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2011/06/04

川底の生物を食べた魚などに放射性物質が移る可能性もあり、「将来、生態系にどう影響を与えるか観察する必要がある」

東日本大震災:川底の砂、最高3万ベクレル 福島の23河川、放射性セシウム検出
 ◇環境省測定
 環境省は3日、福島県浜通りと中通りの警戒区域外にある23河川(29地点)で実施した、放射性物質濃度の測定結果を発表した。全地点で水からは検出されなかったが、川底の砂からは全地点で放射性セシウムが検出され、最高値は1キログラムあたり3万ベクレルだった。同省は「対策は政府内で検討中だ」としている。

 調査は5月下旬、国土交通省と共同で実施。川底の砂に含まれる放射性セシウムは、セシウム134が1キログラムあたり1万4000~48ベクレル、セシウム137が1万6000~51ベクレルで、最も高い南相馬市の新田川・木戸内橋の放射性物質の濃度は計3万ベクレルとなった。

 環境省によると、下水処理後の汚泥などには放射能に関する基準があり、1キログラムあたり10万ベクレル以下なら、漏出防止策を取った処分場の敷地内に仮置きして差し支えないとされる。調査地点はいずれも上水道用の水源ではなく、同省は「川底の汚染は周囲の土壌と同じレベルとみられる。水からは放射性物質が検出されていないため、川底の汚染が大気中などに拡散する可能性は低い」と話している。【江口一】

毎日新聞 2011年6月4日 東京朝刊





福島県内の川底から放射性セシウム検出 環境省
2011/6/3 19:46
 環境省は3日、福島県内の河川の放射性物質の濃度を調べた結果、南相馬市の新田川で、川底の砂からセシウム137が最大1万6000ベクレル検出されたと発表した。川底の砂について基準はないが「周辺の田畑など、汚染された土壌と同レベルの濃度」(環境省)という。

 環境省は県内河川の29カ所で砂を採取、全地点でセシウム137と同134が検出された。最も高濃度だったのは福島第1原子力発電所の北側の新田川・木戸内橋周辺。国立環境研究所の柴田康行領域長は「急性の毒性が出るレベルではない」と説明している。水からは検出されなかった。

 放射性セシウムは土壌に吸着しやすく、水に再び溶けることは少ないとされる。1キログラムあたりの半減期(放射性物質の量が半分になるまでの時間)は30年。ただ、川底の生物を食べた魚などに放射性物質が移る可能性もあり、「将来、生態系にどう影響を与えるか観察する必要がある」(柴田領域長)としている。