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2011/11/07

ニカラグア大統領選=元左翼ゲリラでサンディニスタ民族解放戦線(FSLN)の現職ダニエル・オルテガ氏が再選

左派オルテガ氏、再選へ ニカラグア大統領選
 【ロサンゼルス共同】中米ニカラグアで6日に行われた大統領選は開票作業が進み、選管当局が7日未明発表した中間集計(開票率16%)によると、元左翼ゲリラでサンディニスタ民族解放戦線(FSLN)の現職ダニエル・オルテガ氏(65)が得票率64%で2位に30ポイント以上の大差をつけた。

 スペイン通信によると、オルテガ氏の妻でFSLNの選対責任者のロサリオさんは「ニカラグアは勝利した。信頼してくれた国民に感謝する」と述べ、事実上勝利を宣言。決選投票を待たずに再選を決めそうな勢いだ。

 オルテガ氏はベネズエラのチャベス大統領と並ぶ中南米の強硬左派指導者の一人。


2011/11/07 19:45 【共同通信】





中米ニカラグア大統領選、オルテガ氏再選へ 対立陣営は反発
2011.11.08 Tue posted at: 11:31 JST
(CNN) 中米ニカラグアで6日行われた大統領選挙で、左派サンディニスタ民族解放戦線(FSLN)のダニエル・オルテガ氏の再選が確実となった。7日選挙管理当局者が発表した。対立陣営は選挙の実施方法などに問題があったと指摘、発表内容を認めないと反発している。

開票率85%の段階でオルテガ氏の得票率は62.6%、対する元ラジオ局オーナーでジャーナリストのファビオ・ガデア氏の得票率は30.9%にとどまり、過半数の票を集めたオルテガ氏の当選が確実となった。

大統領選をめぐっては、選挙監視者が投票所に入れないなどの問題が起こったとされ、選挙の公正性に対しガデア氏や同氏を擁する独立自由党などから疑問の声が上がっていた。米国務省も7日「隠し立てすることがないのであれば国際監視団を受け入れるべきだった」との見方を示している。

また、ニカラグアの憲法は大統領の再選を禁止している。オルテガ氏は2006年の大統領選で当選、現職で出馬し、再選と発表された。同氏が選挙管理機関と最高裁判所に多大な影響力を持っているとの批判もあるが国民の支持は根強く、とくに若年層の支持を集めている。

オルテガ氏は、反米左派のチャベス・ベネズエラ大統領の盟友としても知られるが、このところ外国投資を呼び込むべく中道寄りの路線をとっている。再選後は、社会経済プログラムの進展とインフラや技術分野への投資、公共住宅の整備などに取り組む。






中米ニカラグア大統領選 オルテガ氏圧勝・再選
8.11.2011, 00:18
中米ニカラグア大統領選挙で、左派・サンディニスタ民族解放戦線のダニエル・オルテガ氏(65)が63,95%の得票で再選された。 これは同国最高選挙評議会が、開票率99,99%の段階で伝えたもの。

 330万を超すニカラグアの有権者達は6日、大統領、副大統領、そして国会議員(一院制任期五年定数93)を選んだ。

 現職のオルテガ氏の、主なライバルとみなされた独立中央党のファビオ・ガデア氏の得票率は29,09%、また1997年から2002年まで大統領を務めた自由憲法党のアルノルド・アレマン氏の得票率は6,27%だった。 オルテガ氏は、決選投票を待たずに再選を決めた。

 当初、ニカラグア憲法が連続再選を禁止していたため、オルテガ氏の再選は不可能と見られていたが、2009年10月最高裁が下した決定により、この条項は除かれた。

 オルテガ氏は「今回の選挙における、自分達サンディニスタの使命は、さらに5年国を統治する権利を手にすることばかりでなく、議会で三分の二の議席を取ることだ。 そうなれば、現在野党により阻まれている法案の数々を通すことができる」と述べていた。 

