福島第1原発1号機で地震発生翌日の3月12日、原子炉を冷やすための海水注入が一時中断したとされた問題で、東京電力は26日、注入は中断せず、継続していたことが分かったと明らかにした。
第1原発の所長の判断で続けていたという。
東京電力が16日に公表した資料では、3月12日午後7時4分に海水注入を開始し、同25分に停止、午後8時20分に海水とホウ酸による注水を開始と記載。
政府・東京電力統合対策室は21日、中断前の注入は東電による「試験注入」で、官邸の意向が伝わり東電が中断。その後、首相から海水注入の指示があり、午後8時20分に再開、臨界を防ぐホウ酸を加えたと発表していた。
東電によると、福島第1原発の所長は「国際原子力機関の調査があり、国際的にもいろいろ評価することを踏まえ、事実を報告する気になった」と話しているという。
この海水注入が継続していた問題で、東京電力の武藤栄副社長は記者会見で「(同原発の)吉田昌郎所長の処分を検討している」と話した
2011/05/26 17:32 【共同通信】
海水注入継続、吉田所長へのヒアリングで判明
東京電力の武藤栄副社長は26日、福島第一原子力発電所1号機の海水注入の一時中断はなかった事実が、24日から25日にかけての社内のヒアリングで判明したと語った。
また、ヒアリングは第一原発の吉田所長に対して行われ、松本純一・原子力立地本部長代理は「吉田所長の記憶の中にあり、証言が得られた」と述べた。
ただ、「計器の記録があるわけではない」とも話した。
(2011年5月26日16時01分 読売新聞)
海水注入、中断せず=所長が判断、1号機-東電が訂正・福島第1原発
東京電力は26日、震災発生翌日に福島第1原発1号機で冷却のための海水注入が一時中断したとされる問題について、実際には同原発の吉田昌郎所長の判断で停止せず、注水が継続していたと発表した。ヒアリングの結果、判明したという。
東電によると、3月12日午後2時50分ごろ、清水正孝社長が海水注入の実施を了承した。同3時36分ごろ、1号機原子炉建屋が水素爆発。同6時5分ごろ、政府から海水注入の指示があり、同7時4分に注入を開始した。
その約20分後、官邸に派遣した社員が「首相の了解が得られていない」と東電本社や福島第1原発に連絡。協議の結果、いったん注入停止を決めたが、実際には吉田所長が「注水継続が何よりも重要」と判断し、停止しなかったという。東電はこれまで、注水は約1時間中断したと発表していた。
東電が今月24、25日に行ったヒアリングで、吉田所長が注水継続を認めた。事実を申し出た理由について、吉田所長は「国会などで議論になり、よく考えた。国際原子力機関(IAEA)の調査団も来ており、正しい事実に基づき、事故の評価、解析が行われるべきだと考えた」と説明したという。(2011/05/26-16:46)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&rel=j7&k=2011052600542