2011.3.13 05:03
東日本大震災の震源は、宮城県・牡鹿半島沖約130キロと陸地から遠く離れていたが、気象庁は発生とほぼ同時刻に半島周辺で小規模な津波の第1波を観測していた。これは大津波警報発表の3分前。3メートル以上の最大波が襲ったのは、その30~40分後だった。
気象庁は、マグニチュード8・8と国内観測史上最大となった今回の地震は、南北約400キロ、東西約200キロもの断層が破壊されたとみている。巨大な断層の陸地に近い部分で破壊が始まり、津波を引き起こした可能性があるという。
宮城県石巻市と岩手県大船渡市の2カ所では、地震発生とほぼ同時刻の午後2時46分に10~20センチの津波の第1波を観測。岩手、宮城、福島各県沿岸に大津波警報が発令されたのはその3分後の2時49分だった。
地震津波監視課の横山博文課長は「津波は震源からだけではなく、破壊された断層の先端からも伝わる。陸に近い部分の断層運動で、海底の盛り上がりや沈降が起き津波が発生すれば、到達が早いこともあり得る」と指摘する。
津波の速度は水深が深いほど速く、水深5千メートルでは時速約800キロとジェット機並み。浅くなるにつれ遅くなるが、水深100メートルで時速約110キロ、10メートルでも約36キロに達し、逃げるのは困難だ。
東北大の今村文彦教授(津波工学)は「津波は陸に上がるとさらにスピードが弱まるが、被害状況をみると時速30キロ程度はあったと推測される。仙台平野のように平地が続く地域では、高台に逃げ込む時間が十分あったか疑問だ。場所によっては指定避難所ものみ込まれた可能性がある」と話している。