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2011/12/16

野田総理、「ステップ2」の完了を宣言。「原子炉は『冷温停止状態』に達した」

「原発事故収束」と首相宣言 冷温停止しステップ2終了
 野田首相は16日、政府の原子力災害対策本部の会合で、東電福島第1原発事故について「原子炉は冷温停止状態に達し、事故そのものが収束に至ったと判断できる」と述べ、事故収束への工程表の「ステップ2」完了を宣言した。

 3月11日の地震と津波で原発の全電源が喪失、3基で燃料溶融が起きる未曽有の原子力事故発生から9カ月余り。事故対策の進展を内外に示す狙いだが、原子炉内の状況は把握のめどが立たず、広範囲の除染や住民の帰宅など重い課題が残る中での「収束宣言」には批判が必至だ。

2011/12/16 18:00 【共同通信】






政府・東電「原子炉は冷温停止状態」 事故は収束との判断示す
2011/12/16 19:20
 政府と東京電力(9501)の統合対策室は16日、福島第1原子力発電所の事故に関し、「原子炉は『冷温停止状態』に達し、不足の事態が発生した場合も敷地境界における被曝(ひばく)線量が十分低い状態を維持することができるようになった」との認識を公表した。記者会見した細野豪志原発事故担当相は「発電所そのものの事故は収束したと判断した」と語った。併せて、定例化した政府と東電の合同記者会見は16日で区切りを付ける考えも示した。〔日経QUICKニュース〕



冷温停止に「非常に満足」=普天間移設実現目指す-米国務副長官
 来日中のナイズ米国務副長官は16日、都内の米大使館で会見し、東京電力福島第1原発原子炉の冷温停止状態達成が宣言されたことについて、前日に玄葉光一郎外相から見通しを伝えられていたことを明らかにし、「復旧に向け、日本政府は正しい選択をしたと非常に満足している」と述べた。その上で、「除染作業では、米政府や多くの米企業が支援を申し出ており、日本側と緊密に連携しながら取り組んでいけると信じている」とし、除染作業への協力に前向きな姿勢を示した。

 一方、在沖縄海兵隊グアム移転費の予算計上が米議会で却下されたことに関し、「日米両国は(グアム移転とセットとなった)米軍普天間飛行場移設を望んでいる。米軍再編計画に基づき、普天間移設は課題を乗り越えて遂行されると確信している」と述べ、引き続き現行計画の下で早期実現を目指す考えを強調した。(2011/12/16-19:42)

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011121600876


冷温停止宣言を歓迎=IAEA事務局長
 【ベルリン時事】国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は16日、東京電力福島第1原発の原子炉が冷温停止状態を達成したと日本政府が宣言したことについて、「重要な前進」と歓迎する声明を発表した。
 同事務局長は「東京電力と日本政府は(事故収束に向けた)工程表の『ステップ2』を計画通り年内に完了した」と評価。今後も日本への支援を続ける方針を示した。(2011/12/16-22:23)

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011121600989



政府の宣言 専門家からは批判の声
12月16日 17時35分
政府が東京電力福島第一原子力発電所の事故について「原子炉は『冷温停止状態』に達した」として、事故の収束に向けた工程表の「ステップ2」を完了したことを宣言したことについて、専門家から批判の声が上がっています。

原子力の安全に詳しい九州大学の工藤和彦特任教授は「国や東京電力は『冷温停止状態』ということばを使っているが、原子炉では限られた手段での冷却しかできない状態にある。単なる区切りをつけるために宣言したものに過ぎない。正常に動いている原子炉を止めたときに使っている『冷温停止』とは相当違った状態であることをしっかり認識すべきだ」と述べました。

そのうえで、工藤特任教授は「原子炉を安定的に維持できるようになったことは一定の評価はできる。ただ、原子炉の状態や冷却方法が著しく改善されたわけではなく、安定した状態を再確認したに過ぎない。また、原子炉の溶けた燃料の状態がほとんど分かっていない状況で、今ある限られたデータによる推測しかできていない以上、今後もデータの不確かさをカバーするために、新たに機器を設置して圧力や水位も測れるようにするなど、状況の把握を進める必要がある」と話しました。

また、工藤特任教授は汚染水の処理施設からの水漏れを例に「今なされているのは事故の応急措置として『にわか作業』で作り上げたものであり、対策が十分でなかったことを示している。今の状態で仮設の施設を今後も使い続けなければならないこともあるわけで、あらゆる場所で水漏れが起きないことを示していく必要がある」と話しました。



作業員「政府ウソばかり」
2011年12月17日 朝刊
 「冷温停止状態」を通り越し「事故収束」にまで踏み込んだ首相発言に、福島第一原発の現場で働く作業員たちからは、「言っている意味が理解できない」「ろくに建屋にも入れず、どう核燃料を取り出すかも分からないのに」などと、あきれと憤りの入り交じった声が上がった。

 作業を終え、首相会見をテレビで見た男性作業員は「俺は日本語の意味がわからなくなったのか。言っていることがわからない。毎日見ている原発の状態からみてあり得ない。これから何十年もかかるのに、何を焦って年内にこだわったのか」とあきれ返った。

 汚染水の浄化システムを担当してきた作業員は「本当かよ、と思った。収束のわけがない。今は大量の汚染水を生みだしながら、核燃料を冷やしているから温度が保たれているだけ。安定状態とは程遠い」と話した。

 ベテラン作業員も「どう理解していいのか分からない。収束作業はこれから。今も被ばくと闘いながら作業をしている」。

 原子炉が冷えたとはいえ、そのシステムは応急処置的なもの。このベテランはまた地震が起きたり、冷やせなくなったら終わり。核燃料が取り出せる状況でもない。大量のゴミはどうするのか。状況を軽く見ているとしか思えない」と憤った。

