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2011/11/28

ベルギー、1年半ぶりに正式な政権発足の見通し…長期国債格付け引き下げで

政治空白500日のベルギー、連立政権で合意
【ブリュッセル=工藤武人】昨年6月の総選挙以来、正式政権が不在のベルギーで27日、主要6政党による連立交渉が合意に達した。

 6党党首が同日、共同記者会見し、「連立政権が数日中に発足できる」との見通しを示した。米格付け会社による長期国債の格付け引き下げで、危機感を強めた6党が緊縮策を盛り込んだ2012年予算案で歩み寄り、連立政権発足を急ぐことにした。

 国王アルベール2世は、南部フランス語圏(ワロン系)社会党のエリオ・ディルポ党首(60)に組閣を指示しており、同党首が新首相になる見通しだ。



 ディルポ党首は27日の記者会見で、12年予算案で財政赤字を国内総生産(GDP)比約2・8%に圧縮し、15年に財政均衡を目指す方針に6党が合意したと正式に発表。「ベルギーは財政健全化に向け、必要な策を打ち出せることを証明した」と述べた。

 ベルギーの公的債務残高は、GDP比約97%と、ユーロ圏17か国ではギリシャ、イタリアに次いで3番目に大きい。だが、フランス語圏と北部オランダ語圏(フラマン系)との根深い地域間対立から連立交渉が長引き、500日以上にわたって正式政権を欠く中、本格的な財政再建策に着手できずにいた。

(2011年11月28日10時51分 読売新聞)






ベルギー 1年半ぶり正式政権
11月28日 8時11分
正式な政権の不在が1年半にわたって続いていたベルギーで、ヨーロッパの信用不安の拡大で国債の格付けが引き下げられたのをきっかけに、難航していた連立交渉が大きく進展し、来月初めにも政権が発足する見通しになりました。

ベルギーでは、北部のオランダ語圏と南部のフランス語圏の対立を背景に、去年6月の総選挙以降、連立政権樹立に向けた交渉が難航し、正式な政権が発足できない異常な事態が続いています。

こうしたなか、アメリカの大手格付け会社が政権不在などを理由に、先週、ベルギーの国債の格付けを1段階引き下げたのをきっかけに、財政悪化への懸念から連立交渉が大きく進展し、交渉に加わっていた6つの政党は、この週末の徹夜の交渉で、最大の対立点となってきた来年度予算案の編成で合意しました。

これを受けて、交渉を主導してきたフランス語圏の社会党のディルポ党首は、27日、ほかの5つの政党の党首らと記者会見し、「来週にも新たな政権を発足させたい」と述べ、組閣作業を急ぐ考えを示しました。

これによりベルギーでは、来月初めにも1年半ぶりに正式な政権が発足する見通しになりましたが、ヨーロッパの信用不安がベルギーのように財政状況が比較的健全と言われてきた国にも拡大するなかで、財政再建を図り市場の信頼を回復するという重い課題を背負うことになります。


連立政権の樹立を目指すベルギーの各党が来年度の予算案で合意したことを受けて、EU=ヨーロッパ連合で経済を担当するレーン委員は、27日、声明を発表し、「財政赤字をGDP=国内総生産の3%以内に抑えるというEUのルールに従うものだ」として歓迎しました。EUは、正式な政権が不在の状態が長期にわたって続くベルギーで、財政状況が悪化していることに懸念を表明し、財政規律が守れない場合には、制裁も辞さないとする厳しい姿勢を示していました。










ベルギー国債、S&Pが「AA」に1段階格下げ
2011.11.26 Sat posted at: 11:13 JST
ニューヨーク(CNNMoney) 米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は25日、ベルギーの長期国債の格付けを「AA+」から「AA」に1段階格下げすると発表した。「AA」はS&Pの上から4番目の格付けで、依然として投資適格だが、同社は今後のさらなる格下げを示唆した。

S&Pは今回の格下げの理由として、「資金調達や市場リスクの圧力が再び高まっている」とし、これらのリスクにより、ベルギーの金融部門が困難に直面しているとの認識が高まり、今後金融機関への政府支援の必要性が高まると見ていると述べた。

またS&Pは、ベルギーは国内総生産(GDP)の8割以上を輸出に依存しており、外需の落ち込みの影響をもろに受けやすいと指摘。ベルギーの公的債務は2011年末に国内総生産(GDP)比で93%に達し、早期に100%を突破する恐れもあるとの見方を示した。

ベルギー国債の利回りは、ユーロ圏の他の国々と同様に上昇傾向にある。25日、ベルギー10年債の利回りは5.86%と、6週間前の4%から大幅に上昇した。

またイタリアでも25日の短期国債の入札が不調に終わったのを受け、10年債の利回りは危険水域とされる7%を再び超えた。さらに今週、これまで安全資産とされ、ユーロ圏の国債で最も利回りの低かったドイツ国債の入札で、思うように買い手が集まらず、札割れとなった。

またS&Pは、ベルギーの予算問題への対応能力を疑問視するもう1つの理由として政局の混乱を挙げている。ベルギーでは昨年6月の総選挙以来、1年以上も無政府状態が続いている。



ベルギー国債:格下げ--S&P
 【ロンドン共同】米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は25日、ベルギー国債の長期信用格付けを1段階引き下げ、上から3番目の「ダブルA」にしたと発表した。見通しも「ネガティブ(弱含み)」で、一段の格下げもあり得るという。銀行間市場での資金調達が難しくなる中、ベルギー国内の銀行に対する支援の必要性が増し、同国財政を圧迫する恐れがあることが格下げの主な理由。

 今年10月に同国では、ギリシャ国債絡みの損失などからベルギー、フランス系金融大手デクシアが破綻。ベルギー政府は40億ユーロ(約4100億円)でデクシアの同国銀行部門を一時国有化することを決めている。

 S&Pは今後の格付け見通しについて「政府の純債務が国内総生産(GDP)比で(現在の93%から)100%を超えれば、さらに格下げもあり得る」と警告した。

毎日新聞 2011年11月26日 東京夕刊