、武装警察の将兵の共同努力および退役同志の支持と手助けの結果だ」と指摘した。


  李源潮・中央組織部長はまた「中央は重慶の取り組みを強く重視して、張徳江同志の重慶市党委員会書記兼任を決定した。張徳江同志は民生部常務副部長、吉林省、浙江省、広東省の党委員会書記を歴任、中央政治局委員を2期務め、現在は副首相だ。張徳江同志は政治力が強く、公正で品行方正だ。民主的で責任感が強く、指導経験が豊富だ。大局を御し、複雑な問題を処理する能力が高い。党中央の正しい指導の下、張徳江同志をトップとする重慶市党委員会は市各レベルの指導層および無数の幹部・大衆を団結させ、指導し、積極的に進取し、現実に基づき実務に励み、仕事に努力し、重慶の経済と社会のより良く、より急速な発展の推進において新たな、より大きな成果を上げるものと信じている」と述べた。


  張徳江副総理は「私は中央の決定と李源潮同志が中央を代表して行った重要な談話を完全に支持する。中央が私の重慶着任を決定したことに、重大な責任を強く感じるとともに、重慶人民に奉仕する機会を与えられたことを非常に喜んでいる」と述べた。


  黄奇帆・重慶市党委員会副書記は「断固として中央による王立軍事件の処理を支持し、重慶市党委員会指導部の人事調整を支持する。政治を重んじ、大局に配慮し、紀律を守らなければならない。思想、政治、行動において胡錦濤同志を総書記とする党中央との高度の一致を断固として維持し、張徳江同志の取り組みを全力で支持し、重慶の大局の安定をしっかりと守り、科学的発展の推進に努めなければならない」と述べた。

(編集NA)  「人民網日本語版」2012年3月16日