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2011/04/05

全銀協会長、「東電は公益性が高く、決してつぶれてはいけない。全ての金融機関が支えるだろうし政府を信頼する」

奥全銀協会長:東電への政府の姿勢明確化望む「健全性保つ限り支援」  
 4月5日(ブルームバーグ):全国銀行協会の奥正之会長(三井住友フィナンシャルグループ会長)は5日、東日本大震災で原子力発電所が深刻な被害を受けている東京電力について、政府は原子力損害賠償制度に基づく支援姿勢を早期に明確にするべきだとの見解を示した。その上で「国が健全な事業体として保つ限り支援する」と言及した。

 原子力賠償法は原子力事故について電力会社に賠償責任を集中する仕組みだが、地震などの際の1200億円までの賠償や、天災・社会動乱が理由の際は国が支援する内容。ただ、費用負担の方法などは明確化していない。このため東京電力を金融面から支援する国内大手銀行は、放射能流出など事態悪化が続く東電への対応に苦慮している。

奥会長は「われわれは天災に当たると考えている」と指摘。「東電は公益性が高く、決してつぶれてはいけない。全ての金融機関が支えるだろうし政府を信頼する」と述べた。一方で、三井住友銀など大手行が3月末に東電に緊急融資した約2兆円は損害賠償を含まず、社債借り換えや火力発電所の再稼働など当面の資金繰り向けとの認識を示した。

米格付け会社ムーディーズは3月末、「放射能漏れに伴う地域住民や事業者や農家の損害賠償が莫大になる可能性」があるとして東電を「A1」から「Baa1」に格下げ。スタンダード・アンド・プアーズも4月1日に格下げした。三井住友銀は、東電の主力行。ブルームバーグ・データによると東京都に次ぐ大株主で2.24%を保有する。

 これとは別に奥氏は「震災で被害を受けながらも確かな技術のある会社に出資して支援する方法もある」など指摘し、大震災の復興を支援する官民ファンドの設置に前向きな姿勢を示した。インタビューは5日に行った。


更新日時: 2011/04/05 16:27 JST