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2011/06/10

環境省は警戒区域や計画的避難区域を除く県内全域のがれきについては、放射性物質が付着していても焼却や埋め立て処分を認める方針を決定

放射性がれき、福島に最終処分場 環境省方針、県は拒否
2011年6月9日23時40分
東京電力福島第一原発から20キロ圏外で放射性物質に汚染されたがれきの処分方法について、環境省は9日、6月中に焼却を始め、福島県内に新設する最終処分場に埋め立てたいとの方針を同県に伝えた。

 佐藤雄平知事は、県民の理解が得られないとして、県内での最終処分受け入れを拒んだ。候補地選定の難航が予想される。

 南川秀樹・環境事務次官が佐藤知事を訪ね、同省で検討が進むがれきの処分法を説明した後、報道陣に方針を明らかにした。






環境省が県内に最終処分場を整備方針 高放射能のがれき、知事は拒否 
 東京電力福島第一原発事故により高いレベルの放射性物質が付着したがれきの処理で、環境省が県内に最終処分場建設を検討していることが9日、明らかになった。南川秀樹環境事務次官が同日、県庁で佐藤雄平知事と会談し伝えた。佐藤知事は断固拒否する考えを示すとともに強い不快感を表した。同省の方針はこれまで県などに一切伝えられておらず、今後、反発が起きるのは必至だ。


■次官「福島以外考えられず」
 南川事務次官は佐藤知事との会談で、東日本大震災と原発事故からの復旧・復興に向けては放射性物質の付着したがれき処理は急務と説明。その上で「最終処分場の建設場所として福島県以外は考えられない」とした。

 これに対し、佐藤知事は「県として受け入れられない」とし、今後、最終処分場建設についての要望、提案を一切受け付けない考えを強調した。

 会談後、取材に応じた南川事務次官は、最終処分の方法が決定していない状況では初期段階の撤去は進まないと指摘。「県民感情をさかなでするつもりはないが、福島県以外に建設場所は考えられない」として、引き続き本県への処分場の建設を目指す考えを示した。


■知事「ありえない」 断固拒否、不快感表す
 佐藤知事は会談後、記者団に「(本県への最終処分場の設置は)ありえないと今日まで明確に言ってきた。原子力政策は国策であり、国がしっかりと考えてほしい」と述べた。
 内堀雅雄副知事は「今後、最終処分場の議論が県内でなされることは1%もない」と強調した。

 放射性廃棄物は、原子炉等規制法に基づき低レベルの場合は青森県六ケ所村の貯蔵施設に埋め立て処分される。しかし、同法は、今回のがれきのように原子力関連施設外で大量に汚染ごみが発生することを想定していない。一方、災害ごみは廃棄物処理法で埋め立てや焼却処理されるが、同法では放射能を帯びた廃棄物は対象としていない。

 こうした中、環境省は警戒区域や計画的避難区域を除く県内全域のがれきについては、放射性物質が付着していても焼却や埋め立て処分を認める方針を決定。

 省内に組織を設け、最終処分場の設置場所や規模、処理する放射性物質の濃度の基準などの検討に入っている。最終処分までの工程を確立し、がれき撤去に早急に着手することで、農産物や工業製品を含めた風評被害の払しょくにつなげる狙いがあるという。

 3日時点の環境省の推計では、本県の震災によるがれきは288万トン。16%が仮置き場に搬送されているが、原発周辺の自治体では処理が全く進んでいない。

(2011/06/10 12:29)








苫東には「福島県以外」のがれき(2011年 6/15)

 東日本大震災の被災地のがれき処理の仮置き場に、苫小牧東部工業地域が候補地として浮上している問題で、環境省は15日、「福島県以外」の地域で発生したがれきを想定していることを明らかにした。福島第1原発事故による放射線を含んだ福島県からのがれきは「県内処理」の方針を維持するため。震災に伴うがれき処理について環境省は、4月に被災地以外での「広域処理」を全国の自治体に要請。苫東での仮置き場は「その中の一つの用地としての検討」(廃棄物対策課)との位置付け。

 福島県で発生したがれきについて同省は「原発事故による放射線の問題があるので、県外に持ち出さない、という政府方針に沿って動いている」(同課)と説明。あくまでも、宮城や岩手県など福島県以外のがれきの仮置き場として検討する。想定するがれきの中身は「既に(被災地の)仮置き場で一定の分別を行っている」とした上で、がれきの中で比率が高く、地域的に再利用が活発な「木材」が有力。苫東は2次的な仮置き場の位置付けだ。

 同省は「当然、地元の合意や調整が必要なので、受け入れ可能な量など地元の要望に沿って進めていく」と説明。国からがれきの量などは定めず、あくまでも道や苫小牧市の意向を優先する方針。