今回の福島第一原発3号機の爆発には、12日の1号機の爆発といくつかの違いがある。
まず、1号機の時には水素爆発で発生した水蒸気を示す白煙がたちこめたが、今回は、白煙以外に、赤い炎を伴う灰褐色の煙が上空高く上った。また、爆発をとらえたニュース画像では、煙の中に、厚みのある大きな塊がいくつも飛び散っていた。詳細は不明だが、この爆発の後にも、爆発があったという。
今のところ、炎や灰褐色の煙、塊が何であるかは不明。3号機にたまった水蒸気の量が1号機よりも多かったので爆発の規模が大きくなったとも考えられるが、かなりの高温で燃焼を伴う別の破壊的な異変が起きていた可能性もある。
また、建屋内の上部にたまった水素が爆発したなら、一度の爆発で済むはずだ。1回目の爆発の影響で、高圧状態の配管などが破損し、爆発音がしたか、建屋上部以外のどこかにたまっていた水素が爆発した可能性がある。最悪の事態を想定すると、1回目の爆発によって、高圧の格納容器が損傷し、新たな爆発を生じたということも考えられる。その場合、原子炉を覆う最後の壁が破れたことになり、放射能を帯びた水、水蒸気などが外部へ放出されることになる。
(2011年3月14日14時30分 読売新聞)
福島原発3号機、炉心溶融の可能性 爆発で11人負傷
2011/3/14 13:16
東京電力福島第1原子力発電所3号機で14日午前11時1分、原子炉建屋が煙を上げて水素爆発が起き、負傷者が出た。東電によると、炉心溶融が起きている可能性がある。経済産業省原子力安全・保安院は、原発から半径20キロメートルに残る住民425人に屋内退避を呼びかけた。枝野幸男官房長官は午前11時40分すぎの記者会見で「放射性物質が大量に飛び散っている可能性は低いと考えられる」と述べた。1号機の爆発に続き、未曽有の事態に発展した。
爆発後に3号機の建屋の外壁がなくなり、骨組みだけになっているとみられる。爆発が起きた詳しい場所や、建屋の中心部にある原子炉格納容器などの詳細な状態は分かっていないが、枝野官房長官は会見で「東電の現地所長の報告として、原子炉格納容器は健全であるという報告が来ている」と述べた。原発敷地周辺の放射線の測定値が異常な上昇を示していないためという。
また、東電の小森明生常務は14日記者会見し、3号機の原子炉の状態について「1号機と同じことが起きている可能性がある」と指摘、炉心溶融の可能性を示唆した。負傷者は午後0時55分時点で作業員ら11人。東電社員や協力会社の作業員とみられ、数人が打撲などを負ったもようだが、詳細は確認中と説明している。
保安院によると、原発正門近くの測定値は、毎時20マイクロ(マイクロは100万分の1)シーベルトと通常の状態を示している。今後、現場周辺のデータを集め、放射性物質が漏洩していないか確認する。
一方、避難区域である半径20キロメートル以内には病院などに425人の住民が残っているという。水素爆発によって屋外に放射性物質が漏れる恐れがあることから、保安院はこうした住民に対し、屋内に退避するよう呼びかけた。
3号機では燃料被覆管が高温になって水と反応し、水素が出ていたとされる。この水素が原子炉建屋にたまり、爆発したと考えられる。水素を逃がすため、建屋の壁パネルを取り外す検討も進めていたが、危険があり実施していなかった。
3号機は1号機より原発の発電能力が大きいため、建屋も大きい。建屋にたまる水素が多いため、爆発の規模も1号機より大きくなると専門家が指摘していた。
福島第1原発では12日、1号機でも水素爆発が発生。建屋の上部が吹き飛んだが、原子炉格納容器の爆発には至らなかったという。1、3号機は原子炉の温度を下げるため、海水とホウ酸水の注入を続けていた。
ただ、海水をいったんためておく海水ピットの水量が減り、1、3号機とも海水注入を一時中断。その後、海水ピットに海水を補給し、海水の注入を再開していた。
3号機では午前6時50分にも原子炉格納容器の圧力が上昇し、作業員が一時退避。その後、格納容器の圧力が安定したため、作業を再開していた。圧力を逃がすため、弁を開放して原発外部に空気を放出することも検討していた。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/graph/201012wind/glist.htm?ge=863&gr=3498