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2011/06/03

茶業の関係者からは「何も問題ないのに荒茶検査をしないことで、かえって不安を抱かれる」などの意見があり、方針を転換したという

静岡知事、荒茶検査を一転受け入れ 工場ごとに実施
2011年6月3日21時57分
 政府が決めた乾燥茶葉(荒茶)を対象とする放射性物質の検査法に反発していた静岡県の川勝平太知事は3日、一転して決定を受け入れる考えを示した。だが、国が示した自治体ごとの検査ではなく、工場ごとに実施する。基準値を超える濃度が検出されても、出荷停止の範囲を抑えたいとの狙いだ。

 川勝知事は国の決定を受け入れる理由について、「消費者の安全を最優先させたい」と述べた。今後、摘み取られる二番茶は荒茶段階での検査を実施。既に出荷されている一番茶は製茶段階で検査するという。

 一方で、今回の国の決定は不透明な部分が多いとして、厚労省と原子力安全委員会などに公開質問状を出す意向だという。





知事、荒茶も検査受け入れ
2011年06月04日

 乾燥茶葉である「荒茶」を放射性物質の検査対象とした政府決定に反発していた川勝平太知事が3日、一転して決定を受け入れる姿勢をみせた。「消費者の安全を最優先した」としながらも、国の決定には「過程が不明で、根底から憤りを覚える」としており、厚生労働省などに公開質問状を出す意向を明らかにした。


 川勝知事はこの日、県の茶業関係者と会い、意見交換した。その結果、「消費者の口に入る製茶で検査するのが一番安全」だとして受け入れを決めた。茶業の関係者からは「何も問題ないのに荒茶検査をしないことで、かえって不安を抱かれる」などの意見があり、方針を転換したという。


 政府の決定は、これまで「生茶葉」の段階での検査だけだったものを、乾燥させた「荒茶」段階でも検査するというもの。川勝知事は、今年の一番茶は既に荒茶を過ぎているため製品化した「製茶」での検査を、年間生産量の6割近くを占める二番茶以降は、荒茶も検査対象とするとした。


 ただ、国が求める市町村ごとの検査ではなく、約2000の工場ごとにする方針で、厚労省と交渉していくという。仮に基準値以上の濃度が検出された場合でも、出荷停止となる範囲を抑えるためだ。


 方針を受け入れた川勝知事だが、突然の決定への不満は消えていない。


 厚労省や原子力安全委員会などに、「なぜ荒茶という消費者になじみのない中間加工品を取り上げたのか」「農水省と厚労省の見解の違いをだれが調整したのか」などについて公開質問を出し、回答を求めるという。


 ■一番茶より低い見込み/二番茶での検出、専門家の見方


 今月中~下旬に見込まれる県内の二番茶では、放射性セシウムの検出はどうなるのか。県内の専門家によると、今回の茶葉の汚染で推定されているメカニズムからすると、二番茶では検出されても一番茶のときよりは低くなるとみている。


 森田明雄・静岡大教授(植物機能生理学)によると、県の調査で、基準以下だったとはいえ、高めの放射性セシウムが検出されたのは、3月中旬に福島第一原発で水素爆発があったときに飛散したものが新芽が出る前の古い葉に降ってたまり、それが4月上旬から出てきて栄養分を必要とする新芽に移動して蓄積したため、と推定されるという。


 一番茶は、伸びてきた新芽の葉を摘み取るもので、二番茶は、一番茶の新芽を摘み取ったあとに伸びてきた分を摘み取る。そのため、「二番茶で放射性セシウムが検出されたとしても古い葉に残っていた分からの移動分になるとみられるため、一番茶よりは少なくなるとみられる」と森田教授はいう。









2011年6月3日