「3号機から流出した放射性物質の大半は港湾内に滞留していることが分かった。シルトフェンスにより、すぐに外洋に流れ出ることはないが、徐々に流出する可能性がある」
東日本大震災:福島第1原発事故 港湾内に滞留の汚染水14兆ベクレル 保安院推定
経済産業省原子力安全・保安院は24日、東京電力福島第1原発の港湾内に滞留している放射性物質は、17日現在で14兆ベクレルに上ると発表した。同原発から海へは計3回、汚染水の放出・流出が確認されている。保安院は東電に対し、汚染水の流出防止と保管・処理の計画を策定し、来月1日までに報告するよう23日付で指導した。
保安院は(1)2号機からの高濃度汚染水流出(4月1~6日、計4700兆ベクレル)(2)5、6号機などの低濃度汚染水放出(同4~10日、計1500億ベクレル)(3)3号機からの高濃度汚染水流出(5月10~11日、計20兆ベクレル)--の3回の放出・流出を評価。さらに、港湾内のモニタリング調査を加味し、第1原発の堤防内にとどまる放射性物質の総量を推定した。
記者会見で保安院の西山英彦審議官は「3号機から流出した放射性物質の大半は港湾内に滞留していることが分かった。(2号機からの流出後に設置したカーテン状の)シルトフェンスにより、すぐに外洋に流れ出ることはないが、徐々に流出する可能性がある」と述べた。【中西拓司】
毎日新聞 2011年5月25日 東京朝刊