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2011/03/21

IAEA、「状況は依然、非常に深刻」

福島原発は非常に深刻、独自に調査…IAEA



 【ウィーン=佐藤昌宏】国際原子力機関(IAEA)は21日、ウィーンの本部で、福島第一原発の事故に関する緊急理事会を開いた。


 天野之弥(ゆきや)事務局長は冒頭、「危機はまだ去っていない。状況は依然、非常に深刻だ」と述べた。その上で、「(1986年に発生した旧ソ連)チェルノブイリ原発事故を踏まえた現行の国際緊急対応体制は、現状に即していない」とし、見直しの必要性を強調した。

 また、日本政府からIAEAへの情報提供不足が指摘された点を踏まえ、菅首相がすべての情報の迅速な提供を確約したことや、IAEAも独自に日本国内で放射性物質の測定調査を開始したことなどを説明した。

(2011年3月21日23時57分 読売新聞)



IAEAが緊急理事会 事故対応の枠組み見直し言及
2011/3/21 21:48
 【ロンドン=岐部秀光】国際原子力機関(IAEA)は21日、東日本大震災に伴う東京電力福島第1原子力発電所の事故を受け、緊急理事会を本部のあるウィーンで開いた。天野之弥事務局長はチェルノブイリ原発事故を受け1980年代に設計された現在の国際的な事故対応の枠組みを見直す必要があると述べた。

 天野氏は「情報技術の進展で事故の情報が一瞬で世界に広まるようになった。現状の仕組みでは政府やIAEAの対応が後手に回りかねない」と指摘。正確な情報をより早く国際社会が共有するための改革が必要だとの認識を示した。

 その上で「原発は多くの国にとって安定的でクリーンなエネルギーとして有力なオプション」と指摘。原子力の安全性を巡るIAEAの役割そのものも「見直しが必要となる」と述べた。日本の原発を巡る危機は「必ず克服されると信じている」と話した。




IAEA:批判に反論、福島原発事故への対応で-役割や基準見直しを
 3月21日(ブルームバーグ):国際原子力機関(IAEA)は、東京電力福島第一原子力発電所での危機対応で受けた批判に対して反論した。当局者は、原発事故としては過去25年間で最悪となった今回の事故の全体像の把握に苦慮している。

 IAEAの天野之弥事務局長は、福島第一原発で起きた事故は現行の緊急措置では不十分なことを示しており、「21世紀ではなく、1980年代の実態」を反映しているとの認識を示した。

 IAEAは、天野事務局長が選出された09年12月以来で初めてとなった緊急理事会を終了。天野事務局長は菅直人首相や原子力当局者との19日の会談で、福島原発からの放射線漏れを抑制する手段について説明した。IAEAと日本政府は、放射線検出の専門家を日本に派遣することで合意している。

 天野事務局長はウィーンでの緊急理事会で、「核の安全性における当機関の役割については、安全基準の役割とともに見直しが必要かもしれない」と指摘。「IAEAの責務は信頼できる有効な情報を可能な限り迅速に提供することだが、現在の取り決めの下でこれを実行すると時間がかかり、制約を受けるのは不可避だ」と述べた。

 IAEAの緊急対応については、来月のウィーンでの会議で見直しを開始する最初の機会が得られるとの認識を示した。


更新日時: 2011/03/22 03:03 JST