2011年8月2日19時42分
福島第一原子力発電所で事故後最高の毎時10シーベルト以上の放射線量が測定された問題で、東京電力は2日、現場の写真を公開した。現場のすぐ近くにもう1カ所、毎時10シーベルトを超える可能性がある場所があることを明らかにしたほか、2カ所と同じ配管でつながる1号機の原子炉建屋内でも屋内最高の毎時5シーベルト超の放射線量を測定したと発表した。
現場は1号機と2号機の原子炉建屋の間にある主排気筒の底部。2カ所目は、今回測定された場所から数メートル離れ、地上から高さ10メートルの地点にある。7月31日に高い放射線量の場所がわかる特殊カメラで周囲を測定した際にわかった。
線量計が届かず線量の測定はできていないが、今回10シーベルト以上が測定されたのと同じで、事故時に格納容器の気体を抜いて圧力を下げるベント(排気)用の配管が通っている。
また、5シーベルト超が測定されたのは原子炉建屋2階の空調機室。原子炉格納容器内の気体の放射性物質の濃度を測るための場所を探すために、2日に遠隔操作ロボットを入れて測定した。ここにも同じベント用の配管が通っている。
東電原子力・立地本部の松本純一本部長代理は「3カ所とも同じ配管近くで高い放射線量が測定された。事故直後にベントした際に、原子炉内で溶けた燃料から出た放射性物質が配管内を通り、配管の内部に付着した可能性がある」としている。
東電は主排気筒底部の周囲の放射線量が毎時70~100ミリシーベルトと高いため、立ち入り禁止にした。今後、鉛入りのマットで覆い、放射線を遮る。正確な放射線量の測定や原因調査は方法も含めて今後検討する。(坪谷英紀)
高放射線量検出、他の2か所からも…福島第一
東京電力福島第一原子力発電所1、2号機の原子炉建屋近くにある主排気筒の配管底部で過去最高の毎時10シーベルト(1万ミリ・シーベルト)を超える高い放射線量が検出された問題で、東京電力は2日、このほかに10シーベルトと5シーベルトを超える場所が新たに見つかったと発表した。
毎時10シーベルトの放射線を人間が1時間全身に浴びると、ほぼ確実に死亡する。
高線量の場所は、いずれも1号機の原子炉格納容器につながる配管が通っている。東電では、3月の炉心溶融(メルトダウン)に伴い格納容器内の蒸気を放出する「ベント」を実施した際、放射性物質が配管に付着し、現在も放射線を出し続けているとみている。
毎時10シーベルトの放射線は、放射性セシウム約2グラムが出す量に相当するという。
新たな毎時10シーベルトの場所は、放射線量を簡易測定できる「ガンマ線カメラ」による7月31日の撮影で見つかった。最初に毎時10シーベルトが確認された場所の近くで、地上10メートルの付近。さらに東電は2日、1号機の原子炉建屋2階に線量測定機能を持つロボット「パックボット」を入れ、ベントに使う配管付近で毎時5シーベルトを超える線量を記録した。
(2011年8月2日20時59分 読売新聞)