東日本大震災
東日本を襲った大地震が「1000年に1度」の揺れだった可能性を専門家が指摘している。
岩手県沖から茨城県沖の震源域が連動したとみられ、古村孝志・東京大地震研究所教授によると、869年に発生した「貞観(じょうがん)地震」と酷似。貞観地震の震源域と考えられる範囲は、今回の地震の発生場所に近いという。
理科年表によると、貞観地震は三陸沖を震源とするマグニチュード(M)8・3の巨大地震。城郭などが無数に壊れ、津波が多賀城下を襲って約1000人が溺死した。広範囲に津波が達したと考えられている。
政府の地震調査委員会によると、今回の地震は宮城県沖と東側の三陸沖南部海溝寄り、南側の福島県沖、茨城県沖の4つの震源域が絡んでいる。
地震調査委の阿部勝征委員長は「今回の地震は貞観地震に似ているかもしれない。過去の発生状況が詳しく分からず、いつどこで起きるとは特定できなかった」と研究の“空白域”であることを認めた。
連動して起きる地震としては、東海、東南海、南海の研究が進められている。酒井慎一・東京大地震研准教授は、東北地方の海域地震について「今回のような4つの震源域が連動する地震は誰も考えていなかった」と話している。30数年周期で繰り返し発生すると想定されていた宮城県沖地震はM7・5クラスで、今回はその約90倍の規模。95年に起きた阪神大震災の約180倍のエネルギーだった。
また、古村教授の解析によると、東京都内で観測された地震動は、超高層ビルから木造家屋や低層建築まで、全てのタイプの建物を激しく揺らす特徴的なものだった。
超高層ビルに被害が出た04年の新潟県中越地震と比較したところ、今回の地震は中越地震と同じ程度の大きさの揺れが、木造家屋を揺らす0・5秒前後から20秒以上という広い範囲の周期で発生。ほとんどの建物を大きく揺らす結果となった。
都心の低層建築は、中越地震の時と比べると約10倍大きく揺れたと考えられるという。
◆貞観地震 貞観11年(869年)に発生。仙台平野で、現在の海岸線より内陸に津波の痕跡も。1707年の宝永地震(M8・6)と並び日本史上最大の地震とされる。貞観3年(861年)には世界最古の目撃がある隕石が落下。貞観6年(864)には富士山が噴火しており、この時代は天変地異が相次いだ。
2011年3月13日 06:00