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2012/02/21

世界の風力発電の総容量2億3800万kW 10年間で10倍に  日本は新設低迷

風力発電、5年で原発を逆転? 海外で増加、国内は低迷
2012年2月21日5時51分


 世界の風力発電の総出力は昨年末で約2億3800万キロワットに上り、10年間で10倍になったことが分かった。横ばい状態の原発とは対照的で、今の伸びが続けば、5年以内に逆転しそうな勢いだ。

 世界風力エネルギー協会によると、世界全体でこの1年間に約21%、4100万キロワット増えた。10年に米独を抜いてトップに立った中国がさらに大幅に増やして約6300万キロワットに達した。深刻な経済危機に見舞われた欧州も独英で各100万キロワット以上導入されるなど、欧州全体で前年より約12%伸びた。

 世界の風力発電は2001年末時点では2390万キロワットに過ぎなかったが、08年には約5倍に増え、それから3年でさらに倍増した。

 一方、11年末の日本の総出力は、中国がこの1年に導入した量の約7分の1の約250万キロワット。前年比7%の伸びにとどまった。

 http://www.asahi.com/business/update/0220/TKY201202200449.html




世界の風力発電量、2.38億KWに
サイエンスポータル
February 21, 2012
世界の風力発電の総容量は昨年末時点で2億3,800万キロワットに達し、10年間で10倍になったことが分かった。

世界風力エネルギー会議(Global Wind Energy Council;GWEC)が公開したリポート「Global Wind Statistics 2011」によると、世界の風力発電の設備容量は昨年1年間だけで約21%(4,123万6,000キロワット)増加した。2001年末の時点では2,390万キロワットの総容量だった。

世界一の風力発電大国は中国で、昨年だけで1,800万キロワットを新規増量し、総容量は6,273万キロワットとなった。総容量の2位は米国の4,691万キロワット、3位はドイツの2,991万キロワット。日本は約16万キロワット増の250万キロワットで13位にとどまった。






風力新設伸びず 日本は中国の100分の1
2012年2月20日 夕刊
 昨年一年間に日本で新たに建設された風力発電の容量は17万キロワット弱で、世界全体の0・4%にすぎなかったことが、業界団体でつくる「世界風力エネルギー協会(GWEC)」の調査で20日、分かった。トップの中国は日本の100倍超の1800万キロワットと大きく伸びた。

 東京電力福島第一原発事故を受けて世界的に再生可能エネルギーへの期待が高まっているが、日本では風力発電事業者からの固定価格買い取り制度の詳細が決まっていないのが低迷の背景。脱原発依存に向けて大幅導入への環境整備が課題だ。

 GWECによると、各国で2011年に新設された風力発電の総容量は4,123万キロワット。うち日本は168,000キロワットで、10年の221,000キロワットから減少。世界ランキングでは昨年の18位から21位に後退した。最も多かったのは中国で1800万キロワット。次いで多い米国の681万キロワットを大きく引き離した。

 風力発電は地球温暖化対策や石油代替エネルギー源として注目され、各国は経済刺激策の一つとも位置付けて再生可能エネルギー拡大の一環として力を入れている。

 こうした状況もあって、既存設備を合わせた11年末の世界の総設備容量は、前年比21%増の2億3835万キロワットと初めて2億キロワットの大台に乗った。うち、中国は6273万キロワットで、発電能力ベースで見ると世界全体の4分の1を占める状況となっている。

 日本の風力発電関係者は「再生可能エネルギーの拡大に重要な固定価格買い取り制度の導入は決まったが、買い取り価格などの詳細が未定のまま。電力会社の姿勢も不透明で大規模な投資ができる状況ではない」としている。



