9月21日 5時30分
3月の巨大地震の際、全国のGPSの観測点で記録された1秒ごとの地盤の動きを、国土地理院が動画として再現しました。地震に伴う地殻変動の広がりがはっきりと分かり、国土地理院は今後の防災対策などに役立ててほしいとしています。
3月11日の巨大地震では、宮城県の牡鹿半島の地盤がおよそ1メートル20センチ沈下したうえに東へ5メートル30センチ移動するなど、東北と関東などの広い範囲で大規模な地殻変動が起きたことが、GPSによる観測から明らかになっています。
国土地理院は全国1250か所のGPSの観測点が、地震発生からのおよそ10分間に捉えた地盤の動きを1秒ごとに分析し、動画として再現しました。
作成された動画は、▽地盤の上下の変化を赤色と青色で表現し、▽水平方向の地盤の動きを矢印の向きや長さで表しています。動画からは、地震発生の直後に岩手県や宮城県から地殻変動が始まり、波紋のように広がって、数分間で関東付近に達する様子がはっきりと分かります。
また、牡鹿半島の地盤が地震直後に東へ1メートル50センチ余り動いたあと、20秒間ほど動きが止まり、その後、再び2分余りかけて5メートル余りにまで大きく動いていて、地殻変動が一気に進んでいなかったことも分かりました。
分析に当たった国土地理院地殻変動研究室の西村卓也主任研究官は「地震で一度、岩盤が破壊されたあとに、別の大きな岩盤が破壊され、破壊が複雑に進んでいたことを示している。今回の巨大地震による地盤の変化が直感的に分かる画像であり、今後の研究や防災などに役立ててほしい」と話しています。