2011年11月25日03時01分
宮内庁が、皇族女子による「女性宮家」創設の検討を「火急の案件」として野田首相に要請したことがわかった。
併せて安定的な皇位継承制度の実現も求めている。皇室典範は、女性皇族について、一般の人との結婚などにより皇族の身分を離れるとしており、女性宮家創設にあたっては、宮家の当主となる女性皇族が結婚後も皇族の身分を保つよう、典範の一部を改正することになる。
現在の皇室の構成は、天皇陛下と皇族方22人。男性皇族方7人のうち4人は60歳を超えている。また、未婚の皇族女子は、天皇陛下の孫では皇太子ご夫妻の長女、愛子さま(9)、秋篠宮ご夫妻の長女、眞子さま(20)、次女の佳子さま(16)の3人、昭和天皇の弟の三笠宮さまの孫にあたる彬子(あきこ)さま(29)ら5人、合わせて8人で、うち6人が成人されている。
宮内庁側は、今後、結婚により女性皇族が皇籍を離れるなどして皇族方が少数になると皇室全体の活動に支障が出ると危惧しており、羽毛田信吾長官が先月5日に首相官邸で野田首相に直接、女性宮家創設により皇族方の減少をくい止めることが喫緊の課題と伝えたほか、政府高官にも同庁側から説明が行われた。
(2011年11月25日03時01分 読売新聞)
女性宮家の創設視野に検討へ
11月25日 18時55分
政府は、女性の皇族が結婚によって皇室を離れ、皇族が減少している現状を踏まえ、結婚後も皇族にとどまれる「女性宮家」の創設も視野に入れて、安定的な皇位の継承の在り方を検討していくことになりました。
宮内庁の羽毛田長官は、先月5日に総理大臣官邸を訪れ、野田総理大臣に対して、女性の皇族が結婚によって皇室を離れ、皇族が減少している現状を説明しました。
これについて、藤村官房長官は午前の記者会見で「宮内庁長官から、『現行の皇室典範の下では、女性皇族の方は婚姻によって皇室を離れられる制度となっており、女性皇族の方々がご結婚年齢に近い年齢になってこられている』という話があった。こうした状況が皇室のご活動という意味で、緊急性の高い課題となっているという認識が示された」と述べました。
そのうえで「現在、皇太子殿下、秋篠宮殿下の次の世代の皇位継承資格者は、悠仁親王殿下おひと方であり、政府としては、安定的な皇位継承を確保するという意味では、将来の不安が解消されているわけではないと認識している。安定的な皇位の継承を維持することは、国家の基本に関わる事項であり、国民各層のさまざまな議論を十分に踏まえながら、今後、検討していく必要があると考えている」と述べ、政府として、「女性宮家」の創設も視野に入れて、安定的な皇位の継承の在り方を検討していく考えを示しました。
さらに、藤村長官は午後の記者会見で、「女性宮家」を創設する場合に必要となる皇室典範の改正にどのようなスケジュールで取り組むかについて、「課題の緊急性をどのくらいの時間で考えるかだ。放置していいとは思っていないが、慌てて急いで議論することでもない。今の段階で、何か月、何年と言うことではない」と述べました。
今の皇室は、天皇陛下と22人の皇族で構成されていますが、このうちおよそ3分の2にあたる15人が女性です。天皇陛下の子の代で見ると、皇太子妃の雅子さまと秋篠宮妃の紀子さまをはじめ、三笠宮寛仁ご夫妻のお子さま方と高円宮妃の久子さまのお子さま方の合わせて7人の女性皇族に対し、男性皇族は皇太子さまと秋篠宮さまの2人。
孫の代で見ると、皇太子ご夫妻の長女の愛子さまと、秋篠宮ご夫妻の長女の眞子さま、次女の佳子さまの3人の女性皇族に対し、男性皇族は秋篠宮ご夫妻の長男の悠仁さまの1人だけです。
皇室典範の規定では、女性の皇族は、天皇陛下の長女の黒田清子さんのように、結婚すれば皇族ではなくなります。天皇陛下の子や孫の代に当たる8人の未婚の女性皇族のうち6人はすでに成年に達していて、今後、女性皇族が結婚によって次々に皇族ではなくなり、皇族の数が足りなくなることが考えられ、皇室がこれまでどおりの活動を続けられなくなるという課題を抱えています。
これについて宮内庁の羽毛田長官は、先月27日の定例の記者会見の席で「女性皇族の方々がどんどん結婚年齢に近づいていて、課題の緊急性が高まっている」とし、みずからをはじめ宮内庁の幹部が官邸に出向いて、野田総理大臣や政府関係者に説明していると述べました。
一方、皇室には、皇位継承の安定性をどのように保っていくのかという、さらに大きな課題も残されています。天皇陛下の孫の代で皇位の継承資格があるのは悠仁さまだけで、宮内庁は安定的な皇位継承のための制度作りが必要だとしています。
平成17年には、皇室典範の見直しを話し合う政府の有識者会議が、女性とその子どもの女系にも皇位の継承を認めるという最終報告をまとめましたが、秋篠宮妃の紀子さまの懐妊をきっかけに皇室典範の改正案の国会への提出は見送られ、議論は立ち消えになりました。皇位の継承資格の拡大には、皇位の継承を男子に限る皇室典範の全体的な見直しが必要になり、制度の設計を巡る議論も多岐にわたるなかで、一朝一夕に解決するのは難しいのが実情です。このため宮内庁は、まず、どのようにして将来の皇族の数を確保していくかが先決の課題だと考えています。