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2011/11/28

イラン、駐英国大使を国外追放の可能性

イラン 英の経済制裁をけん制
11月28日 8時11分
イランの核開発問題を巡ってアメリカとともにイギリスが新たな経済制裁を発表したことに対して、イランの国会は、大使の追放などイギリスとの外交関係を見直す法案を可決し、欧米各国によるさらなる経済制裁をけん制するねらいがあるものとみられます。



イランの核開発問題を巡って、今月、外交関係を断絶しているアメリカとともにイギリスが、自国の金融機関に対しイランのあらゆる銀行との取り引きを制限するなどとした新たな経済制裁を発表しました。

これに対してイランの国会は、27日、イギリスとの外交関係を見直す法案を賛成多数で可決しました。この法案は、今後、上部組織の「護憲評議会」で審査されますが、成立すれば、2週間以内に駐イランのイギリス大使を追放し、イギリスとの経済交流を大幅に制限することになります。

ラリジャニ国会議長は、「イギリスは、自分たちの振る舞いがわれわれに監視されていることを認識しなければならない。これは始まりに過ぎない」と警告しました。

これに対してイギリス外務省は、「遺憾なことであり、イラン政府が、このような行動を取った場合には、国際社会と連携して対応に臨む」とする声明を出しました。核開発問題を巡って、フランスもイランからの石油購入の停止を各国に呼びかけているほか、EU

=ヨーロッパ連合がさらなる経済制裁を検討しており、イランには、こうした動きをけん制するねらいがあるものとみられます。






2011年 11月 27日(日曜日) 16:07
駐イラン英大使が、国外追放処分の可能性
イラン国会・国家安全外交政策委員会のコウサリー議員が、「イラン駐在のイギリス大使が、国外追放処分となる可能性がある」と語りました。

イラン国会は27日日曜、イランに対するイギリス政府の対応と、イギリスによる対イラン独自制裁への対抗措置として、イギリスとの外交関係を代理大使級に格下げすることを、過半数の賛成票により決定しました。

コウサリー議員は27日、イラン国会でのこの決定について、「今回の決定により、イラン駐在のイギリス大使が国外追放処分となる可能性が高まった」と述べています。
また、イランがイギリスとの外交レベルを代理大使級に格下げすることは、イギリスにとって危険信号である、としました。

イラン国会では、2年前からイギリスとの外交関係レベルの格下げの是非が提起されていました。

今回の法案により、イラン国会は同国外務省に対し、イラン国民の権利擁護と国家の利益の維持という枠組みで、2週間の間、イギリスとの外交関係を代理大使級に格下げし、同国との経済貿易関係を最低限に下げることを義務付けています。

さらに、今後イギリス政府の敵対政策に変化が見られれば、イラン外務省はイギリスとの外交関係レベルを上げることが可能となります。

そして、イラン国会は同国の外務省に対し、イギリスと同様な態度をとる他の国について、国会内で適切な決定を行うための報告書の提出を義務付けました。

イラン国会・国家安全保障外交政策委員会のブルージェルディー委員長は27日、国会の公開会議において、1979年後のイラン革命の勝利後の出来事において、イギリスが破壊的な役割を果たしているとし、「イギリス政府は、テヘランにある自国の大使館の可能性や便宜を活用し、またBBCテレビやラジオを利用して、ここ数年におけるイランの出来事における破壊的な役割を果たしてきた」と述べています。







イラン:英大使追放へ 経済制裁に報復
 【テヘラン鵜塚健】イランの政策に関し、最終決定権を持つ護憲評議会は28日、駐イラン英国大使を追放し、対英関係を縮小するとした法案を全会一致で承認した。核開発問題を巡り、英国がイランに対して新たな経済制裁を決めたことを受けた報復措置。法案は2週間以内の大使追放を規定している。英国は「正当性がなく遺憾だ」と法案に強く反発しており、両国関係が緊迫する可能性がある。

 国際原子力機関(IAEA)が今月8日、イランの核兵器開発疑惑を巡る「根拠」を列挙し、「深刻な懸念」を示した報告書を公表。これを受け、英国は21日、米国やカナダと同調して、イラン中央銀行を含むイランの全金融機関と自国の銀行との取引停止を禁じる制裁措置を発表した。

 イラン中央銀行は原油取引の決済にかかわる、いわばイランの「生命線」。制裁の影響で原油輸出が大幅に減少すればイラン経済への重大な影響が予想される。このためイラン国会は27日、両国関係の見直しを盛り込んだ法案を賛成多数で可決し、護憲評議会も28日、これを追認した形。

 法案は、両国が互いの大使駐在を停止し、臨時代理大使が任務に当たるとしている。国営テレビによると、ラリジャニ国会議長は「英国は絶えず我々に行動を監視されていることを知るべきだ。これは単なる始まりだ」と威嚇した。

 イランは80年以降、米国と断交しており、英国大使が追放されれば、西側諸国とのパイプがより縮小することを意味する。欧州連合(EU)も新たな経済制裁を検討しており、イランは英国に対して断固たる姿勢を見せることで、今後同様の制裁が拡大するのをけん制する狙いがあるとみられる。

毎日新聞 2011年11月29日 13時52分