3月27日(ブルームバーグ):枝野幸男官房長官は27日午後の記者会見で、東京電力の福島第一原子力発電所事故に関連して、原子炉で発生する放射性物質の一つであるプルトニウムが周辺の土壌を汚染しているかどうかの調査を急ぐ考えを明らかにした。
枝野長官は、「発電所内の土壌検査にすでに着手しているとの報告を受けている」と説明。「周辺の土壌に拡散していないという状況であれば一定の安全が確保できる」と述べる一方で、逆に検出されれば「対応をしなければならないので、土壌の分析、調査を急がせている」と語った。
原子力安全・保安院の原子力安全広報課の松本真太郎氏は、プルトニウムは核分裂反応で生成され、検出されれば原子炉から「出ているものとみてよい」と指摘。半減期が長いものだと2万年以上あり、「いったん自然界に出てくるとなかなか消えない」のも特徴と話した。一方、比重が重いので、爆発などで高度に舞い上がらない限り、半径20-30キロの避難区域を越えて飛び散ることは考えにくいという。
保安院の西山英彦審議官は27日午前の会見で、プルトニウムについて、「土壌の試料と空気中のチリを専門機関に評価してもらいたいと思っている」と述べ、週明けにも土壌調査の結果が出るとの見通しを示した。東電は27日昼の会見で、プルトニウムを測定する装置を東電は保有していないことを明らかにし、測定していない以上は土壌汚染が絶対ないとは言えないと述べていた。
東京工業大学の松本義久准教授は、プルトニウムは「飛程」と呼ばれる到達距離が数センチといわれるほど短いのが特徴で、外部被ばくはほとんど心配はないが、内部被ばくは深刻な影響があると指摘。飛程が短いため、検出器に届きにくく環境検査が難しい面があるという。
更新日時: 2011/03/27 19:56 JST
2011/03/27
枝野官房長官、プルトニウムが周辺の土壌を汚染しているかどうかの調査を急ぐ
福島第一原発:プルトニウムによる土壌汚染調査急ぐ-枝野官房長官