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2011/03/14

東日本(50ヘルツ)と西日本(60ヘルツ)で異なる周波数を調整する変換施設が3カ所しかなく、計100万キロワットしか送電できないため、首都圏で不足する1000万キロワットを満たせない

東日本大震災:東西の電力会社間「電力融通」に限界



 東日本大震災で、東西の電力会社間で送電する「電力融通」に上限があり、東京電力が「計画停電」に追い込まれた。東日本(50ヘルツ)と西日本(60ヘルツ)で異なる周波数を調整する変換施設が3カ所しかなく、計100万キロワットしか送電できないため、首都圏で不足する1000万キロワットを満たせない。政府が首都圏で節電を呼び掛け、西日本の企業や自治体などで消灯の動きが広がるものの、余剰電力で足りており、節電した電力は不要なのが現状。大規模災害に備えた電力融通の基盤体制の課題となっている。

 関電などは地震直後の11日夕方から融通を開始しているが、運転中の水力・火力発電の出力を上げることで対応している。関西の企業や施設は照明や広告の消灯を始めているが、こうした節電の直接の効果は薄い。

 東西の周波数の変換施設の容量が少ないことについては、電力業界で認識されていたが、増設するには数千億円の投資が必要。「巨額の投資をするなら、各社で発電所を新設するほうが有効」(電力関係者)などとして、後回しにしていたツケが露呈した形だ。【横山三加子】

毎日新聞 2011年3月14日 16時29分(最終更新 3月14日 16時42分)