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2011/05/06

4月6日~29日に調査を行った結果、原発から北西方向にセシウム137が1平方メートルあたり300万~1470万ベクレルの汚染地域が帯状に広がっていた。

航空機計測もとに「地表汚染マップ」 日米共同で製作
2011年5月6日21時8分






 文部科学省は6日、福島第一原発から80キロ圏内の地表の汚染マップを初めて公表した。米エネルギー省と協力し、航空機を使って、地表1~2キロ四方で放射性物質の蓄積量を測って作った。原発から北西方向を中心に避難区域外の一部でも、高レベルの汚染地域が見つかった。

 今回のマップは、上空からの測定値をもとにしているため、文科省は今後、地上での実測データを増やし、きめ細かな避難区域の設定の判断などに役立てる方針だ。

 調査は4月6日~29日行った。米エネルギー省は飛行機とヘリの計2機で60キロ圏内を、文科省は民間ヘリ1機で60~80キロ圏内を観測した。放射線計測器を搭載し、約150~700メートル上空から地上を観測。放射性物質ごとのエネルギーの違いから、半減期が約30年のセシウム137や、約2年のセシウム134の蓄積量を調べた。

 この結果、原発から北西方向にセシウム137が1平方メートルあたり300万~1470万ベクレルの汚染地域が帯状に広がっていた。チェルノブイリ原発事故では、セシウム137が55.5万ベクレル以上の地域が強制移住の対象となった。今回のマップでは、計画的避難区域の飯舘村や浪江町などの外でも一部、この水準を超える地域もあった。

 京都大原子炉実験所の今中哲二助教は「汚染地域が広域で驚く。避難計画や、道路や公共施設などの除染対策の参考になる」と話している。(佐藤久恵)






日米が測定、放射線量マップ発表 百ミリシーベルト超も
 福島第1原発事故で、政府と東京電力の事故対策統合本部は6日、文部科学省と米エネルギー省が航空機で合同測定した地表付近の放射線量マップを発表した。原発から北西30キロ以上にわたって、年間の積算被ばく放射線量が100ミリシーベルトを超える恐れがある地域が広がっている。

 マップは4月29日現在の放射線量を表示。原発から半径30キロ圏外で、計画的避難区域になった福島県浪江町や飯舘村の一部でも毎時19マイクロシーベルト、年間換算では100ミリシーベルトを超える線量となった。文科省は「風雨などで放射性物質が徐々に減少するので、実際に100ミリシーベルトを超える可能性は低い」としている。

 30キロ圏外の南相馬市、川俣町、伊達市の一部でも毎時3・8マイクロシーベルト、年間換算で20ミリシーベルトを超える地域がある。統合本部は4月26日に実測値に基づく放射線量分布マップを公表しており、今回もほぼ同様の値を示している。

 また、土壌表層の放射性物質の量を示したマップも発表。1平方メートル当たり、放射性セシウムが300万~3000万ベクレルの地域が北西に広がった。国内には土壌全般に関する濃度基準はない。

 放射線量の測定は、4月6日から29日にかけて実施。小型機とヘリコプター計3機が、原発から約80キロ圏内の上空約150~700メートルを飛行、高感度の放射線検出器を使って測定した。

 一方、文科省と水産庁は、海での放射性物質の調査を従来の2倍強の計105カ所に増やすと発表した。国と東電が実施し、最も遠い調査海域は福島第1原発から約300キロ離れている。宮城県沖から茨城県沖にかけての表層、中層、下層の海水や、陸に近い海底の土を検査。海上の大気中の放射線量なども調べる。

 水産庁はまた、水産物の検査指針をまとめ、関係県などに通知した。表層から底層まで生息域を広くカバーして対象魚種を選び検査するよう求めた。カツオやサンマ、イワシなどの回遊魚も、移動に合わせて採取地点を変えて検査する。

2011/05/06 20:18 【共同通信】