1号機の原子炉建屋内では、燃料棒の表面にあるジルコニウムが高温になり水と反応、水素が発生しました。その量は800キログラム。
福島第一原発、メルトスルーの可能性も
やはり1号機だけではありませんでした。福島第一原発2号機と3号機のメルトダウンが起きていたことを、東京電力がようやく認めました。
「政府のもともとの事故に対する見込みの甘さがあった。反省しております」(細野豪志首相補佐官)
24日に公表された東京電力の報告書によりますと、メルトダウンは1号機で地震発生の4時間後に、3号機で42時間後、2号機で77時間後に始まっています。この差は、2号機と3号機で緊急の冷却装置がバッテリーが切れるまで作動していたため生じました。
また、気になるのが2号機と3号機のメルトダウンの程度。現在、2つの水位計は「水が燃料棒の半分まである」と表示されていますが、東京電力では、故障して、ほとんど水が溜まっていない可能性が高いと見ています。
「水位が維持できていない場合のほうが少し近いという感じ」(東京電力の会見)
東京電力はこの場合、燃料のほぼすべてが圧力容器の底に溶け落ちた可能性が高いと分析。それどころか、溶けた燃料が圧力容器を壊し、格納容器にまで達する、いわゆる「メルトスルー」が起きた可能性もあると認めています。
「高温の溶融したペレットが触れることで、(圧力容器の底が)損傷受けている可能性はあると思っています。燃料そのものも、一部は圧力容器から格納容器に移っている、落下していると」(東京電力の会見)
また、すでに1号機についても新たに分かったことがあります。それは「水素の量」です。水素実験の映像。小さな車のバッテリーから出るわずかな水素の反応で、これだけの爆発となります。
1号機の原子炉建屋内では、燃料棒の表面にあるジルコニウムが高温になり水と反応、水素が発生しました。その量は800キログラム。実験で爆発を起した水素の数百万倍で、これが原子炉建屋を吹き飛ばしたのです。
「(1号機では)格納容器の3分の1を占める量、非常に大量の水素が発生していると。一部が漏れ出して水素爆発を引き起こした。3号機に比べれば、はるかに水素爆発の規模は小さかったのでは」(東京大学・寺井隆幸教授)
こうした中、原子炉建屋の上空でどの程度、放射性物質が舞っているのか、調査が初めて行われました。
1号機の上空で検出されたヨウ素は、1立方センチメートルあたり0.000076ベクレル。これをどう評価するのでしょうか?
「(第一原発)西門で測っている値の約6.7倍。今回のデータだけで (放射線量の)多い少ないは判断できない」(東京電力の会見)
こうした中、23日に来日したIAEA=国際原子力機関の調査団が活動を開始。金曜日に福島第一原発を訪れるといいます。
政府も24日の閣議で「事故調査検証委員会」を設置。委員長には、失敗を繰り返さないための「失敗学」で知られる、東京大学の畑村名誉教授を起用しました。事故原因の調査がやっと本格的に始まります。(24日22:46)