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2011/10/07

「がんに効く」と書籍でうたい健康食品を販売  記載内容は取材を受けた医師、利用者が話していない内容がほとんど

.薬事法違反:「がんに効く」サプリ販売 5容疑者逮捕へ
 「がんに効く」とうたったサプリメント(健康補助食品)を販売したなどとして、神奈川県警は薬事法違反(無許可販売など)容疑で、東京都八王子市の健康食品販売会社「キトサンコーワ」の女性社長や、効能を記した書籍を出版した「現代書林」(新宿区)の元社長の男性ら計5人の逮捕状を取った。6日にも逮捕する方針。

 捜査関係者によると社長らは医薬品販売業の許可がないにもかかわらず、薬の効能を掲げた商品を販売した疑いなどが持たれている。体験談が書かれた書籍では「『治った』という体験者の喜びの声が広がる」と強調、著者の「医療ジャーナリスト」は現代書林の社員だった。【山田麻未】

毎日新聞 2011年10月6日 6時00分






健康食品違法販売:社長ら逮捕 出版内容、打ち合わせ /神奈川
 ◇県警調べ 広告効果、売り上げ2倍
 「がんに効く」と書籍でうたい健康食品を販売したとして、健康食品販売会社「キトサンコーワ」社長らが6日、薬事法違反容疑で逮捕された事件で、出版内容は同社と出版社が事前に打ち合わせ、発刊後は売り上げを2倍近く伸ばしたことが県警への取材で分かった。県警は書籍を広告として活用したとみて調べを進めている。

 逮捕されたのは、同社社長、国安春子(65)▽現代書林元社長、武谷紘之(72)▽フリーライター、石田義孝(54)の3容疑者と同社社員、元社員の男2人。

 県警生活経済課によると、本の出版は99年、当時社長の武谷容疑者がインターネットでキトサン社を見つけ、国安容疑者に持ちかけた。現代書林側は同社で出版経験のあった石田容疑者に執筆を依頼。同年に1冊目の「『水溶性キトサン』衝撃の治癒力」を発刊すると、この年約3000万円だったキトサン社の売り上げが翌年は5600万円に伸びた。

 02年4月には、逮捕容疑となった2冊目の「医師・研究者が認めた!私がすすめる『水溶性キトサン』」を刊行。出版費用はキトサン社が負担し、発刊1万部のうち半分を買い取った。いずれも編集段階で両社が打ち合わせてから石田容疑者が取材し、記載内容は取材を受けた医師、利用者が話していない内容がほとんどという。

 同社の健康食品に含まれる「キトサン」は人工皮膚などに使われ、有害物質の排出作用もあるとされる。だが、承認薬ではないのに「がん抑制」の効能をうたったため、県警は薬事法の未承認医薬品の広告禁止条項に違反するとして立件。出版社側4人は、広告で利用されることを知りながら編集したとして国安容疑者の無許可販売のほう助容疑の適用にも踏み切った。

 県警によると、国安、武谷の両容疑者と現代書林社員ら2人は否認しているが、石田容疑者は「逮捕されても仕方ない」と認めているという。【山田麻未】
毎日新聞 2011年10月7日 地方版