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2011/06/24

24日午前4時55分、高速増殖原型炉「もんじゅ」の原子炉容器から、約10カ月間落下したままになっていた装置の引き抜き作業を完了

もんじゅ炉内落下の装置、引き抜き完了
2011年6月24日5時36分
 日本原子力研究開発機構は24日午前4時55分、高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の原子炉容器から、約10カ月間落下したままになっていた重量3.3トンの装置の引き抜き作業を終えた。

 引き抜き作業は当初、23日午後2時ごろから始まる予定だったが、準備作業がはかどらず、実際に始まったのは7時間近く遅れた午後8時50分だった。

 落下していた「炉内中継装置」(直径46センチ、長さ12メートル)は衝撃で変形していたため、引っかかっていた炉開口部のさやの部分と一緒に、天井にある大型クレーンでつり上げた。装置等は約8時間かけ、炉開口部の上方に据え付けた専用の容器「簡易キャスク」(直径1.4メートル、最大長16メートル)に直接、収納された。







もんじゅ、落下装置引き抜き完了 「復旧」も状況厳しく 福井2011.6.25 01:54
 ■原子力機構幹部「安全対策優先」

 原子炉容器内に落下してから約11カ月ぶりに引き抜かれた高速増殖炉「もんじゅ」(敦賀市)の炉内中継装置。23日の引き抜き開始は大幅に遅れたものの、開始後は順調に作業が進み、24日未明に完了した。近藤悟所長は「トラブルの復旧に向け一つの大きなステップを乗り越えることができた」としたが、原子力機構幹部は「福島原発の事故対応で安全対策を優先する。再稼働は、その次の段階になる」と、今後の40%出力試験に向け厳しい状況にあることを示した。

 中継装置の引き抜き開始当日の23日は、順調に作業が進むとみられたが、最終準備段階で部品の一部が損傷するトラブルで本体引き抜きが予定より約6時間遅くなり、開始したのは、同日午後8時50分。

 原子力機構燃料環境課の江橋政明課長が「ただいまより炉内中継装置引き抜き作業を始めます」と号令し、本体引き抜きを開始。1分間に6センチのペースで途中、休憩を挟みながら作業を進めた。

 県は、原子力安全対策課の職員1人を派遣し、作業状況を見守った。石塚博英・県安全環境部長は「細心の注意を払ってもらいたい」と現場からの報告を待っていた。

 24日午前4時55分、「装置引き抜き作業完了」のアナウンスが流れると、作業員らは「良かった」と声を掛け合い握手、大きな拍手と歓声があがった。

 原子力機構は今秋の復旧と今年度内の40%出力試験を行い、平成25年度内の本格稼働に結びつけたい考えだ。だが、海江田万里経産相が20日、国際原子力機関(IAEA)本部の会見で「福島第1と第2原発、もんじゅは稼働させるわけにはいかない」と発言するなど、もんじゅを取り巻く環境は厳しさを増している。