2012/3/7 22:28
首都直下地震で、文部科学省の研究プロジェクトチームが7日、想定される18種類の地震のうち最大の被害をもたらすとされる「東京湾北部地震」が起きれば、東京23区の東部などで震度7になる恐れがあるとする分析結果を公表した。これまでは最大でも同6強だった。被害想定がどう変わるのかをまとめた。
Q 震度とは。
A 地上での揺れの大きさを表す。震度0~7まで10段階ある(5、6は弱強の各2段階)。地震の大きさはマグニチュード(M)で、M7級の大地震でも震源が深ければ、震度は小さい。逆にM5級でも直下の浅い場所だと、震度は比較的大きくなる。
Q 震度6強と同7とで揺れはどの程度違うのか。
A どちらも、はわないと動くことができないほどの激しい揺れで、違いは実感できない。ただ、震度6強だと、傾いたり倒れたりする多くが耐震性の低い木造建物にとどまるが、同7になると、鉄筋コンクリートの建物でも耐震性が低ければ倒れてしまう。建物が損壊する比率は数倍に跳ね上がるとされる。
地震が夜間に起きれば圧死者が増える可能性が高い。東京湾北部地震は最悪約1万1000人の死者が出ると予想されるが、うち6割が火災によるもので、建物の倒壊に巻き込まれる人は3割弱。この数字が震度7になれば大きく増える。
Q 超高層のビルやマンションへの影響は。
A 大半が免震、制震装置を導入しており、震度7でも建物が倒れたり大きく壊れたりすることはない。ただ、時間をかけてゆっくり揺れる長周期地震動が強いと、高層階ではOA機器や家具が飛ばされることも考えられ、被害は甚大だ。
Q 今回、なぜ震度7に想定が上がったのか。
A 研究チームは過去5年間、南関東の296地点に設置した地震計で、日々起きている地震の震源や地震波の伝わり方を調べた。M7.3と想定される東京湾北部地震を起こす北米プレート(岩板)とフィリピン海プレートの境界面が、従来より約10キロメートル浅い地下20~30キロメートルにあると分かった。震源の位置も浅く見直され、地震の規模は同じままでも震度が1段階上がった。
Q 震度7を記録した地震はこれまでにもあった?
A 東日本大震災のほかに、04年の新潟県中越地震で観測された。1995年の阪神大震災も震度7だが、当時は体感震度や建物の被害状況などから算出していた。
東京湾北部地震の予測が格上げ 震度6と7はどれだけ違う
2012年2月23日 12:00震源予測が浅くなった
文部科学省の研究チームの調査により、東京湾北部を震源とする首都直下型地震の震度予測が6から7に引き上げられた。
首都直下型の地震を引き起こす震源は、北アメリカプレートの下にフィリピン海プレートが沈み込んでいる場所だ。この境界線で推定より10キロ程度浅い場所が見つかった。
震源が浅くなれば、同じ規模の地震でも震度予測は大きくなる。震度7は東日本大震災、阪神・淡路大震災クラス
震度6と震度7の地震ではどれだけの違いがあるのか。
気象庁震度階級では震度は10段階に設定されており、震度7が最高だ。震度6には弱と強があるが、震度6では立っていられない、這わないと動けない程度とあるが、震度7では揺れに翻弄されて自由意志で動けない。
震度6では固定されていない家具が転倒したり、耐震性の低い建物が倒壊するが、震度7ではほとんどの家具が揺れにあわせて移動し、家電品のうち数キログラム程度の物が跳ねて飛ぶこともある。耐震性の高い建物でも倒壊の危険性があるという。
築31年の耐震補強をしていない木造住宅は、震度7の揺れが加わると、ものの10秒で土煙を上げて崩れ落ちる。
政府による被害予測は震度6では死者1万人以上、被害をうける建物85万棟であった。調査結果は来月8日にまとまるが、更に深刻な被害が予測される。改めて防災対策の見直しを迫られそうだ。