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2011/11/28

病気と被曝線量の因果関係については「ないものとみているが不明」

福島第1原発:吉田所長が病気で退任
 東京電力は28日、福島第1原発の吉田昌郎(まさお)所長(56)が入院治療のため12月1日付で所長職を退き、本店内の原子力・立地本部に異動する人事を発表した。東電は、吉田所長の病気と被ばくとの因果関係はないとしている。



 東電によると、吉田所長は検診の結果、今月中旬に病気が見つかり、15日から第1原発勤務を外れた。21日、西沢俊夫社長に退任を申し出て、24日に入院した。後任には、原子力運営管理部の高橋毅(たけし)部長(54)が就く。

 高橋部長は82年、東京大大学院(船舶機械専攻)を卒業、同年東電に入社。福島第1原発ユニット所長(1~4号機)などを歴任し、昨年6月から現職。

 吉田所長の病名や累積被ばく線量について東電はプライバシーを理由に明らかにしていないが、松本純一原子力・立地本部長代理は28日の会見で「最終確定はしていないが、担当医からは(被ばくと病気との)因果関係はないと聞いている」と述べた。事故収束への影響について「退任は作業現場にはショックが大きいが、年内に冷温停止を目指すというスケジュールに影響はない」と強調した。

 また東電は同日、「第1原子力発電所の皆さんへ」と題した吉田所長のメッセージを公表した。この中で吉田所長は「一緒に仕事してきた皆さんとこのような形で別れることは断腸の思い。ご迷惑をおかけすることになり、心よりおわびする」などとつづっている。

 吉田氏は79年に東電に入社。一貫して原子力分野の要職を歴任し、昨年6月から福島第1原発所長(執行役員)。震災発生直後から、現場で事故処理の陣頭指揮に当たった。

 今月12日、事故後初めて原発敷地内で報道陣の取材に応じ「できる限りのことをやった。感覚的には『もう死ぬだろう』と思ったことが数度あった」などと振り返っていた。【中西拓司】


 ◇「放射線影響ないと確認」…細野原発担当相
 細野豪志原発事故担当相は28日夜、退任する東京電力福島第1原発の吉田昌郎所長について「原発事故以降、現場の皆さんを励まして事故収束に貢献された方だ」と評価。所長の病気と被ばくの関連については「放射線の影響ではないということは確認できており、心配する必要はない」と語った。【笈田直樹】

毎日新聞 2011年11月28日 19時50分(最終更新 11月28日 22時47分)





福島第1原発の吉田所長、病気療養で交代
「断腸の思い」 2011/11/28 20:19
 東京電力は28日、福島第1原子力発電所の事故収束の陣頭指揮を執っていた吉田昌郎所長(56)が病気により入院し、来月1日付で交代すると発表した。病名などについて東電は個人情報として明らかにしていない。経済産業省原子力安全・保安院は28日の東電発表まで病気療養の事実を把握していなかったという。

 吉田所長は原子力・立地本部付となる。後任は高橋毅原子力運営管理部長(54)が就任する。

 東電によると、吉田所長は今月14日まで原発で勤務、今月中旬に受けた健康診断で病気が見つかり、15日に離れた。12日に原発内で初めて取材に応じ「冷温停止に向かって丁寧にご説明していく」と説明したが、3日後には職場を離れたことになる。

 21日に西沢俊夫社長に入院加療が必要と申し出て、24日に入院したという。

 東電は病名のほか放射性物資の被曝(ひばく)線量について公表できないとしている。病気と被曝線量の因果関係については「ないものとみているが不明」としている。

 吉田所長は28日、第1原発の作業員ら向けに「震災以来一緒に仕事をしてきた皆さんとこのような形で別れることは断腸の思い」などと文章によるコメントを出した。

 後任の高橋氏は2007~10年まで福島第1原発でユニット所長に就いていた。東電は「第1原発をよく知っており、事故収束のために適任と判断した」としている。

 藤村修官房長官は同日の記者会見で、「第1原発の事故収束に影響がないよう政府として注視していきたい」と述べた。