菅直人首相は2日の参院予算委員会で、政府の原発事故対応を「場当たり的」と批判して内閣官房参与を辞任した小佐古敏荘東京大教授の人事に関し、任命時も辞任の際もほとんど関与していなかったことを明らかにした。
林芳正氏(自民)が小佐古氏起用の経緯を尋ねたのに対し、首相は同氏の教え子にあたる民主党の空本誠喜衆院議員から、原発対応にあたる細野豪志首相補佐官に参与起用の推薦があったと明らかにした。その上で「私自身は面識がなく、この分野(放射線安全学)で高い知見を持つ方だと、どの関係者も話していたので任命した」と述べ、首相自身が面接せずに任命したことを認めた。
また、首相は辞任の経緯についても「(辞任の理由が)専門的な議論の中での意見の差だと聞き、細野氏に『話をしてくれ』と依頼した」と発言。「(小佐古氏と)会うか決めようと思っていたが、結果的に(4月29日に)直接辞表を持って来て、置いていかれた」と語った。
林氏は「任命時に本人と話をせず、辞める時は『細野さんの仕事だ』と。これではリーダーシップは果たせない」と批判した。【中山裕司】
毎日新聞 2011年5月2日 20時27分
場当たりな参与任免、浮き彫り=小佐古氏と話もせず-菅首相
小佐古敏荘東大大学院教授が政府の原発事故対応を「場当たり的」と批判して内閣官房参与を辞任した問題が2日、参院予算委員会で取り上げられ、菅直人首相が小佐古氏の就任、辞任時とも対応を人任せにしていたことが明らかになった。震災発生後、経済産業省や原子力安全委員会への不信感から、参与を次々と任命した首相。事故の場当たり対応批判への反論に必死だが、ブレーンの起用が「場当たり的」だった実態が浮かび上がった。
自民党の林芳正氏から小佐古氏起用の経緯をただされると、首相は、同氏の教え子に当たる空本誠喜民主党衆院議員から推薦があったと紹介した上で、「私自身は面識はなく、この分野(放射線安全学)で高い知見を持つ方だと関係者はどなたも話していたので、尊重して任命した」とし、事前に面談もしなかったことを認めた。(2011/05/02-16:47)
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