2月21日 17時53分
東証マザーズに上場する風力発電の会社の社長が、投資家に注意を促す監理銘柄に会社が指定されるという情報を、公表前に複数の知人に漏らしていたことが関係者への取材で分かりました。
知人らは株を売り抜けて損失を免れたということで、証券取引等監視委員会は、インサイダー取引の疑いで強制調査に乗り出しました。
インサイダー情報が漏れていたのは、風力発電事業の会社で、東京・港区にある「日本風力開発」です。
「日本風力開発」は、おととし、監査法人から指摘を受けたため、有価証券報告書の届け出が遅れ、上場していた東証マザーズから投資家に注意を促す監理銘柄に指定されました。
このため、株価は一時70%以上下落しましたが、関係者によりますと、日本風力開発の社長が、知り合いの2人に監理銘柄になることを公表前に知らせていたということです。
これを受けて、兵庫県の50代の主婦が、持っていた株をすべて売却して5000万円以上の損失を免れていたほか、別の会社役員も600万円近くの損失を免れたということです。
証券取引等監視委員会は、インサイダー取引をした疑いで、会社役員に課徴金の支払いを命じるよう金融庁に勧告するとともに、主婦については、刑事告発を視野に強制調査に乗り出しました。
日本風力開発は、その後、有価証券報告書を届け出て、監理銘柄の指定は解除されています。
今回の問題については、「調査中でコメントできない」などとしています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120221/k10013182481000.html
インサイダー取引:容疑の女性を強制調査 証券監視委
東証マザーズ上場の風力発電事業会社「日本風力開発」(東京都港区)の株価暴落に関わる未公表情報を入手し、不公正な株取引をしたとして、証券取引等監視委員会が金融商品取引法違反(インサイダー取引)容疑で兵庫県の50代の女性を強制調査していたことが分かった。女性は同社株を売却し、5000万円以上の損失を回避したとみられ、刑事告発を視野に慎重に調査を進めている。
関係者によると、同社は10年6月、同年3月期の有価証券報告書を法定期限内に提出できなかったことを理由に、東京証券取引所から監理銘柄に指定された。指定を受けて日本風力開発は上場廃止の危機に陥ったが、女性はこの情報を事前に同社幹部から入手し、大量の株を売り抜けた疑いがあるという。
東証が監理銘柄に指定した翌日の10年6月15日の株価は14万3600円(終値)で前日比4万円も暴落しており、女性は手持ちの株の大半を売却し、5000万円以上の損失を免れたとみられる。
毎日新聞 2012年2月21日 21時37分
監理銘柄指定でインサイダー容疑=社長知人を強制調査-監視委
東証マザーズ上場の「日本風力開発」(東京都港区)が、上場廃止基準に該当する恐れのある「監理銘柄」に指定されることを同社社長から聞いた知人が、公表される前に株を売り抜けて損失を免れるインサイダー取引をした疑いがあるとして、証券取引等監視委員会が、金融商品取引法違反の疑いで強制調査していたことが21日、分かった。監視委は神戸地検への刑事告発を視野に調査を進める。
関係者によると、強制調査を受けたのは兵庫県の50代の主婦で、保有していた株を公表前に売り抜け、5000万円以上の損失を回避したとみられるという。(2012/02/21-20:34)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012022101242
証取監視委、インサイダー取引で課徴金勧告・日本風力発電役員が内部情報を漏洩
( コンポジット 2月6日 11:44 )
証券取引等監視委員会は6日、投資家が日本風力発電関係者 <2766> の役員から情報提供を受けたインサイダー情報を使って同銘柄の売約したとして、653万円の課徴金納付命令勧告を行うように金融庁に対して勧告を行った。
証券取引等監視委員会によると、この投資家は2010年6月、日本風力発電の役員から同社の会計監査人に異動し、それに伴い2010年3月期の有価証券報告書の提出が遅延し、同銘柄が監理銘柄に指定される可能性があることを聞き、同銘柄の売却を実施。
証券取引等監視委員会ではこの行為は、融商品取引法第175条第1項に規定する「第166条第1項又は3項の規定に違反して、同条第1項に規定する売買等をした」行為に該当するとしている。
日経新聞の報道によると、この投資家は「北海道在住の60代の男性会社役員」だとしている。
日本風力発電関係者では、同社役員がインサイダー情報を外部に漏洩し、その情報に基づきインサイダー取引が行われたことについて「当社としては、事実関係を調査するとともに、当社の情報管理体制やコンプライアンス 体制に不備がなかったかといった点についても検証を行ない、これらの結果を受け必要に 応じて適切に対処してまいります」としている。
その日本風力開発が、先週来、証券市場の信頼を失わせる不祥事の連続で、株価はストップ安を繰り返し、市場からの退場はもちろん、企業の存続すら危ぶまれている。
発端は、6月14日、意見の合わない会計監査人の新日本有限責任監査法人(新日本監査法人)を解任、新たにやよい監査法人を選任したと発表したことだった。原因は、日本風力開発の従業員が、取引先従業員と交わした「覚書」にある。新日本監査法人は「覚書」が09年3月期決算の「収益」に影響を与えたとして決算の修正を要求、日本風力開発はこれを拒否、解任に至った。
IR(投資家向け広報)では、「覚書」の中身にまでは踏み込んでいない。しかし、新日本監査法人が販売手数料の収益計上に問題があると指摘したのだから、たとえば「買い戻し特約」のようなものがをつけて風力発電機の売買が成立するといったような“工作”をしたのだろう。
3月期決算の会社が、この時期に会計監査人を解任、監査が未了なのだから、当然、有価証券報告書は作成できない。東京証券取引所は6月14日、日本風力開発を監理銘柄に指定、翌日は前日比4万円安の14万3600円まで売り込まれた。イメージが先行する「環境銘柄」は、期待のメッキが剥げると、投資家の逃げ足も速い。同社株は、以降も売りが売りを呼ぶ展開となって下げ続けた。
さらに証券市場の落胆を誘ったのは、6月21日、IRで「主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ」を出したことだった。創業オーナーの塚脇社長が、日本風力開発株で金融機関から「株担保融資」を受けていたところ、株価の急落で金融機関が担保権を実行して株を売却していたことが判明した。
もともとの塚脇氏の保有割合は、約11%の1万6500株。この日の発表は7080株だったが、残りの株も担保に入っているので担保権行使は確実。当然、「売り材料」で、22日はストップ安の5万5400円まで下げた。