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2011/06/05

3月15日に、福島市など4カ所で採取した雑草から1キログラム当たり30万~135万ベクレルと非常に高い放射能を検出

県、高放射能データ公表せず 3月、福島市などで検出
2011年6月5日
 東京電力福島第一原子力発電所で最初に水素爆発があった3日後、原発から約50キロ離れた福島市内の雑草から、1キログラム当たり100万ベクレルを超える高い放射能が検出されていたことが分かった。福島県は政府に連絡したが、公表されたのは、翌日に別の場所で測った6千分の1ほど低いデータだけだった。県は「意図的に公表しなかったわけではない」としている。

 県は3月15~16日に第一原発から福島市までの国道沿いや、福島市の県原子力センター福島支所など5地点で、雑草や水道水(上水)、雨水を採取し、放射能を測った。

 その結果、5地点から採った計七つの試料のうち、ヨウ素が10万ベクレルを超えたのは五つに上った。川俣町の国道114号と349号の交差点付近の雑草からは、放射性ヨウ素が1キロ当たり123万ベクレル、放射性セシウムが10万9千ベクレル。福島市の国道114号付近の雑草からはヨウ素が119万ベクレル、セシウムが16万9千ベクレル検出された。

 しかし、県が当時公表したのは、同支所の水道水から出た放射性ヨウ素の177ベクレル、放射性セシウムの33ベクレルだけだった。公表を限定した理由について、県は「数値の高低ではなく、直接体内に入る可能性があるため、上水を優先した。それ以外は政府で発表すると思っていた」としている。

 政府の現地対策本部によると、測定結果は、県から報告を受けた同本部がファクスで経済産業省の原子力安全・保安院に連絡している。3月16日以降の周辺モニタリング結果は、文部科学省が一括して発表する段取りだった。このため、15~16日のデータの発表を県と文部科学省のどちらがするのか、あいまいになっていた可能性があるという。







福島市などの雑草から高濃度放射能 原発事故直後
 政府の原子力災害現地対策本部と福島県災害対策本部は3日、福島第1原発事故が発生した直後の3月15日に、福島市など4カ所で採取した雑草から1キログラム当たり30万~135万ベクレルと非常に高い放射能を検出しながら、発表していなかったことを明らかにした。事故で放出された放射性物質が付着したためとみられる。

 食品衛生法による野菜の暫定基準値は放射性ヨウ素が2000ベクレル、セシウムが500ベクレル(いずれも1キロ当たり)。付近で栽培された野菜を食べたり農作業を行っていたりすれば、放射性物質を摂取した危険性もあり、政府や県の情報公開の姿勢が問われそうだ。

 最も高かったのは、福島市立子山でヨウ素119万ベクレル、セシウム16万9000ベクレルの計135万9000ベクレル。さらに川俣町役場近くでヨウ素123万ベクレル、セシウム10万9000ベクレルの計133万9000ベクレル。田村市船引町新舘でヨウ素86万2000ベクレル、セシウム10万6000ベクレルの計96万8000ベクレル、同市の阿武隈高原サービスエリアでヨウ素27万7000ベクレル、セシウム3万1100ベクレルの30万8100ベクレルを検出した。

 政府と県によると、測定は県原子力センター福島支所が実施。データを政府の原子力災害対策本部に集約し公表するはずだったが、事故直後の混乱でデータが紛れるなどしたという。
 県原子力安全対策課の小山吉弘課長は「公表されるべきだったが、結果的に抜け落ち、未公表自体にも気付かなかった。大変申し訳ない」と話している。


2011年06月04日土曜日