福島第1原発事故で、東京電力は28日、東日本大震災発生翌日の3月12日から同月14日までの間に、同原発の敷地境界で2分ごとに測定した放射線量などこれまで未公表だったデータを公開した。敷地境界には常時放射線量を測定するモニタリングポスト(MP)が8カ所あるが、電源喪失で機能停止。このためモニタリングカー(専用車)で臨時に測定したが、同社ホームページ(HP)でのデータ公表は事故前からの慣行で原則的に10分ごとの数値にとどめていた。
修正分も含め、新たに公表されたのは3月11日から21日までの測定結果。2分ごとのデータは、柏崎刈羽原発から持ってきたモニタリングカーで12日午後3時ごろから14日正午ごろにかけ、福島第1原発5、6号機西方の「MP4」付近で測定されたが、13日午前9時までは、HP上では正門付近とMP8のデータが公表されただけだった。この間、MP4の数値は風向きの影響で、公表されたデータよりも高い数値を示し続けていた。
このうち、1号機で水素爆発が起きる直前の、3月12日午後3時29分にMP4で測定された毎時1015マイクロシーベルトなどの極めて高い数値は経済産業省原子力安全・保安院に報告されている。
東電の松本純一原子力・立地本部長代理は会見で「保安院を通じて発表されており、隠すつもりはなかった」と釈明。データ集計の困難さはほかの観測点も同じだといい、「得られたデータを外に向けてどう発信するかの意思決定ができていなかった」と述べ、なぜMP4のデータが公開されなかったのかなどについて、約1週間かけて社内調査を行うとした。松本代理は「公表が遅れたことは誠に申し訳ない」と陳謝。一方で、「当時放射線管理員がデータを手作業で集約し、情報を手渡しで伝えていた状況をご理解いただきたい。住民の避難に影響を与えたことはないと思う」と述べた。(2011/05/28-22:16)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011052800164
福島第1原発:東電未公表データ公開 2分間隔の放射線量
東京電力は28日、地震後に福島第1原発敷地内で測定した放射線モニタリングデータのうち、未公表だった1509件のデータを公開した。東電は27日、未公表の理由について「データが記載された紙を紛失したため」と説明していたが、28日の会見で一転「データは本店と原発内に保管されていた」と発表内容を否定した。
今回公表したのは、3月11~21日の11日間に、原発敷地内で測定した放射線量のデータ。すでに公表済みの、10分間隔のデータを補完する2分間隔の測定値。東電によると、地震で敷地内8カ所のモニタリングポストすべてが電源喪失により使用できなくなったため、モニタリングカー(移動測定車)などで測定をしていた。
今回新たに公開されたデータには、3月17日午後3時55分、事務本館北の毎時3699マイクロシーベルト、同15日午前8時55分に発電所の正門付近で記録した毎時約3509マイクロシーベルトといった高い線量もあったが、従来発表していた毎時1万マイクロシーベルト(10ミリシーベルト)などの値は下回っている。
会見した松本純一・東電原子力・立地本部長代理は「データを取得した段階で、通報基準を超えるものについては経済産業省原子力安全・保安院に報告している。整理に時間がかかってしまい、申し訳ない。聞き取り調査などで事実関係をまとめ、1週間程度で公表したい」と話した。【河内敏康、比嘉洋】
毎日新聞 2011年5月28日 13時01分(最終更新 5月28日 13時46分)