 別の作業員も「政府はウソばっかりだ。誰が核燃料を取り出しに行くのか。被害は甚大なのに、たいしたことないように言って。本当の状況をなぜ言わないのか」と話した。



首相、原子炉「冷温停止状態」 廃炉に最長40年
福島第1原発 2011/12/16 21:10
 政府は16日、東京電力福島第1原子力発電所の事故収束に向けた工程表の第2段階(ステップ2)の完了を確認した。野田佳彦首相は記者会見で「原子炉が冷温停止状態に達し、発電所の事故そのものは収束に至った」と宣言。ただ「冷温停止状態」は、原子炉圧力容器内に燃料が閉じ込められ、水につかっている前提で使う通常の「冷温停止」の定義とは異なり、住民帰還のメドも立たない。廃炉には最長40年必要で、実態としての事故収束にはなお長い時間がかかる。

 政府、東電が4月に作成した工程表は安定冷却までをステップ1、冷温停止状態までをステップ2とし、事故収束を目指してきた。ステップ1は7月に達成。ステップ2は来年1月の目標を1カ月前倒しで到達した、としている。

 首相は本部長を務める原子力災害対策本部の会合後の記者会見で「闘いが終わったわけではない。廃炉に至るまで息を抜かず努力する」とも語った。除染作業の人員を来年4月をメドに3万人以上確保し、来年度予算案を含め1兆円超の費用を用意する考えを示した。

 半径20キロメートル圏内で原則立ち入り禁止の警戒区域の見直し着手も表明。長期的な帰宅困難区域に関し「国が責任を持ち長期的対策を検討する」とし、国による土地買い上げ、借り上げなどを協議する意向を表明した。東電の国有化に関しては「円滑な賠償実施へ様々な選択肢の検討を指示している。あらゆる可能性を念頭に来春までに集約する」と述べるにとどめた。

 首相は事故収束と判断した理由を、圧力容器底部の温度が100度以下で、トラブルが生じても原発敷地外の放射線量を十分低く保てる、と説明。圧力容器内にほぼ燃料がないとの見方もあるが、首相は「格納容器全体の温度も測りながら出した結論」と主張した。

 首相は政府・東電の中長期対策会議を設置し、従来の統合対策室は廃止した。政府は20日をメドに廃炉に向けた中長期の工程表を発表する。工程表では原子炉建屋内の使用済み核燃料について2年後に取り出し作業に着手する目標を記す。廃炉完了まで30~40年がかかるとし、費用負担が今後の焦点になる。

 政府は半径20キロメートル圏内で原則立ち入り禁止の警戒区域と、20キロメートル圏外の計画的避難区域の見直しの考え方を、年末までに示す。年間放射線量が50ミリシーベルトを超える地域は「長期帰還困難区域」として新たに指定する。除染で生じた放射性廃棄物を保管する中間貯蔵施設の同区域への建設も検討する。

 細野豪志原発事故担当相は16日の記者会見で「政府は今後、除染、被害者の健康の不安を取り除くことや、賠償などの問題にしっかり向き合う」と強調。同席した東電の西沢俊夫社長は「燃料取り出しや廃棄物管理など中長期的な課題に責任を持って取り組む」と語った。福島県の佐藤雄平知事は16日、冷温停止状態の宣言について「避難住民の帰還が実現する新たな一歩になるよう期待するが、事故収束に向けた道のりは長く険しい」と災害は進行中との認識を示した。

 福島第1原発は3月11日の東日本大震災発生直後に全電源を喪失。冷却機能を失い、1号機と3、4号機が水素爆発した。冷却機能を回復し、原子炉が「冷温停止状態」に至るまで9カ月がかかった。



いずれ迫られる政治判断=「集団移転」検討も-福島原発・冷温停止
 東京電力福島第1原発事故で、政府は16日、冷温停止状態の達成を宣言し、事故対応は「一つの節目」を迎えた。政府は今後、年間放射線量の高さに応じて、長期間にわたり帰宅が難しくなる区域を設けるなど、避難区域を再編する方針。除染作業に全力を挙げるが、避難住民からは「集団移転」を求める声も出ており、厳しい政治判断を迫られることになりそうだ。

 「依然多くの皆さまが住み慣れた故郷を離れざるを得ない状況にある。できる限り早く帰還し、生活を再建できるよう、政府一丸となって取り組んでいきたい」。野田佳彦首相は同日の原子力災害対策本部で、除染などに取り組む決意を強調した。

 政府は除染関係予算として、2011年度第3次補正予算に2459億円を計上。13年度までに1兆1000億円を超える巨費を投じる予定だ。首相周辺は「チェルノブイリの土地は捨てられたが、日本には捨てるほどたくさんの土地はない。コストは掛かるが、土地を回復させなければならない」と、意義を訴える。(2011/12/16-19:36)

 http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&rel=j7&k=2011121600853



冷温停止状態
 冷温停止状態 本来の冷温停止は、原子炉内の冷却水の温度が100度以下になり、放射性物質が内部に閉じ込められて管理され、原子炉が安定した状態を示す。東京電力福島第1原発事故では、核燃料が溶けて炉心溶融(メルトダウン)が起きている上、原子炉を覆う建屋が大破しており、通常の定義を当てはめられない。政府・東電は(1)圧力容器底部が100度以下(2)放射性物質の放出が低減されている-と新たに定義し、収束に向けた目標にしてきた。(2011/12/16-16:32)

 http://www.jiji.com/jc/c?g=tha_30&k=2011121600643