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2011/05/10

竹田敏一委員長(福井大附属国際原子力工学研究所長)、「試験を踏まえ、器具の改良や作業要領書に反映されている。引き抜きは問題ないと判断した」

もんじゅ落下装置引き抜きを了承 検討委 6月にも回収へ

(2011年5月10日午後7時10分)
 日本原子力研究開発機構は10日、高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の原子炉容器内に落下した炉内中継装置の回収に向け、外部有識者による検討委員会の第3回会合をもんじゅで開いた。原子力機構は、回収のため新たに製造した器具の模擬試験や地震など引き抜き作業中のトラブルへの対応を説明。委員会は「引き抜きは技術的に条件が整っている」とし、作業開始を認めた。

 原子力機構は6月には装置を引き抜く方向で準備を進める。

 原子力機構は2月ごろから、横浜市の東芝の工場で同装置回収に使うじゃばらの簡易容器などを製作している。経費は約9億4千万円。装置の模型を使い、作業手順や器具の取り扱い方法なども確かめている。同装置の案内筒など大型構造物を撤去する際、原子炉容器内のナトリウムが空気に触れないようにするため充てんされているアルゴンガスを隔離するため、塩化ビニール製の筒状の覆いを使った試験も実施した。

 会合では、作業要領書に改善点などを反映したことを報告。作業に伴うガスの漏えいなど22項目のリスク対応を説明した。また、東京電力福島第1原発事故を受け、作業中に地震が起きた場合は中断し、回収器具などは安全な場所に置くことやクレーンに揺れ止めを行うとした。

 会合後、記者会見した竹田敏一委員長(福井大附属国際原子力工学研究所長)は「試験を踏まえ、器具の改良や作業要領書に反映されている。引き抜きは問題ないと判断した」と述べた。その上で「地震対策は作業員に周知し、安全第一に慎重に行ってほしい」と求めた。

 原子力機構は今後、炉上部の大型構造物を撤去した上で回収用の器具を設置し、6月には同装置を引き抜くとしている。





落下装置を6月に回収へ もんじゅ、外部委で確認
2011.5.10 20:03
 日本原子力研究開発機構は10日、高速増殖炉原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の原子炉容器内で昨年8月に落下した燃料交換用装置の回収作業を、6月中に実施すると明らかにした。

 回収法などを検討する外部有識者委員会は同日、装置と容器上ぶたの一部を一体で引き抜く回収方法について原子力機構から説明を受け、作業に必要な手順書や、つり上げ器具が適切に準備されていることを確認した。

 原子力機構は回収後、今秋までにもんじゅを落下前の状態に復旧させ、平成23年度中に第2段階の「40%出力試験」を始める方針。しかし、福島第1原子力発電所事故を受け、菅直人首相は国のエネルギー基本計画の見直しを表明しており、試験開始の見通しは立っていない。







もんじゅ「確実に作業成功を」 来月、落下機器の引き抜き実施
2011年5月11日
 高速増殖原型炉もんじゅ(敦賀市)の外部有識者の検討委員会が10日、原子炉容器内に落下した燃料交換用機器の引き抜き作業実施を了承した。終了後、会見した竹田敏一委員長(福井大国際原子力工学研究所長)は、運営する日本原子力研究開発機構(原子力機構)に確実に作業を成功させるよう求めた。

 7人で構成する委員会は非公開で開催。竹田委員長は小沢守委員長代理(関西大教授)と会見し、原子力機構からメーカーの工場で進めてきた、つり上げ装置を使った引き抜きの模擬試験の実施状況などについて報告を受けたことを明らかにした。

 竹田委員長は、委員から「工場と現場は作業環境が違う。事前に十分な安全の確認が必要」と求める意見などが出たことも紹介したが、「技術的に手順が整っていることが確認できた」と述べた。

 その上で「手順に従い、安全第一で、慎重かつ確実に引き抜きを行うことを求める」と機構側に要望した。

 6月の引き抜きは、東京電力福島第1原発事故で原発への不安が広がる中での作業となる。原子力機構の森将臣広報課長は作業中に地震があった場合、中断して速やかに安全を確認するなどの対応策を決めていることを明かし、「委員会のご意見も踏まえ、しっかりもんじゅを復旧させたい」と話した。

 (立石智保)






もんじゅ:装置落下 撤去作業、来月にも工事本格化へ /福井
 ◇検討委会、確認や慎重さ求める
 高速増殖原型炉「もんじゅ」(敦賀市)で10日、原子炉容器内に落下した炉内中継装置の撤去作業について、学識経験者が検討する委員会が開かれ、「技術的に問題ない」と承認した。このため、来月にも撤去工事が本格化することになった。委員らは日本原子力研究開発機構に対し、安全への十分な配慮などを求めた。【柳楽未来】

 検討委は3回目で、冒頭のみ公開した。機構は、同装置の撤去のために製作した装置での模擬試験や、トラブルが発生した場合の対応などについて説明し、委員が意見を出した。

 終了後の会見で竹田敏一委員長(福井大付属国際原子力工学研究所長)は「(上ぶたの一部ごと同装置を)引き抜けると思っている」と強調する一方で、「手順に従い、安全第一で慎重にと要望した」と語った。横浜市内の工場で行われている模擬試験について、委員からは「工場と現場は環境が違うため、事前の確認をしっかりしてほしい」「もし何かおかしいと思ったら、すぐに作業の中断を」などの意見が出されたという。

 機構によると、外気混入など想定されるトラブル22項目や、作業中の地震発生に備えて、同装置などをつり上げたら直ちに原子炉格納容器内の別の場所に移して冷却する手順などを説明したという。

毎日新聞 2011年5月11日 地方版