2011年9月9日 朝刊
国民生活センターは八日、福島原発事故の影響で需要が増えている安価な放射線測定器九種類の性能試験を実施した結果を発表した。「いずれも正確な測定はできず、食品や飲料に含まれる放射線量も測定できなかった」とし、消費者に「直ちに信用しないで」と注意を呼び掛けている。 (発知恵理子)
測定器はいずれも中国企業の製品。三万~六万円前後でインターネットの通信販売サイトで購入できる。同センターにはこうした放射線測定器に関する相談が急増、七月末までに三百九十一件に上ったため、性能試験を行った。
相談内容は「示す値が二種類しかない」「数値が出ない。返品したいが、業者と連絡も取れない」など、ほとんどが商品や業者に対するクレームだった。実際の購入金額は、十万円未満が六割強を占めているという。
同センターでは十万円未満で、六月下旬ごろに楽天市場やヤフーショッピングなど大手通販サイトで「売れ筋」などとされていた九種類の測定器を購入。いずれも十回ずつ測定する性能試験を実施した。
大気中の放射線量の測定では、日本製の測定器(定価五十八万八千円)と比べて、九種類の測定器が高い値を示し、数値もばらつきが目立った。放射性セシウムの測定では、九種類の測定器は逆に日本製よりも低い値で、線量を上げると値のばらつきが大きくなった。
九種類の測定器は、行政機関が実際に購入し、住民に貸し出しているケースもあるとみられる。同センターは「消費者にとっては、信頼できる測定器は高価で手に入りにくく、自ら放射線量を測定することは難しいのが実態。文部科学省などが発表しているデータを参考にしてほしい」と話している。
放射線測定器:「精度低い」 通販の10万円未満9種、誤差30%超
国民生活センターは8日、10万円未満の放射線測定器9種類について「測定値が正確でない」とのテスト結果を公表した。
センターは通信販売のサイトでいずれも中国製とみられる9商品を購入。大気中の値を測ると、国際規格を満たした測定器の値より高く、4倍近いものもあった。また毎時0・06マイクロシーベルト以下の低線量を正しく測れなかった。セシウム137を照射すると、実際の数値より低い値を示し、線量に比例してばらつきが拡大。実際の数値との誤差は30%を超えた。センターの石崎行男課長は「安価な商品の精度は低く、食品や飲料水の測定はできない」と話した。
9商品はAK2011▽BS2011+▽DoseRAE2 PRM-1200▽DP802i▽FJ2000▽JB4020▽RAY2000A▽SW83▽SW83a。このうちDoseRAE2 PRM-1200は東京都が70台購入し、空間放射線量の測定のため、23区を含む区市町村に1、2台ずつ貸与している。都福祉保健局環境保健課は「簡易な計測しか使えないと断ったうえで貸している」と話している。【水戸健一】
毎日新聞 2011年9月9日 東京朝刊
国民生活センター