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2011/12/07

埼玉県春日部市の工場で3月14日~20日に製造した粉ミルクから放射性セシウム

粉ミルクからセシウム 40万缶無償交換へ
 食品大手の明治(東京)は6日、粉ミルク「明治ステップ」(850グラム缶)から最大で1キログラム当たり30・8ベクレルの放射性セシウムが検出されたことを明らかにした。埼玉県春日部市の工場で3月14~20日、牛乳や水などを混ぜた原料を乾燥させた際、東京電力福島第1原発事故で大気中に飛散したセシウムが混入した可能性があるとしている。



 厚生労働省も事実関係の調査に乗り出した。原発事故後に粉ミルクからセシウムが検出されたのは初めて。製品は全国に出荷されていて、明治は約40万缶を対象に無償交換する。

 国が定める粉ミルクの暫定基準値(1キログラム当たり200ベクレル)は下回っており、放射線防護の専門家は「直ちに人体に影響が出る数値ではない」と話している。ただ乳児は大人より放射性物質の影響を受けやすいとの指摘があり、厚労省は新たに乳児用食品群の基準値を近く設定する。

 明治によると、無償交換の対象は賞味期限が2012年10月3、4、5、6、21、22、23、24日の製品。日付は缶の底に記されている。賞味期限が12年9~11月の23検体を調べ、4検体から21・5~30・8ベクレルのセシウムが検出された。

 原料のもとになる牛乳は、原発事故前に生産されたものという。

 明治は「お湯に溶かすと3~4ベクレル程度になり、健康への影響はないと考えられるが、購入者の不安を解消するため商品を交換する」(広報担当者)としている。

 福島県二本松市の市民団体が11月下旬、明治の粉ミルクを測定し、セシウムを検出。詳しい検査を同社に求めていた。

 厚労省が明治を含む複数メーカーの粉ミルク25検体を7~8月に調べた際は、いずれも検出限界(5ベクレル)未満だった。

 明治は粉ミルクの国内販売シェア4割の最大手。明治ステップと同じ製品は、別の商品名でベトナムに輸出されている。

 該当製品の交換は郵便番号344-0057、埼玉県春日部市南栄町1の5、明治埼玉工場へ料金着払いで送る。問い合わせはフリーダイヤル(0120)077369。(共同)

 [2011年12月6日17時46分]





セシウム:明治の粉ミルクから検出 最大30ベクレル、埼玉で製造 40万缶交換
 食品大手の明治(東京都江東区)は6日、粉ミルク「明治ステップ」850グラム缶の一部から1キロあたり最大30・8ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。厚生労働省によると、粉ミルクからのセシウム検出は初めて。乳製品の暫定規制値(1キロあたり200ベクレル)未満で、毎日飲んでも健康に影響ないレベルとされているが、同社は「安心して使っていただくことを最優先する」として、検出された製品と近い時期に製造した同銘柄の約40万缶を無償で交換する。

 セシウムが検出されたのは、同社埼玉工場(埼玉県春日部市)で3月14~20日に製造した粉ミルクを使ったものの一部。11月28日、「ステップで放射性物質が出たと聞いた」と報道機関から問い合わせがあり、在庫分などを調べたところ、21・5~30・8ベクレル検出された。前後の期間に製造した粉ミルクを使った商品は、いずれも検出限界値(1キロあたり5ベクレル)未満だった。

 原料の粉乳は大部分が豪州など外国産で一部は北海道産だが、いずれも東日本大震災以前に製造された。

 同社は、粉乳を水などと混ぜ合わせて霧状に噴霧したものを熱風で乾燥させて粉ミルクを作っており、「乾燥の過程で取り込んだ外気に含まれるセシウムが影響した」とみている。

 同社は4月末から毎月1回程度、放射性物質の定期検査を行っているという。

 無償交換の対象は、賞味期限が来年10月3~6日、同21~24日の製品で全国に流通。問い合わせは同社お客様センター(0120・077・369、平日午前9時~午後5時)。【曽田拓、石川隆宣】

 ◇「驚きない」以前から検出情報
 粉ミルクからのセシウム検出について、2歳の長男がいる東京都世田谷区の主婦、中山瑞穂さん(41)は「驚きはない。やっぱりという感じ」。11月中旬には、市民測定所の検査で、この製品からセシウムが検出されたとの情報がフェイスブックを通して母親仲間で流れていたという。中山さんは「乳製品は放射線の影響を受けやすい子どもたちが毎日飲むもの。もっと早く調査をし、情報を開示してほしかった」と不信感を募らせる。

 東京都調布市の「二葉くすのき保育園」の栄養士、谷口春奈さん(32)は「乳児の成長にどう影響するか分からないので不安。原因を明らかにしてほしい」と話した。【和田浩幸、黒田阿紗子】
 ◇製造各社は対応追われ
 粉ミルクメーカー各社には6日、購入した母親らから「検査しているのか」などの問い合わせ電話が殺到し、対応に追われた。

 森永乳業(工場・東京都東大和市)は「自社の精密測定器で月に1回以上検査しているが、これまで不検出が続いている」とし、当面は現時点の検査態勢を維持する構え。アサヒビール系列の和光堂(工場・栃木県さくら市)は「精密測定器や簡易検査キットで数日おきにサンプル検査しているが、検出されたことはない」(親会社アサヒグループホールディングス広報部門)という。

 雪印メグミルクは、製造を関連会社ビーンスターク・スノー(工場・群馬県大泉町)に委託しており、「7月に1度商品を検査したが、不検出だった」と説明。ビーンスターク・スノーも販売を手がけており、明治の問題の商品が3月中旬に製造されたことから、「同じころに製造した商品があるかどうか調べている」としている。【川崎桂吾】

毎日新聞 2011年12月7日 東京朝刊





粉ミルク、乾燥工程でセシウム汚染か
 明治の埼玉工場(埼玉県春日部市)では、工場内に取り込んだ大量の外気に液体の乳原料を霧状にして当てて乾燥させ、粉ミルクに加工している。今回放射性セシウムが検出された製品は、福島第1原発事故直後の3月14~20日にこの乾燥工程があったという。工場は福島第1原発から南西に直線距離で約180キロ。明治は「この期間に飛来した放射性物質が影響を及ぼした」と判断している。

 明治によると、原乳を粉状にした原材料は北海道や米国、オーストラリア、欧州から工場に搬入。水と栄養分などを混ぜて再び液体にし、約200度に熱した空気に当てる仕組み。

 空気取り込み口には、ちりやほこりを除去するフィルターがあるが、放射性物質は想定しておらず、セシウムは吸着されなかったとみられる。3月以降も明治は同じ乾燥製法を続けている。(共同)

 [2011年12月6日21時23分]