WORD BOX 固定価格買い取り制度 西日本新聞

固定価格買い取り制度  太陽光や風力発電など再生可能エネルギーによる電気を、電力会社が発電事業者から一定の価格で買い取ることを義務付ける仕組み。地球温暖化対策や脱原発依存に向け、日本もドイツなどに続いて7月施行の再生エネルギー特別措置法に基づき実施する。
 発電事業者の投資リスクを減らして導入を促すには、検討中の買い取り価格をどれだけ高く設定するかが鍵になる。
(2012年2月20日掲載)



期待の風力発電 現実は厳しく
原発事故の影響で、自然エネルギーに対する関心が高まっていますが、全国の自治体が建設した風力発電所の85%までが、風量の不足などから計画通りに発電できていないことがNHKの調査で分かりました。
廃棄物が出ない次世代のエネルギーとして大きな可能性を秘める一方で、故障や取り壊しに至るケースも相次いでいる風力発電所の現状について、岐阜放送局の藤谷萌絵記者が解説します。

赤字は年に5000万円

岐阜県恵那市の上矢作地区では、5年前、地区のおよそ9割に当たる750世帯が出資して民間企業と共に風力発電の会社を設立しました。
国から6億円余りの補助金を受けて13基の風車を建設し、年間1800万kWhを発電する計画でしたが、昨年度までの4年間、毎年の発電量は計画のほぼ4割止まり。
毎年5000万円程度の慢性的な赤字となっています。
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原因は弱い風

建設時の想定よりも弱い風しか吹かなかったことが原因で、今後も発電量が改善する見通しは立たないままだということです。
計画を中心となって進めた住民の1人は、「世の中に先駆けて自然エネルギーを利用しようと作ったが、風車が思うように回らず、大変残念だ。見通しが甘かった」と話しています。
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85%が計画下回る

全国には、自治体が国から補助金を受けて建設した風力発電所が、北海道から沖縄まで60か所にあります。
NHKは、これらの発電所の運転状況について調査を行い、このうち54か所から回答を得ました。
その結果、全体の85%に当たる46の発電所では、昨年度の発電量が計画を下回り、計画の3分の2に満たない発電所も半数に上りました。
さらに、全体の16%については、計画の3分の1に届いていませんでした。
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なぜ計画どおりにいかない?

なぜ、建設時の計画どおりに発電ができないのか。
その最も大きな原因は風量の不足です。
日本では、ヨーロッパの偏西風のように1年を通して安定した風が吹かないうえ、国土には山間地が多く、風車を建てられる場所も山の上などに限られています。
また、日本は落雷が多いほか、台風の通り道でもあるため、風車の羽が壊れる被害も相次いでいます。
自治体のおよそ半数は、海外メーカーが製造した風車を利用しているため、部品を取り替えるのにも長い時間がかかり、安定的な発電の妨げになっているといいます。
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相次ぐ故障や取り壊し

このため各地には、取り壊されたり、止まったままになったりしている風車もあります。
長崎県佐世保市の風車は落雷によって故障し、復旧には1億円近くかかるため、市は今年度末で撤去することを決めました。
沖縄県北谷町の風車は塩害による故障で止まったままで、島根県出雲市の風車も故障のため2基のうち1基が停止しています。
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各地で相次ぐ、回らない風車。
自然エネルギーの利用に詳しい岐阜大学工学研究科の安田孝志教授は、「風力発電は天候に大きく左右される不安定なものなので、安易に過大な期待を寄せるべきではない。地域ごとの課題を一つ一つ地道に乗り越えながら、導入に適した場所で普及させていくべきだ」と指摘しています。
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 期待に応えられるか?

原発事故の影響で、自然エネルギーに対する関心が高まるなか、風力発電はとりわけ大きな期待を集めています。
今回、調査した自治体のもの以外に、第三セクターや民間会社が造った発電所もあり、国内全体の陸上の可能な場所に建設していけば、太陽光発電の2倍近い2億8000万キロワットを発電できる可能性があると国は試算しています。
次世代のエネルギーを期待だけで終わらせないため、綿密な調査と正確な想定に基づいた風力発電所の建設が求められています。
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(2月17日 16:20更新)