文部科学省は、校庭など、幼稚園や学校の屋外で子供が活動する際の放射線量の基準を近く福島県に示す方針を固めた。
同県内では、一部の学校で比較的高い濃度の放射線量や放射性物質が検出されており、体育など屋外活動の実施可否について早期に基準を示す必要があると判断した。
同省などによると、基準は、児童生徒の年間被曝(ひばく)許容量を20ミリ・シーベルト(2万マイクロ・シーベルト)として、一般的な校庭の使用時間などを勘案して算定する方針。原子力安全委員会の助言を得た上で、大気中の線量基準などを同県に示す。基準を超えた場合、校庭を使用禁止にし、授業を屋内だけに限るなどの措置をとる案も出ている。
(2011年4月10日03時19分 読売新聞)
学校での放射線 指針を公表へ
4月10日 4時32分
子どもたちを安全に学校に通わせるための基準が明らかではないとして、福島県が国に求めていた、学校施設での放射線に関する安全のガイドラインについて、文部科学省は、原子力安全委員会から技術的な助言を受けたうえで、週明けにも公表することになりました。
放射線に関する安全基準は、新学期を迎えるにあたって、子どもたちを学校に通わせてよいのかといった不安の声が保護者から寄せられていることから、福島県が国に求めていました。
文部科学省は、福島県が県内の小中学校などで行った放射線量の調査や、校庭で行っている土壌のサンプリング調査などを基に、子どもたちの健康への影響を評価し、ガイドラインを作るとしています。
具体的には、体育の授業や休み時間に校庭にいた場合などに直接受ける放射線の量や、呼吸などによって体内に取り込まれた放射性物質から受ける放射線量を推定し、一定の数値を超える場合、学校を休校にすることや、校庭での体育の授業などを控えること、登下校時のマスクや、手洗い、うがいなどの徹底を求めることにしています。
文部科学省は、原子力安全委員会から技術的な助言を受けたうえでガイドラインをまとめ、週明けにも公表したいとしています。
これについて、原子力安全委員会は、9日の記者会見で、「放射線量のデータとしてかなり高いところがある。授業を再開するにしても、条件をつけざるをえないところが、かなりの数に上ると思う」と話しました。
開校できない放射線量の施設も 原子力安全委が見解
2011年4月9日20時8分
原子力安全委員会は9日、福島県内の学校施設の放射線量について「一部に開校をおすすめできない高いところもある」との見方を示した。家庭での生活も含め年間被曝(ひばく)量の目安として20ミリシーベルトを超えないとする考えも提示。文部科学省の判断を待って、助言するという。
福島県の調査によると、福島第一原発から半径20キロの避難指示圏を除く小中学校、幼稚園、保育所約1600施設のうち、9施設で地表から1センチの放射線量が毎時10マイクロシーベルトを超えた。文科省は今後、学校生活での呼吸による体内被曝量などを推定。開校できるか、原子力安全委に助言を求めるという。9施設について地元自治体は当面使わないことを決めている。