 サンディニスタは、オルテガ氏が16年ぶりに大統領に当選した2006年政権に返り咲いた。 オルテガ氏は1985年から90年まで、ニカラグア大統領を務めていた。





解説
社会政策重視に支持
 ニカラグア大統領選で、現職のオルテガ氏が大差で勝利したのは、この政権の進めてきた社会政策重視の政治が多くの国民から支持された結果です。

 オルテガ大統領が率いるサンディニスタ民族解放戦線党(FSLN)は1980年代に政権にあった時代にも、識字率の向上、教育や医療の充実などさまざまな成果を挙げていました。しかし、90年以降の親米右派政権の時代には、新自由主義政策によって、国民生活関連の予算は次々削減されていきました。

 サモラ・スペイン駐在ニカラグア大使は、オルテガ氏が再度政権についた07年当時の荒れ果てた公立病院の状況について、「患者は新聞紙を敷いた上で手術を受けていた」と述懐しています(スペイン紙パイス4日付)。

 オルテガ大統領は、ベネズエラなどの支援を受け、公立病院の再建や医療の無料化にとりくみ、この分野での政策を「180度転換」(サモラ氏)しました。

 こうした社会政策面での成果は、FSLN支持者の枠を超えて国民の多数を占める貧困層に広がりました。世論調査会社の幹部は、45%を占める無党派層の多くがFSLN支持に流れたと分析しています。

 一方、野党側の政権攻撃は、オルテガ氏の立候補資格の正当性に向けられました。同国の憲法は、現職大統領の再選を禁じています(147条)が、結局、憲法裁判所は、オルテガ氏に関してこの規定を適用しないとの異例の判断を下しました。野党側は、そもそも憲法裁判事がオルテガ大統領に指名された与党支持者で占められていることを挙げて、憲法裁判所の判断そのものを受け入れていません。

 また、今回の選挙の中では、野党支持者や政権に批判的な人物が投票に必要な選挙登録証の発行を拒否されたという事例も数多く報じられています。 (メキシコ市=菅原啓)




現職に貧困層の強い支持
【メキシコ市=菅原啓】中米ニカラグアで6日、大統領・国会議員選挙が実施されます。現職のオルテガ大統領は国民生活向上を目指す社会開発プログラムに力を入れてきたことで多くの国民、特に貧困層から強い支持を得ています。同氏の再選はほぼ確実とみられています。

 世論調査によると、左派政党・サンディニスタ民族解放戦線党(FSLN)の党首でもあるオルテガ氏の支持率は48%。右派野党・独立自由党(PLI)のガデア候補に18ポイントの差をつけています。

 ニカラグアはもともと中南米で最も貧しい国の一つです。1990年代から続いた親米右派政権のもとで民営化などの新自由主義政策が強行された結果、国民生活は極度に悪化していました。

 こうした新自由主義政策からの転換を掲げて2007年に発足したオルテガ政権は、識字率の向上、無料の教育・医療制度、自営業者への小口融資制度など貧困層向けの支援策を次々と実現してきました。

 オルテガ政権の社会開発予算を支えているのは、総額16億ドル(約1250億円)といわれるベネズエラのチャベス政権からの援助です。識者の中には、ベネズエラへの依存構造を問題視する人もいますが、国民は強く支持しており、野党候補はいずれも、「ベネズエラとの良好な関係」を公約せざるを得ない状況です。

 オルテガ政権は、米国の覇権主義的な軍事・外交政策には異議を唱えつつ、米国との自由貿易協定を維持してきました。輸出額や外国投資額は増え続けており、10年の経済成長率は4・5%と中米地域で最高水準となりました。

 オルテガ政権の経済運営は、これまでFSLNを敵視してきた財界人の態度にも変化をもたらしています。ある外国メディアの記者は、今回は民間企業がオルテガ反対の大規模な呼び掛けをしていないことを指摘し、これが「大きな変化の一つだ」と語っています。