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2011/03/28

首相は東日本大震災の発生後、次々と内閣官房参与を起用しており、田坂氏で6人目となる。

内閣官房参与に田坂氏 震災後6人目、原発対策で助言へ
2011年3月28日10時52分



 菅直人首相は28日、新たな内閣官房参与に田坂広志・多摩大大学院教授を起用することを決めた。田坂氏は東大大学院で原子力工学を専攻した工学博士で、福島第一原子力発電所の放射能漏れ事故について、首相に対応策などを助言する。首相は東日本大震災の発生後、次々と内閣官房参与を起用しており、田坂氏で6人目となる。

 田坂氏は27日午後、3度にわたって首相官邸で首相と面会した。28日午前も官邸を訪ね、記者団に「内閣官房参与の内示はすでにいただきました」と語った。

 首相の内閣官房参与への専門家起用は震災後から活発化した。16日に小佐古敏荘・東大大学院教授、20日に日比野靖・北陸先端科学技術大学院大学副学長と山口昇・防衛大安全保障・危機管理教育センター長、22日に有冨正憲・東工大原子炉工学研究所所長と斉藤正樹・同研究所教授をそれぞれ起用している。




仙谷氏が官邸で存在感=こもる菅首相、指導力見えず
 東日本大震災の対応で仙谷由人官房副長官の存在感が高まっている。菅直人首相が仙谷氏を首相官邸に呼び戻し、被災者支援と復興対策を一任したためで、首相は東京電力福島第1原発事故の対応に手いっぱいの様子。もっとも、震災発生後、首相がメディアの前に現れることは激減した。記者団の質問に応じる機会は極端に減り、政府内で首相がどう指揮を執っているのか見えにくい状況だ。

 「官僚はちゃんと目標を与えれば仕事をするんだ」。こう周辺に語る仙谷氏は27日、経済産業省の松永和夫事務次官と協議したり、官邸外で別の官僚との打ち合わせに出掛けるなど、あわただしく動いた。

 被災者生活支援特別対策本部長は松本龍防災担当相だが、実質的には仙谷氏が仕切り役。官房長官当時、野党提出の問責決議が可決され、今年1月の内閣改造で官邸を去った仙谷氏は、民主党内で官僚をコントロールできる数少ない政治家と目される。

 17日の副長官就任以来、官邸では仙谷氏を頼みとする各府省事務次官の訪問が相次ぎ、「役所間の連絡調整が格段に良くなった」(政府関係者)という。仙谷氏は「今必要なのは乱暴副長官」と周囲に漏らしつつ、矢継ぎ早に霞が関に指示を出し、自民党幹部とも頻繁に接触。「震災対応が一段落したら、菅降ろしに動くのでは」(民主党中堅)との声すら漏れる。

 「仙谷官邸」の色合いが強まる一方、首相は11日の震災後、毎日1回受けていたぶら下がり取材を「緊急事態」を理由に拒否。代わりに一方的にメッセージを読み上げる「会見」を6回行ったが、この間、質問は数問受け付けた程度。国民の不安解消には説明不足で、指導力を発揮したと言えるような場面は見られない。

 首相は27日も執務室にこもり、東京工業大大学院原子核工学科出身の大前研一氏らと面会した。首相は母校である同大の原子炉工学研究所から、既に2人の内閣官房参与を起用するなど、「身内」に頼る姿勢が目立っている。事故発生後の初動対応で、迅速に情報を出さなかった東電や、見通しを誤る原子力安全委員会への「不信感が消えない」(周辺)という。

 「自分としては一生懸命やっているのだが…」。首相は27日、指導力不足への批判が広がる中、官邸を訪れた山口二郎北海道大学教授にこう不満を漏らした。
(2011/03/27-19:30)

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011032700178&j4







2011年3月23日
官邸肥大化、参与が14人…組織も増殖
 東日本巨大地震を受け、菅首相を取り囲む組織は増殖、肥大化する一方だ。

 「既存の省庁の縦割りで物事が全く進まず、官邸が仕切るしかない」というのが首相周辺の説明だが、民主党側の組織も合わせると、相当な数が増えた。

 地震直後に発足させた緊急災害対策本部、原子力災害対策本部はいずれも首相が本部長。17日には緊急対策本部の下に「被災者生活支援特別対策本部」、22日には同対策本部を各府省次官らが支える「被災者生活支援各府省連絡会議」が発足。このほか、13日には「電力需給緊急対策本部」、15日には東京電力と連携するための「福島原子力発電所事故対策統合本部」も発足。「この混乱時にとても機能的に動いているとは言い難い」(民主党筋)との指摘も出ている。

 首相のブレーン的な役割を担う内閣官房参与の任命も相次いでいる。地震後に5人が追加され、態勢は総勢14人に膨張した。

 首相は地震発生後、放射線、危機管理、情報通信の専門家を参与に迎え、22日には原子炉工学を専門とする2人を任命。2人は首相の母校・東工大の教授だ。

 東京電力や経済産業省原子力安全・保安院に原子力の専門家がいるにもかかわらず、外から放射線や原子炉工学に詳しい学者らを次々参与に任命したのは、「これまでの経緯で、首相が東電や保安院に対する信頼を失ったため」(内閣府幹部)との見方が強い。

 民主党内からは「首相が表に出ず、側近ばかり使って危機をしのごうとするのは、余裕のなさの表れだ。リーダーシップを持って官僚機構を使いこなし、民間と連携してオールジャパンで対策に取り組まなければこの危機は乗り越えられない」(中堅議員)との不満の声が出ている。

(2011年3月23日22時25分 読売新聞)