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2011/05/09

放射線量は大幅に下がったが、下層からは校庭に使えない砂利や粘土が出てくるなど新たな課題も見つかった。

土入れ替え 放射線量10分の1に
5月8日 17時57分
原発事故の影響を受けて、福島県内の一部の学校では校庭の放射線量が目安の値を超え、今も屋外での活動が制限されるなか、文部科学省などは、校庭の表面の土を下のほうの土と入れ替えることで放射線量を下げることができるかどうか確かめる実験を行いました。その結果、地面近くの放射線量は、土を入れ替える前に比べて10分の1に下がったということです。

この実験は、文部科学省と日本原子力研究開発機構が、福島市の福島大学附属中学校と幼稚園で行ったものです。

実験では、放射性物質が付着している可能性がある校庭の表面の土を80センチ四方にわたり、はぎ取るように取り除いたあと、その下のほうにある土と入れ替えました。

その結果、地面近くの放射線量は、土を入れ替える前は1時間当たり2.1マイクロシーベルトだったのに対し、入れ替えたあとは0.2マイクロシーベルトと、およそ10分の1に下がったということです。

福島県内では、先月、合わせて13の小中学校などの校庭で、目安の値を超える放射線量が測定され、一部の学校では、今も屋外での活動を制限しています。また、郡山市の一部の学校では、放射線量を下げるために取り除いた校庭の土を巡って、処分の基準がないため、ほかの場所に移せない状態が続いています。

実験を行った日本原子力研究開発機構の戸谷一夫理事は「放射線量が低くなることを示すことができた。この方法だと、放射性物質が付着した可能性のある土を校外に持ち出さなくて済む」と話していました。文部科学省は、実験結果をさらに詳しく分析し、校庭の土をどう処理するのが適切なのか判断することにしています。






表土と下層土入れ替えたら…放射線量大幅に低下
 原発事故の後、福島県内の一部学校の庭の表土で比較的高い放射線量が計測された問題で、文部科学省と日本原子力研究開発機構は8日、福島市内で校庭の表土と下層土を入れ替える土壌改良実験を行った。

 放射線量は大幅に下がったが、下層からは校庭に使えない砂利や粘土が出てくるなど新たな課題も見つかった。

 同機構職員らが福島大付属中を訪れ、校庭で50センチ四方、深さ20センチ、併設する幼稚園の庭でも80センチ四方、深さ50センチをスコップで掘り、表土と下層土を入れ替えた。中学校では入れ替え前に毎時2・0マイクロ・シーベルトだった土壌表面の放射線量が0・8マイクロ・シーベルト、幼稚園では同2・1マイクロ・シーベルトから0・2マイクロ・シーベルトといずれも大幅に低下した。

(2011年5月9日00時01分 読売新聞)





園庭の線量9割減 文科省が表土と下層入れ替え検証 
 文部科学省は8日、通常より高い放射線量が検出された校庭・園庭の線量を低減させる「上下置換工法」の実地検証を福島市の福島大付属中と隣接する同大付属幼稚園で行った。表層と下層の土を入れ替えることで線量が9割減少することを確認した。各地の校庭・園庭は地中構造が異なるため、置換する土の厚さなど具体的な方法を複数検討し、自治体に提言したい考えだ。
 日本原子力研究開発機構に依頼し、園庭など3カ所で計測した。園庭では、深さ50センチ分の土を置換する工法を検証。土の表面の線量は入れ替えにより毎時2・1マイクロシーベルトから0・2マイクロシーベルトに下がった。校庭と砂場では土を掘る深さを変えて線量を計測した結果、数センチ以上掘れば減少することが分かった。同省は近く検証結果を公表する。
 校庭・園庭によっては地中に砂利があるケースや、完全な表土除去を望む声もあるため、同省は掘る深さ、除去した土を一カ所に埋める方法など個々の状況に応じた選択肢を示す方針。


【写真】園庭に穴を掘り、線量を減らす上下置換工法の実地検証をする調査員=8日午後3時30分ごろ、福島大付属幼稚園


(2011/05/09 09:52)