東京電力が、保有する時価2000億円相当のKDDI株式を同社に売却する方向で調整に入ったことが1日、明らかになった。福島第1原発事故の損害賠償原資に充てる。株式相場が低迷する中、東電は市場で不特定多数の投資家に売却するのは混乱を招くとして断念。有力な譲渡先も見つからず、早期に資金を得るにはKDDIに自社株の買い戻しを求めるのが得策と判断した。
東電は月内にも、政府の原子力損害賠償支援機構に対し、資金支援の前提となるリストラ策などを盛り込んだ特別事業計画を提出する予定。賠償原資の捻出では、株式など有価証券の売却で2700億円を確保したい考えで、その中心となるKDDI株の処理方法も同計画に反映される。
3月末時点で東電が保有するKDDI株は35万7541株(出資比率約8%)で、京セラ、トヨタに次ぐ第3位株主。(2011/09/01-18:25)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201109/2011090100618
2011年8月19日
東電、KDDI株を近く売却…第三者委に報告
東京電力の資産や経営状況を調べる政府の第三者委員会「経営・財務調査委員会」の第4回会合が18日開かれた。下河辺和彦委員長(弁護士)は会合後の記者会見で、東電が保有するKDDI株(出資比率7・97%)について「早期にすべて売却する方向との報告を事務局から受けた」と明らかにした。
東電はKDDI株の売却で、予定する資産処分を加速する方針とみられる。
東電は3月末時点で、KDDIの株式を35万7541株保有する第3位の大株主。18日の東京株式市場の終値では約2000億円の価値がある。
この日の会合は、東電が売却する資産が主題となった。下河辺委員長は会見で、東電が表明していた6000億円以上の資産売却の内訳が▽不動産1000億円▽有価証券2700億円▽関係会社の売却・清算2300億円――だったことを明らかにした。ただ、下河辺委員長は「詳細な積み上げではない」などとして、東電の見積もりをさらに精査する姿勢を示した。
(2011年8月19日00時06分 読売新聞)